蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

飴玉一つの距離

2015-11-10 17:51:44 | 日記
 今ではもう駄菓子屋でしか売っていないような飴を口に放り込んで玄関を出た。この飴玉はきっかり10分で口の中で溶けてしまう。今日は、どんなところに行くのだろうか。できるだけ通ったことのない道を選ぶ。袋小路になっていて、引き返すこともあるのだが。

 空地に女郎花が咲いていた。写真に撮る。下校途中の小学生とすれ違う。一人は手ぶら、一人はランドセルを背負い、さらに片手に持っている。いじめ?ずっと見ていると、二人はじゃんけんをした。ランドセルを手渡された方が背負い、片手に相手のランドセルを持って歩き出した。あんなことをやったような記憶がある。

 大きな家がある。煙突がある。薪ストーブでもあるんだろうか。あれは掃除が大変だと聞いたことがある。こんな大きな家だから、使用人の一人や二人はおいているのかもしれない。

 ゆっくりと坂を下って行く。枯れ葉が、側溝に積もり始めている。そういえば、ここ一週間ほど晴天続きだ。

 空を見上げる。秋の青空だ。すじ雲が見える。立ち止まって、大きく伸びをし、両手を握り、水平に後ろに動かして、肩甲骨を寄せる。ちょっとしたストレッチになる。この空も撮っておこう。

 10mほど向こうの道路を猫が横切って行った。サバトラだ。そんなに大きくはない。少し急ぐ。横切って行った方を見ると、丁度草むらに飛び込んだところで、尻尾が吸い込まれていくのが見えた。

 小さな道に入る。ひょっとしたらという勘は当たって、袋小路だった。陽のささないところに小さな切り株が残っている。キノコが生えている。ルーペを出してみてみる。裏のひだひだになっているところも見る。ウェストポーチの中に入れてきたペットボトルを取り出して、一口飲む。

 あっ、今日はここで時間切れか。飴玉は全部溶けてしまった。

 どんなところかな・・。自分の名前と同じ名前の表札が目に入った。

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