アモルの明窓浄几

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NHK「秘められた決断」と1.17

2009年02月07日 | すまいのこと

   ↑ 新長田駅前の震災メモリアル会場にて(1/17)

先月の話で恐縮ですが、震災記念日の1月17日にNHKスペシャル「秘められた決断」が放送されました。 観られた方も多いと思います。
このTV番組で取上げた震災と対峙した人々の証言記録“災害エスノグラフィー”は、貴重な教訓を投げかけていました。

14年前の大震災の渦中において、消防士達は火災と生き埋めが同時に発生した大震災に対し、消防士として消火にあたりながらも救助を求める人がいれば助け出すといった、あたり前の対応が時間と共に出来なくなって行きます。
消防士は火災消化が先か、救助が先か、目の前の決断に迫られて行く状況を彼らの生々しい証言によって、震災による同時多発火災の恐ろしさが語られます。

今回、大震災14年メモリアル集会に参加して知った事実ですが、災害救助のニュース映像やドラマなどで、消防士等の救助隊が瓦礫に埋まった人々の命を救うシーンを見たりし、殆どの人々が彼らの救助によって助けられたと思っていましたが、実は瓦礫などに閉じ込められた人の95%は、地域の住民が救出したのです。

番組において、瓦礫に埋まった一人の命を救うのか、それとも延焼を食い止めることでより多くの命を救うのか、当時の消防署には明確な方針は無かったようです。
各々の消防士の判断に委ねられたのであり、彼らは苦悩の選択を瞬時に迫られていたのです。

そして、辿り着いた教訓は、組織として優先順位を決めておく事が命を救うと云うことでした。
神戸市の震災消防計画には、最重要項目として地震直後は、火災への対応を優先するとしています。但し、その原則に立ちながらも、救助や救命に市民の力を借りる地域の自主防災力の活用を、もう一つの柱としました。
やはり大切なのは、地域のコミュニティなのですね。

この番組では、避難所での住民同士の争いについても紹介されていました。
避難所の運営を行政主導型から住民と共に行ってゆく、住民による自治が避難所を運営する“カギ”だったと云います。
教室や廊下といった避難場所ごとに、自治会の役員さんのようなリーダーを選んでもらい、避難している人々にも何か役割を持ってもらう。
その様な試行錯誤から避難住民が自ら動き出し、争いを防ぐためのルールづくりを率先して進めて行ったと云います。

番組を通じて感じ、以前から常々思っていた事ですが、地域コミュニティという人と人との繋がりを抜きにした復興や再開発は問題が多く、又、災害への備えとしての建物の耐震化や地域防災計画においても、地域コミュニティへの配慮を怠ってはならないと再確認させられました。

TV番組だけでなく、1月は各地で震災に関する催しが行われていますが、西宮市においても市主催の「西宮市住宅リフォームセミナー」が、先月の1月24日(土曜日)に市民会館で開催されました。
この催しは、リフォームセミナーと謳ってはいますが、阪神淡路大震災を教訓に住宅のリフォームを通して耐震化を図って頂く事を目的として、講演と相談会を行っています。
以前は、他の市においても同様の催しが開かれていたようですが、今日においては阪神間では西宮市のみが継続してきました。

今回は、薄才な私ではありますが、微力ながら主催者側と云う立場で参加させて頂くことになりました。
「耐震診断と耐震改修について」と題し、お話させて頂いた次第です。

このブログを見て頂いている皆様にも、建物の耐震化の重要性を理解して頂ければと思っており、次回から同テーマに沿ったお話をしたいと考えています。

講演会では、プロジェクターを使用しての説明が可能でしたが、当ブログでは、写真枚数等も制限があるため、文字表現が中心になりますが、この場は個人ブログなので、講演と全く同じ内容にするのではなく、枝葉を付足したり時には脱線もしながら、従来のような専門家の技術的解説になり過ぎないように、少し異なった視点からのお話に出来ればと考えています。
何処まで興味を持って頂ける内容になるのかわかりませんが、お付き合いください。


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