アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

住まいと健康「タバコについて」

2010年07月18日 | すまいのこと
先般、いとこの奥様が肺癌で亡くなられた。他に父方の傍系や義兄も肺癌で入院、治療しています。偶然なのか必然なのか三人共に喫煙者です。

タバコに含まれる有害物質として良く知られるのが、タールやニコチンです。肺癌での喫煙者死亡率は、非喫煙者の4.5倍でが、咽頭癌においては非喫煙者の32.5倍ですから、「タバコは百害あって一利なし」と云われる所以です。

タバコの健康への悪影響は、喫煙者のみに限ったことではありません。
室内空間では、受動喫煙も大きな問題です。タバコの煙には、喫煙者が直接吸いこむ「主流煙」と周囲に流れる「副流煙」があり、副流煙の方が化学物質を多く排出します。

副流煙に含まれる化学物質とは、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンなどです。中でも最も多いのがトルエン[註1]で、タバコ1本当たり551㎍(マイクログラム)の排出量があり、その内の90%以上は副流煙として排出されます。

以前、NHKテレビで放送されましたが、ホタル族がベランダで喫煙すると、風向きによっては窓の隙間から煙が室内に入ってきます。又、すぐに室内に戻ると肺に溜まっていたものが排出され、室内を汚染します。

喫煙者だけでなく、室内に居る家族にも害が及ぶのです。大切な事は、副流煙の方がはるかに多く汚染物質を排出すると云う認識をもつ事です。

住まい(建物)が健康にどのように関わるのか、今後も建築士の立場からの話題を提供して行きたいと思っています。


註1:トルエンは、ベンゼン等と同じ炭素を含む化学物質で「揮発性有機化合物(VOC)」の一種です。多量に吸引すると中枢神経が冒されます。
仙台市衛生研究所の推計によると、六帖の部屋でタバコを一本吸うと室内の汚染度は、トルエンだけで5.3ppb[註2]の濃度となります。
尚、厚生労働省のガイドラインでは、トルエンの室内濃度指針値は、260㎍/m3(0.07ppm)です。
→ http://homepage2.nifty.com/shk_DB/hyoka/hyoka_1_guidelineF.htm

註2:ppbとは、単位体積当たりどれだけの体積が含まれているかを示す単位の一つで、10億分の1を表します。因みにppmは、100万分の1を表します。


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