今回から、「耐震診断と耐震補強について」をテーマとした、お話をしたいと思います。
概ね、下記の内容の順序で進めて行きます。但し、脱線したり変更したりするかもしれませんが、宜しくお付き合いください。
1.繰り返される地震
1-1.地震の被害想定
1-2.新耐震設計法での地震力の扱い
1-3.芦屋市周辺の地質
2.住宅の耐震診断の流れ
2-1.住宅の耐震診断・改修工事の流れ
2-2.RC造マンション等の耐震診断フロー
3.耐震補強工事費の目安
3-1.木造住宅の耐震補強工事の費用
3-2.改修方法によってもかわる費用
3-3.無料の耐震診断は、有得るか?
4.耐震補強のポイント
4-1.地震に耐えるには、強い壁(耐力壁)が必要
4-2.腐朽、劣化した部材は交換する
4-3.柱と土台、梁との仕口部及び筋違の端部は、金物で緊結する
4-4.基礎のひび割れ等も補修や補強が必要
5.リフォームと耐震補強の関連法
5-1.耐震改修促進法との関連
5-2.建築基準法との関連
6.写真(?)でみる事例
6-1.床下、天井裏を覗いてみる
6-2.耐震補強のここだけは押えておこう
7.その他
以上
第1回目の今日は、上記の通り「1.繰り返される地震 1-1.地震の被害想定」から始めます。
今後来るであろう巨大地震と私達が受けた阪神淡路大震災との被害を数値で比較し、改めて災害の恐ろしさと、災害への備えの必要性を最初に認識して頂くのが目的です。
↑ 「図表-1」:芦屋市の「安全・安心ガイドブック」より
添付の「図表-1」をご覧下さい。
過去に近畿エリアで起きたマグニチュード8前後の大地震の年表ですが、概ね100~150年の間隔で繰り返し発生しています。前回の東南海地震(1944年)、南海地震(1946年)から既に60年以上経過していることから、今後30年以内に起こる確率は、東南海地震が50%、南海地震が40%と云われています。又、これらの地震は、連動したり、ほぼ同時に発生する事が多いのです。
図表の「東南海・南海地震の被害想定」を見て頂くと、朝5時発生のケースとして、死者数≒12,100~18,000人(表の3,200人は間違いと思います?)、建物全壊棟数≒33~36万棟と想定されています。阪神淡路大震災(1月17日AM5:46発生)は、死者数6,434人、建物全壊棟数は≒104,906棟ですから、単純に比較は出来ないですが、死者数で≒2~3倍、全壊棟数で≒3~3.4倍になります。
因みに阪神淡路大震災の経済的被害額は、≒9兆9千億円とのことです。
例えばこれらの地震と東海地震が同時連動すると、大都市機能は完全に崩壊し、他都市からの救援は望めないとも云われており、その被害は想像を絶するでしょう。
ここで、阪神淡路大震災の兵庫県下の市町別被害数を見てみます。
3年前のデーターですが、2006年(H18)5月19日の消防庁確定被害数値から死者数の多い順に六市掲げると、下記のようになります。
市名 死者 行方不明者 負傷者 全壊 半壊 一部損壊
①神戸市 4,564人 2人 14,678人 61,800棟 51,125棟 126,197棟
②西宮市 1,126人 1人 6,386人 20,667棟 14,597棟 38,042棟
③芦屋市 443人 0人 3,175人 3,915棟 3,571棟 3,959棟
④宝市 117人 0人 2,201人 3,559棟 9,313棟 14,305棟
⑤尼崎市 49人 0人 7,145人 5,688棟 36,002棟 35,855棟
⑥伊丹市 22人 0人 2,716人 1,395棟 7,499棟 19,851棟
↓
合計 6,402人 3人 40,092人 104,004棟 136,952棟 297,811棟
(6,434) (3) (43,792) (104,906) (144,274) (390,506)
註:( )内数値は、兵庫県外も含む被害数。
神戸市は、全ての面でダントツに被害数が多いのがわかります。
又、上位六市が全て阪神間に集中しているのもお分かり頂けるでしょう。
「耐震改修促進法」が2006年1月26日に改正施行され、国の基本方針として耐震化率を75%から2015年(H27)までに90%にすることを目標としました。
これに伴い、兵庫県は「兵庫県耐震改修促進計画」を2007年(H19.3)に策定し、住宅の耐震化率を現況の78%から2015年度には97%とし、多数の者が利用する建物の耐震化率は現況の70%から2015年度には92%とする目標を定めました。
兵庫県は、同制度に則し「簡易耐震診断推進事業」、「わが家の耐震改修促進事業」等を国の支援を受けて事業化しています。別の機会でも触れますが、建物の耐震改修計画や耐震改修工事に対して、費用の一部を補助する制度です。
但し、国は「耐震改修促進法」を制定しているにも拘わらず、事業の主体は県などであるとし、県が事業化しなければ国からの補助は無いといったことになっています。従って、都道府県によって格差が生まれています。
又、各市町は独自に上乗せ補助事業等が可能であるにも拘わらず、兵庫県では神戸市を除いては殆ど進んでいません。神戸市は兵庫県下では、大変充実していますし、例えば昨年12月5日付にて県の平成20年度分の予算が無くなり、補助事業の受付けをストップし、新年度で予算が確定するまで補助金の申込みすら出来なくなりましたが、神戸市は独自に予算化し継続しています。県はその後、年度内に予定されていた戸建て住宅の耐震改修工事にのみ追加受付けを行うようにしました。
今日においては、芦屋市、川西市、姫路市及び赤穂市なども独自に上乗せ助成制度を実施していますが、被害の大きかった阪神間の西宮市、宝市、尼崎市等は、財政難等を理由として未だに実施されていないのが現状です。
概ね、下記の内容の順序で進めて行きます。但し、脱線したり変更したりするかもしれませんが、宜しくお付き合いください。
1.繰り返される地震
1-1.地震の被害想定
1-2.新耐震設計法での地震力の扱い
1-3.芦屋市周辺の地質
2.住宅の耐震診断の流れ
2-1.住宅の耐震診断・改修工事の流れ
2-2.RC造マンション等の耐震診断フロー
3.耐震補強工事費の目安
3-1.木造住宅の耐震補強工事の費用
3-2.改修方法によってもかわる費用
3-3.無料の耐震診断は、有得るか?
