アモルの明窓浄几

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耐震診断と耐震補強について-11

2009年03月13日 | すまいのこと
第11回「4.耐震補強のポイント 4-3.柱と土台、梁との仕口部及び筋違の端部は、金物で緊結する」

               ↑ 「図表-18」:耐震補強のポイント その3

阪神淡路大震災は直下型地震とも云われ、柱が土台から抜け落ちてしまったケースが多くありました。その被害状況が「図表-18」の写真です。

阪神淡路大震災の教訓を基に2000年(H12)の建築基準法改正では、柱と土台・梁との接合部及び筋違の端部を金物で緊結するよう告示第1460号で仕様を特定されました。

「図表-18」の写真は、柱脚部と土台・基礎及び筋違下端部における金物の取付け状態の事例です。必ずしも、これと同じ金物を使用するわけではありません。
筋違の金物は、筋違の材種・寸法等で決まり、柱と土台・基礎との緊結金物は、通常N値計算に基づいて決めます。

耐震補強計画の段階で注意すべき事は、第8回目にお話した某共同組合の事例のように告示第1460号による検討が、補強壁部分のみで済ましているケースです。既にお分かりでしょうが、建物全体の木造軸組部について検討する必要があるのです。

又、簡易耐震診断においては、告示第1460号による検討が義務付けられていないため、総合評点が1.0以上の「安全」ランクと判定されても、安心は禁物だと私は考えています。
元々、簡易耐震診断は上級診断のための予備診断であるため、告示第1460号による検討は不要と判断されているものと考えています。従って、簡易耐震診断の評価に左右されず、「一般耐震診断」は受けておかれるのがよいと思います。
尚、「筋違」は、「すじかい」と読みますが、筋かい、筋交と表現する方もいます。

最後に床や小屋面の水平部分について触れておきます。
特に二階建て住宅の二階床組面及びそれと繋がっている一階小屋組(下屋)水平部分の面剛性は、建物のねじれ等を押えるのに大変重要な部位です。
壁の補強と合わせて床構面の補強を検討する事が必要です。


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