アモルの明窓浄几

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敷地について

2007年04月06日 | すまいのこと
法務局へ行かれて住宅地図を閲覧すると、一つの地番の土地に複数の建物がある場合があります。
登記法上は、一筆の土地に複数の建物が存在しても何ら問題はないのですが、建築基準法上は、少しややこしい事になります。

建築基準法では、敷地とは『一つの建築物又は用途上不可分の関係にあるニ以上の建築物のある一団の土地をいう。』(建築基準法施行令第1条1項1号)となっています。
別な言い方をすると、建築物のない土地は、建築基準法上の敷地とはいえません。先ず、ここを押えておきます。次に一敷地に一建築物のみしか建てられないという大原則です。貴方のお住まいの敷地に別棟の店舗や貸しアパート等がないでしょうか。

一敷地(一団の土地) = 一建築物   ← 大原則
一敷地(一団の土地) = 複数の建築物 ← 建築物どうしが用途上不可分の場合のみ

ここで、一団の土地とは、飛び地でない地続きの形態である一区画の土地をいいます。
尚、一つの建築物の敷地になる場合には、複数の筆や所有者に分かれていても原則かまいません。但し、同一所有者の土地であっても塀や柵等で仕切られている場合などは、一団の土地とはなりません。
又、行政庁には開発事業における条例等があり、建築確認申請に先立って協議しなければならず、対象の敷地が分筆によって生じた土地の場合等には、一定の条件が付加される場合があります。これは俗に言う敷地の二重使用や開発逃れ等を防止することを目的としていると思われます。

又、用途上不可分の建築物とは、用途上分けると意味をなさないもので、母屋と離れ(炊事場や便所等がないこと)や物置小屋などです。逆に、用途上可分の建築物とは、分けても機能上支障がないもので、複数の住宅やマンションなどがそれに該当します。ひらたく言うと主従関係にあれば用途上不可分であり、独立関係であれば用途上可分と言ったところでしょうか。具体的には、外観上、構造上の考慮も必要なので、可分・不可分は個別的判断になるようです。尚、一団地の総合的設計・連担建築物設計制度などを利用すると、例外としての特例があります。

以上からお判りだと思いますが、用途上の可分・不可分の関係は、極めて大切な事柄です。
貴方の敷地に用途上可分な建築物があれば、違法建築物若しくは、既存不適格建築物となります。
建替えなどの時は、同じ建物が建てられず、敷地を分割すれば、以前「位置指定道路について」でお話しましたように分割された敷地は其々道路に接していなければなりません。

この様な問題が隣接地で起これば如何でしょうか。
具体的な事例として、五十嵐敬喜・小川明雄両著の『建築紛争』(岩波新書)をご紹介します。
まえがきで”たとえば、耐震強度が「質の偽装」なら、複数のマンションを渡り廊下でつないで一棟として確認申請し、各棟をそれぞれ別棟として建築した場合の倍もの戸数を建てるという「数の偽装」が横行し始めました。”といっています。更に、一団地認定制度による合法的「数の偽装」も紹介されています。この十数年に渡る都市計画法、建築基準法等の規制緩和の流れは、急速に市民生活を崩壊へと導いています。是非、一読されることをお勧めします。


ここも見てください。
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