4.耐震補強のポイント
4-1.地震に耐えるには、強い壁(耐力壁)が必要
4-2.腐朽、劣化した部材は交換する
4-3.柱と土台、梁との仕口部及び筋違の端部は、金物で緊結する
4-4.基礎のひび割れ等も補修や補強が必要
5.リフォームと耐震補強の関連法
5-1.耐震改修促進法との関連
5-2.建築基準法との関連
6.写真(?)でみる事例
6-1.床下、天井裏を覗いてみる
6-2.耐震補強のここだけは押えておこう
7.その他
以上
第1回目の今日は、上記の通り「1.繰り返される地震 1-1.地震の被害想定」から始めます。
今後来るであろう巨大地震と私達が受けた阪神淡路大震災との被害を数値で比較し、改めて災害の恐ろしさと、災害への備えの必要性を最初に認識して頂くのが目的です。
↑ 「図表-1」:芦屋市の「安全・安心ガイドブック」より
添付の「図表-1」をご覧下さい。
過去に近畿エリアで起きたマグニチュード8前後の大地震の年表ですが、概ね100~150年の間隔で繰り返し発生しています。前回の東南海地震(1944年)、南海地震(1946年)から既に60年以上経過していることから、今後30年以内に起こる確率は、東南海地震が50%、南海地震が40%と云われています。又、これらの地震は、連動したり、ほぼ同時に発生する事が多いのです。
図表の「東南海・南海地震の被害想定」を見て頂くと、朝5時発生のケースとして、死者数≒12,100~18,000人(表の3,200人は間違いと思います?)、建物全壊棟数≒33~36万棟と想定されています。阪神淡路大震災(1月17日AM5:46発生)は、死者数6,434人、建物全壊棟数は≒104,906棟ですから、単純に比較は出来ないですが、死者数で≒2~3倍、全壊棟数で≒3~3.4倍になります。
因みに阪神淡路大震災の経済的被害額は、≒9兆9千億円とのことです。
例えばこれらの地震と東海地震が同時連動すると、大都市機能は完全に崩壊し、他都市からの救援は望めないとも云われており、その被害は想像を絶するでしょう。
ここで、阪神淡路大震災の兵庫県下の市町別被害数を見てみます。
3年前のデーターですが、2006年(H18)5月19日の消防庁確定被害数値から死者数の多い順に六市掲げると、下記のようになります。
市名 死者 行方不明者 負傷者 全壊 半壊 一部損壊
①神戸市 4,564人 2人 14,678人 61,800棟 51,125棟 126,197棟
②西宮市 1,126人 1人 6,386人 20,667棟 14,597棟 38,042棟
③芦屋市 443人 0人 3,175人 3,915棟 3,571棟 3,959棟
④宝市 117人 0人 2,201人 3,559棟 9,313棟 14,305棟
⑤尼崎市 49人 0人 7,145人 5,688棟 36,002棟 35,855棟
⑥伊丹市 22人 0人 2,716人 1,395棟 7,499棟 19,851棟
↓
合計 6,402人 3人 40,092人 104,004棟 136,952棟 297,811棟
(6,434) (3) (43,792) (104,906) (144,274) (390,506)
註:( )内数値は、兵庫県外も含む被害数。
神戸市は、全ての面でダントツに被害数が多いのがわかります。
又、上位六市が全て阪神間に集中しているのもお分かり頂けるでしょう。
「耐震改修促進法」が2006年1月26日に改正施行され、国の基本方針として耐震化率を75%から2015年(H27)までに90%にすることを目標としました。
これに伴い、兵庫県は「兵庫県耐震改修促進計画」を2007年(H19.3)に策定し、住宅の耐震化率を現況の78%から2015年度には97%とし、多数の者が利用する建物の耐震化率は現況の70%から2015年度には92%とする目標を定めました。
兵庫県は、同制度に則し「簡易耐震診断推進事業」、「わが家の耐震改修促進事業」等を国の支援を受けて事業化しています。別の機会でも触れますが、建物の耐震改修計画や耐震改修工事に対して、費用の一部を補助する制度です。
但し、国は「耐震改修促進法」を制定しているにも拘わらず、事業の主体は県などであるとし、県が事業化しなければ国からの補助は無いといったことになっています。従って、都道府県によって格差が生まれています。
又、各市町は独自に上乗せ補助事業等が可能であるにも拘わらず、兵庫県では神戸市を除いては殆ど進んでいません。神戸市は兵庫県下では、大変充実していますし、例えば昨年12月5日付にて県の平成20年度分の予算が無くなり、補助事業の受付けをストップし、新年度で予算が確定するまで補助金の申込みすら出来なくなりましたが、神戸市は独自に予算化し継続しています。県はその後、年度内に予定されていた戸建て住宅の耐震改修工事にのみ追加受付けを行うようにしました。
今日においては、芦屋市、川西市、姫路市及び赤穂市なども独自に上乗せ助成制度を実施していますが、被害の大きかった阪神間の西宮市、宝市、尼崎市等は、財政難等を理由として未だに実施されていないのが現状です。