アモルの明窓浄几

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『紙の爆弾』から

2012年08月06日 | 万帳報
大阪府と市が、岩手県とがれき処理について合意しました。
朝日新聞(8/4日付)によると、「東日本大震災に伴う岩手県内の災害廃棄物(震災がれき)の処理について、岩手県と大阪府、大阪市が3日、基本合意書を締結した。大阪府市が来年度末までに可燃物のがれきを最大3万6千トン受け入れる」というものです。
橋下徹市長は「復興に向け、一致団結してやっていきたい」と抱負を述べ、夢洲にがれきの焼却灰を埋め立てる方針とのことです。

今回は、月刊誌『紙の爆弾』8月号から二つの記事をご紹介します。

一つは、東日本大震災で発生したがれき処理で儲けるのは、大手ゼネコンだけ(見出しによる)というものです。[別添2の右側]
がれきの撤去費用だけでも1兆円。今後のインフラ整備まで含めると20~30兆円の資金が投入されるといいます。

記事によると、「…問題なのは、…官製談合の匂いがプンプンとすること。とくに宮城と福島だ。そのため公正取引委員会、さらには東京地検特捜部も動きだしたと聞く」と、建設業関係者の言葉として紹介しています。
例えば、一般競争入札ではなく、公平性を高めるためにプロポーザル方式を導入しているが、その方式に不審な点があると事例を挙げて指摘しています。

又、除染作業でも大手ゼネコンが続々と参入してきている背景には、除染作業を進めている「日本原子力機構」には、ゼネコンから大量の出向者が出ているといいます。
「発注者と受注者が混然一体ではないかという批判もあり、官製談合の疑いが出ている」とこれも官製談合ではないかと指摘しています。

がれきの処理を急ぐのは、建前では被災者のためといっているが、それだけではなさそうだと、うがった見方をしてしまいます。
短期間に大量のがれき処理や除染作業を行うには、大手ゼネコンでないと無理なのかもしれないが、それは談合とは別の話。税金が投入される事業に談合が行われている疑惑があれば、徹底的な解明がなされるべきでしょう。

二つ目は、日本中の至るところにある放射性廃棄物の実態をレポートしています。[別添2の左側]
先ず、三井化学岩国大竹工場の地元、中国新聞の記事(2012.4/23日付)を紹介している。

「22日午前2時15分頃…三井化学岩国大竹工場で、…レゾルシンプラントが爆発し、火災が起きた。…同社によると、工場の敷地内には触媒に使う放射性物質の劣化ウランが200リットルドラム缶で3379本貯蔵されていた。…ドラム缶に影響はなく、測定した放射線量も爆発前と変わらないとしている」

取材者の佐藤氏は、「この四月に同コンビナートで爆発火災が起きたおりに、初めて世に知られたのだった。…事故がなければ、われわれは劣化ウランのことなどしるよしもなかったのだ――」という。そして、「放射性物質を扱う施設は、政府の許認可行政の対象になっているので、霞が関のお役所は大雑把なことは把握している。…しかし問題は、周辺住民になんら知らされていないという事実だ。その意味で政府や企業は、危険な核物質を住宅地周辺に『秘匿』していると断言していい」と述べています。

別添3は、「平成20年度の放射性廃棄物管理状況」一覧表からの抜粋です。
佐藤氏は、「…0本と記されていても皆無とは限らない。この種の物質を扱う施設なので、実態は施設当事者からじかに聞くしかない。周辺住民は説明責任を追及せねばならない」と喚起しています。
詳細は下記のhpを参照して下さい。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/news/genshiro_anzenkisei/__icsFiles/afieldfile/2009/09/07/1284216_3.pdf

尚、ウラン触媒は、シリカ担体にアンチモンとウランの複合酸化物を担持した触媒なので、非常に安定しており危険性は非常に低いといわれている半面、劣化ウラン弾として知られている劣化ウランは、重金属であるため体内に取り込む(内部被曝)と重金属中毒になり有害であるともいわれています。
しかし、文科省は劣化ウランの毒性は自然界に存在するウランと同じか小さいとしています。
本当のところの安全性は如何なのでしょうか。


追伸:『紙の爆弾』9月号も是非お読みください。
ガレキ受け入れの恐るべきウソ・ホント――広域処理のまやかしを解く――
例えば、がれき特措法では、万が一影響があった場合は、責任は国ではなく、受け入れた市町村にあると明記されているそうです。
取材者の増山麗奈さんは、「大阪市此花区民に対する説明会で、橋下市長は『もしガレキ処理後、鼻血が出ても、因果関係が証明できないので補償責任はない』と発言した。裏返すと、ガレキ焼却が危険という認識を持っているということだろう」といっています。

その他にも、Q「そもそもガレキ処理は合法なの?」に対し、A「環境省は、神奈川県での広域処理説明会にて、『広域処理の根拠となる法律がない』ことを認めた。放射能は現行の全ての環境法令で定義から外されている。…」など、Q&A形式で私たちが知りたい、がれきの広域処理問題を解説しています。



[別添1] 『紙の爆弾』8月号の表紙



[別添2]記事の見出し



[別添3]平成20年度の放射性廃棄物管理状況一覧からの抜粋



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