Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

Penhaligon’s『Malabah』

2010-02-18 | parfum... kaori
イギリスの由緒あるゴルフ場の番組を、夫が見ていました。
イギリス。
紳士の国というイメージです。
あらゆる国を侵略した歴史的事実がにわかには信じがたいくらいだ。

磨きこまれた深い色の木製の家具、
いかめしく並んだ美しい装丁の本、
ツイードのジャケット、
レンガで組まれたがっしりした暖炉、

わたしの夢想するイギリスとはいつでもこんなイメージ。
実際には、ロンドンではそんなとこあんまり見かけず、そういう意味ではエディンバラなどのほうが、イメージに近い雰囲気だったかしら。記憶のかぎりでは・・・。
さらにシャーロック・ホームズシリーズを中学生のときに読みまくった思い出と、
最近はハリー・ポッターシリーズの印象が、空想の画像の、源泉です。

そう、あとイギリスといったら、素朴に咲き乱れた草花。
キューガーデンは、訪れたのが10年くらい前ですが、夢のように印象がよみがえる素晴らしい場所でした。

イギリスのシックなゴルフ場の様子をテレビ越しに見ていたら、新鮮なお花の香りがかぎたくなった。
花束のような香水をまといたくなった。
あ、そうそう、シャーロック・ホームズの小説でも、差出人不明の手紙に花の香りがほんのり残っていて、探偵が書き主を香りで突きとめる、というシーンがありました。
控えめなのに花の香りがいつもする楚々とした貴婦人がその差出人、というおちで、
以来、
「イギリスのあのマホガニーの書斎には、紳士に寄り添う相手として、そういう淑女がいるのだ」、
という空想が美しいイメージとしてわたしの頭の中深くにあり、
昨日、久々にそれを思い出しました。

イギリスの香水・・・
たしか、ペンハリガンPenhaligon'sのオードパルファムが、あったではないか!
にわかに思い出して、テレビの前から一人だけしゅっと去り、香水ケースを探ると、

おお、『マラバーMalabah』。

古くならずに、ちゃんと元気でした。

そういえば、ペンハリガンのロンドン本店も、時間が止まったかのように威厳のある場所だったなあ。
ロンドンの風景もよみがえりつつ。



さて、生き残っていたけなげな『マラバー』の構成は、こうです。この名前の由来は、インドの地名、洞窟がある場所なんだそう。

トップ:
レモン、アールグレイティ、グリーンコリアンダーリーフ

ミドル:
ジンジャー、カルダモン、イリス、ローズ、ナツメグ

ラスト:
スウィートアンバー、ムスク、サンダルウッド


なんと見事な組み合わせ・・・、さすがはペンハリガンです。
イギリス名店の香水には、率直な清冽さ、高貴さがある。
これがフランスものイタリアものだと、ちょっと動物っぽい女のニオイというか、わかりやすく攻めの色気むんむんになるのだけど(※わたしの在庫の話です)。
以前までは色気むんむん香水が大好きだったのだけど、最近それに飽きてきて、受容するフェミニンさ、透明感のある香りを探していたところでした。
自宅にあったんだわ・・・。
それをすっかり忘れて埋もれさせてしまうほど、実はこれはかつて好みではありませんでした。おとなしすぎる気がしていたの。

しかし、今は何もかも好みにぴったりです。
かすかなムスクが、ちっともいやらしくなく、穏やかに効いている。こんなの探していたのよ!
実は母からのプレゼントだったこの品。
しばらくぶりに、今度こそ、使いはじめようと思います。
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