茜ちゃんのつれづれ草
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* 貝殻の写真は<サワラちゃん>が自ら採取したり、頂いた貝殻です。
先回はコンピューター画像処理技術によって、本人が認識できない記憶の間違いを探すことが可能であるという、<記憶の真偽性>について書いてみました。先回の例で考えますと、短期記憶を司る海馬で一連の<菓子>の名前を記憶する際に、名称だけでなくそのものの音声記憶も同時に記憶をし、分散処理をしていたわけです。
「菓子」という名称は被験者に述べていないのにもかかわらず、恰も云われたように錯覚をした理由は、別な事情によるものだということがわかります。一連の単語に共通しているのが「菓子」という概念だったからです。
被験者は前頭葉で考えて、恐らくこの名称を云われたかもしれないと類推したのでしょう。記憶ではなく思考での処理をおこなったのでしょう。結果的に錯誤となりました。これが<記憶の真偽性>のもう一つの理由になりました。
次に<PTSD・心的外傷後ストレス精神障害>と記憶との関係について考えて見ましょう。
この精神疾患におかされると、悪夢を見たり、トラウマを受けた瞬間をはっきり思い出したり、不安、激怒、執拗なトラウマ時の記憶、焦燥感、集中力の欠落などが見られます。このような疾患のある患者の右の海馬の大きさが常人より8%も小さいというデータもあります。
海馬は大脳の中心部の大脳基底核から伸びており、タツノオトシゴのような形状をしており、左右2個あります。海馬に入ってきた情報の内、短期の記憶には特に反応をするそうです。入ってきた情報はそこから長期にわたるものとして固定されるか、すぐ忘れるかに分かれます。
* この取捨選択が出来ない時は、これまた大変なことに繋がります。以前ご紹介した<サバン症候群>という精神疾患に似たことが出てくるのかも知れません。
海馬の縮小が海馬の細胞全体の減少化か、脳細胞間を繋ぐ長い枝である樹状突起の萎縮によるものか、あるいは細胞自体が死んだことによるものかは解らないそうですが、いずれにしてもPTSDは海馬を損傷させることは間違いないようです。
PTSD患者の記憶障害はその多くが食料品のリストや電話番号といった言語的な面に現れるそうで、常人より40%も劣っていたというデータもあります。しかし、IQ値や見たものに関する場合や、語彙など、他の記憶に関しては全く支障がないのです。その理由は不明です。
では何が海馬を萎縮させるのでしょうか?
結論から書きますと・・・・海馬の萎縮は危機に対応するために、脳が分泌するステロイドホルモン、コルチゾールの量が高まった結果起こる・・ようです。また、グルココルチコイドも大量に放出された場合には海馬に害をおよぼすとされています。動物実験でも繰り返しストレスを与え、分泌を続けさせると徐々に海馬のニューロンが死にはじめる。
動物実験段階のことですが、ストレスを遮断する薬を与えたところ、海馬の樹状突起が再び成長を始めたようです。いずれにしてもストレスは海馬の健康状態にマイナスに作用することが解りますと同時に、ホルモンが密接に関係していることが解ります。
海馬は記憶の入り口ですので、非常に重要な脳の器官ということがお分かりいただけたと思います。 それでは、最後にもう一つの問題が残っています。
短期記憶と長期記憶、つまり海馬には<忘れていいものと覚えておくもの>を判断するメカニズム、簡単に言うと切り替えスイッチが有るのでしょうか。これがCREBと呼ばれるたんぱく質でした。このたんぱく質はハエ、鼠、人間の中にもあるもので、いずれの中でも同じ原理と仕組みで働いているのです。
このCREBというたんぱく質とさまざまな記憶処理が硬く結びついていることが確かになって来ています。では、次回はこのCREBの記憶に関わるメカニズムをお話したいと思います。
Tea time
「カシミール効果」
先回から始まった物理学の基礎的な事柄に入る前に、一話題!
この Tea time のコーナーでは当初ノーベル物理学賞受賞者・南部 陽一郎博士の業績の一部をご紹介し始めたのが事の始まりでした。 過日、京都市の郊外の奈良県境にある、京都国際研究所で行なわれた講演会に、筆者のお爺ちゃんが聴集者の一人として訪れたのがそもそもの発端でした。
今でも強く記憶に残っているのが、教授が最後に話してくれた<今研究している事>でした。 ・・・・・・ 「カシミール効果」です!・・・・・
カシミール効果???・・・・ヒマラヤ山中に有るカシミール?・・・今度は山の研究でもするのでしょうか。似たような名前の布地のカシミアでもありません。
カシミール効果とは・・・・<真空中において、二枚の金属板をごく狭い距離で隔てえ立てると、二枚の金属板は互いに引き合う>・・・・実は純粋に物理学の問題なのでした。量子論・量子力学の問題でした。
この物理学の問題は最新の研究では有りませんでした。1948年にカシミール(Hendrik B.G Casimir)が指摘したのが、この問題の嚆矢でした。その後、ラモ-(Steave K. Lamoreaux)が、この現象を1997年に高精度で実験的に検証しました。実験で得られた値は。カシミールが理論的に予想した値と5%しか違わなかった。
京都国際研究所で聴いた講演は、博士がノーベル賞を受賞する数年前でしたから、ラモーの実験結果からほぼ10年も経たない頃でした。いったい何の役に立つの?というのが素朴な疑問でした。
将来の電力供給をこのカシミール効果を使って、地球規模の発電所を造るのです・・・・・・<発電所!>・・・・何だか解らないけれど??・・。そりゃよい事だ!
というのが率直な感想でした。(^-*)
* 余談 カシミア(cashmere) カシミール(Kashmir)
先般来から素粒子物理学の分野の事柄について、様々な事象についてランダムに書いてきました。このブログを見て下さる方々の中には、物理学の学習をされた方、始めたばかりの高校生、学生時代履修しなかった方、これからの中学生などいろいろ居られるとおもいます。
筆者としては向学心に燃える若い方を想定して、また、自分の物理学の再学習として書いていくつもりです。その際使用する資料や参考書を予めお知らせしておきたいと思います。
1- 高等学校「物理」教科書 2- チャート式 新物理 B
3- ノーベル賞で語る 「現代物理学」 池内 了 ・ 新書館
4- 「基幹 物理学」(基礎から量子物理学まで) 星崎 憲夫 ・ てらぺいあ * 数学の再学習(ベクトル・微分・微分方程式等)にも役立ちます。
5- 「国立 佐賀大学 物理学科」 の公開資料 ・ 船久保研究室
6- Web公開資料・原則としてNASA、JAXA、理化学研究所、大学の研究所な どの公的研究機関の最新資料
以上を参考資料として使用します。読者の方も是非参考にされてください。 物理学の学習では数学的なツール(数学式)を使わないと、厳密な事が書けないのですが、出きるだけ平易な文章で、専門家から見ると反って、拙い解り難い文章になると思いますがその辺はご理解ください。
次回からは「 物質の構成要素 」・・電子・原子・原子核について、高等学校の教科書、参考書で書かれている所から始めようと思います。
姉妹ブログ
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