何、何? このバイクの群れ。
バリ島の、ガルンガン(お盆みたいなもの)の期間中の、山すその村。
バイクの方に行ってみると、人だかり。男たちが鶏を抱え、真ん中には土俵……マウンドっていう? どうやら闘鶏、スラウェシで話には聞いていたけど、目撃するのはこれが初めて。
でも、見事に男ばかりで、こういうところで旅人は調子に乗ってとんでもない恥ずかしい行いをしてしまうこともあるので、一応聞いてみる。
「あのー、女でも見ていいでしょうか?」
「もちろんだとも! 見なさい、見なさい」
と返事。
さすがに男ばかりの中にどかどか入って行って真ん中で見たりしたら、どっちが見られるのか分からない事態になってしまうので、なるべく人影に隠れるようにして、後ろのほうからこっそりのぞき見る。
男の人のうち2人が、抱っこしていた鶏と鶏を突つかせ合って、片方の鶏が走ってちょっと逃げたり。(前の記事に書いたけど)な~んだ、闘鶏って子どもの遊び程度かなと思っていたら
きたきた、幹事みたいな人がお金を集め始めた。
みんな周りからお金を投げています。
そして次々選手入場。数羽の鶏が舞台に上がっています。
さっきから気になっていたこの革の入れ物。みんないいお財布持っているなと思っていたら、じゃばらになったポケットの一つ一つに、ピカピカに磨かれたナイフが入っていて、どれにしようかと選ぶのです。
そしてそれを片方の脚に後ろ向きにくくりつける。赤い糸でやるのが決まりのよう。
そう、これからが本番。さっきの突っつき合いは練習か、闘志を出させる刺激みたいなものらしい。
そしていよいよ。最初の2選手がピカピカのナイフを脚に付けてマウンドに上がり、やあっと試合が始まる。わぁ~っと盛り上がったかと思ったら……、
あっという間に終わりました。その間、5秒もなかったような。
見ると、片方の鶏が、横たわってこときれていました。勝った方は興奮してぐるぐる歩き回っている。
鶏は興奮してケンカ状態になると、どうやら脚を振り上げるらしい。
おそろしや。その最中は怖いので見てなかったけど、事後を見ても怖い。
けど瞬間的に死んじゃうようなので、そんなに苦しみはしなかったでしょう。
鶏はもちろん食べられるそうです。
マウンドの横にはお供え。闘鶏の神様でもいるの? お供えは米、それに鶏もつけるってのはなんとなく変な感じだけど。
会場の裏にお洒落な籠。さっきバイクの両脇にこの籠をつけて走っている人がいて、わぁ、かっこいい籠!と思っていたら、こんなところに来ていたのでした。もちろん中は鶏。スタンバイ中の選手もいるけど、左端の籠からは首をだらりと出して亡くなってる鶏。地面には赤い糸がいっぱい捨てられている。
この籠、日本の猫が病院に通う時の籠として売ったら売れるんじゃないだろうか。でも猫はバリバリやるかも。
鶏たちの災難をよそに上機嫌な人たち。ミーバッソ(麺)食べましたね。丼あり。
男たちがギャンブルに講じているころ、女たちは一心に祈りを捧げています。
全く男ってモノはっ……。
男の罪を女の祈りで相殺してもらっているのでしょうか。
ただ、男の人でも、闘鶏は嫌いで行かない人もいる。中には付き合いでいやいや行く人もいるのかも。
それにしても闘鶏の場には本当に女性の姿を見なくて、やっぱり暗黙の女人禁制なんじゃないかと疑ってます。そんなところに行きたいと思う女の人もそういないのだろうけど。
闘鶏を無視してお祈りから帰ってくる女の人たち。
ちなみに、闘鶏なくなると村の男のつながりも薄れるだろうから、決して否定してるわけじゃありません。それにギャンブル以外の何かもあるのだろうし。
Photo/Payangan, Bali, Indonesia(2014年)
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