Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

ニュウニュウ

2009-12-03 | musique... ongaku
音楽の秋ですねえ。
いや、早くも12月になってしまったから、すでに冬か。。

ずいぶん前の話ですが、ピアノコンサートに行ったお話です。


牛牛と書いて、ニュウニュウと読む。
「母がつけてくれたニックネームです。」
と微笑む12歳の少年には、張勝量という立派な本名があります。が、すっかり「ニュウニュウ」の名は彼の音楽と共に日本の地に定着し、コンサートはチケット即完売。
大阪では@3,000円という破格さでしたしね。

わたしたちも、先日10月23日、大阪での公演に行ってまいりました。
曲目は、以下の通り:

モーツァルト
・ピアノソナタ第16番 ハ長調 K.545
・幻想曲 ハ短調 K.396
・ロンド ニ長調 K.485
・きらきら星変奏曲 ハ長調 K.263

ベートーヴェン
・ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調「熱情」 op.57

ショパン
・12の練習曲 ×4 
op.25 no.7/no.9「蝶々」/no.11「木枯らし」
op.10 no.12「革命」

ドビュッシー
・「沈める寺」
・「花火」

リスト
・ハンガリー狂詩曲 第2番嬰ハ短調


客席に向かって、きちん、と深い礼をした後は、一呼吸ののち、
力強いタッチでぐいぐい弾きこなす。
ピアノを習ったことのある人は多いから余計に、彼の凄さは会場中に驚きを巻き起こす。
でも、そんなのを抜きにしても、圧倒的なオーラが小さな細い体からバシンバシンと飛び散り、もはや鬼気迫るといった空気。
客席の人々は惜しみない拍手を送り続けました。
そして、一晩中でも弾いていられるのではないか、と危ぶむくらい、アンコール大サービス。

彼にはショパンが一番気質に合うのかもしれないね、
と演奏会の帰りに夫が言いました。
モーツァルトがいやに引き合いに出されるから弾いているけれど、彼の気持ちはもっと違う作曲家に向いているかもしれないね。と。
たしかに、12歳と思えないあのタッチの力強さはとにかく凄かった。炸裂するようなエネルギーの天才の演奏には、もう曲たちは完全におとなしく従うのみ。
難曲でさえ彼に服従して、新しい命をもらっていました。

それにしても、「天才」の意は、
“もはや本人の意志を超えて生命の連なりの奥深くから伝えられた、最高の芸術の「媒体」”、
なのだろうと、時折感じます。
本人もなぜこんなことができるのかわからないが、できる以上はやらずにはいられない。
というような。

天才を見る度、連綿と受け継がれてきた『生命』という力の大きなうねりを目の当たりにするような感動を覚えます。


photo...京都、出町柳の橋ちかくにて、夕刻の鳥たち。並んだ音符のようです。
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