南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

西南諸島貝殻学入門-014

2013年08月29日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -014

 

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特集版

 

                                

 

タカラガイ宝貝世界

 

 

 

 

 やっと長かった旱魃気味の史上最長の乾いた日々が終わり、毎日スコールが通っていく夏になりました。いままで晴れていたと思っていたら、急に土砂降り。洗濯物が一瞬でパーになる。今年は夏が厳しかったせいか、いのししが早くも到来しました。 畑の紫芋(サツマイモ)が大被害。憎たらしいヤツメ。

早速、垣根の補強をし、石を並べて浸入阻止に努めました。太さ1cmのロープは牙でカットされました。牙は危険な凶器ですね。子豚位の奴がトタン板に激突して、垣根を突破しようとする音が闇夜に木霊します。今年はかなりやられそう。早速役場にイノシシの殺傷依頼。彼らは根の物を狙います。畑のそこら中が穴だらけになります。

 

 晴れ間を見付けて、海岸を散歩しました。

 

               何時ものメンバー。目新しい物は有りませんでした。

 

 

日本の名宝タカラガイ

 

         生きている海の宝石 タカラガイ より

 

先回までは、<テラマチダカラ>までご紹介しました。タカラガイを蒐集している方は数多く居られますが、その中でなかなかお目に掛からないタカラガイと言えば、「アケボノダカラ」だそうです。

 

     アケボノダカラ        Kijineko サンのHPから掲載

 

それほど見た目には派手さもなく、砂浜では転がっていても磨耗貝と間違いそうな貝です。

鳥羽水族館から掲載

 

このタカラガイは一見何ともない普通のタカラガイの様に見えますが、大変レアな貝でコレクターも稀な様子。小笠原諸島の先端の海中に生息するといいます。350~500mの深海。

Nesiocypraea midwayensis midwayensis(Azuma&Kurohara.1967)

12~27mm位のサイズ。   鳥羽水族館では¥650.000円の販売価格だそうです。

 

                               

 

ちょっと一服  話の喫茶店 

 

 

上の写真のタカラガイは<チドリダカラ>の一種として保有しているのですが。どうも図鑑のチドリダカラのように、殻の表面に顆粒の粒々が見えません。 殻長21mm

これが「アケボノダカラ」だったらネ!・・・・3個で150万円・・・ありゃ~って感じですが

                            ・・だれか同定してみない  

 

        サクライダカラ     KijinekoさんHPより掲載 

Austasiatica sakuraii sakuraii (Habe 1970) ・50mm

日本~台湾~フィリッピンの80~250mの深海に生息する。底引き網で捕獲される。絶対数が少なく数万から10万円だそうで。

それでは最後に「ニッポンダカラ」をご紹介!

 

ニッポンダカラ  Kijineko さんHPより掲載

 Austasiatica Langfordi langfordi (kuroda,1938) 57.5mm

日本、台湾、フィリッピン海域に分布し、紀伊半島~東シナ海の深場。底引き網で捕獲される。海の側面のオレンジ色が美しいです。

同じ<ニッポンダカラ

 

 これでタカラガイの日本5名宝をご紹介しました。どれも一般の人には手にするのは、簡単ではありません。奄美群島はチャンスが有れば行ける所なんですが、何分にも海の深場です。250~500mm  

 最近残った整理未了の小さな貝達。同定すればとんでもない未発見の貝が有るかもね???・・・如何ですか? 年を取って来ると視力の関係から、微笑貝や殻径の小さな貝は苦手ですね。

                整理未了の貝

 

 次回はいよいよ、「世界の5大名宝」を見てみましょう。

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西南諸島貝殻学入門-013

2013年08月22日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -013

 

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                  オキナエビス世界-02

 

* 先日、姉妹ブログ<加計呂麻島貝殻図鑑>で「オキナエビス」を公開しましたので、もう少し詳しくご紹介しましょう。それまで「タカラガイ」はお休みといたします。

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           ベニオキナエビス(HPから転載       

 

 

先回は「オキナエビスガイ」の仲間をご紹介しました。世界に今のところ27種類しかいなく、その内26種類が神奈川県の真鶴にある博物館に収蔵されております。 奄美群島からは4種類が採取されております。 数百mの海底に生息していますので、潜って採取は極めて難しく、奄美のように珊瑚の海底からの採取と共に、偶然発見されることがあります。 死貝でしたら大荒れの海の後に、海岸に偶然に打ちあがることが有るかも知れません。

いろいろHPを調べておりましたら個人の貝コレクションで超有名な「世界の貝」のHPで、23 種類ものオキナエビスガイ科の貝をコレクションしておられました。驚きました。ただ、チャールストン・オキナエビスは有りませでした。でも、すごいコレクターですね。これだけでも新築住宅が建設出来るくらい・・・

      <世界の貝オキナエビス・・ http://www.shellsprsk.com/pleurotomaridae.html

 

   

 「訂正」

 

8/10更改しましたこのブログの中で、誤りがありましたので訂正します。

1-

   <コナガニシ>     <ヒメイトマキボラ>

 

 

                  ヒメイトマキボラ    ↓              コナガニシ   ↓

                      

 

2-

                            < ヒオウギガイ > →   チサラガイ

             

                 ヒオウギガイ

        

 

形は良く似ていますが、殻の表面の柄模様が違いますし。色合いも違います。所蔵のケースを探しましたら、チサラガイが9個で出てきました。この貝はなかなか落ちていませんし、欠けた物が多いのも特徴。

                                チサラガイ                   ↓ 70x70mm

                              

3-

                   <コチョウイモ>   →   <ハルシャガイ

                   

この貝は同定で大変迷いました。

    コチョウイモ・採取 アフリカ       ハルシャガイ             ハルシャガイ

       

                          

                      ハルシャガイ  (最も一般的) 

 

 

いろいろな方のHPから転載しました。筆者が沢山持っているハルシャガイが一番下のタイプです。加計呂麻島には2種類程居るようです。記憶だけでは当てにならない代表的な例です


 

 

    「オキナエビスガイの種類」

    

オキナエビスガイの仲間は現在世界中で27種類が発見されいます。その内26種類が日本の博物館に収蔵されております。WIKIで調べてみました。どのような構成になっているか。

Entemnotrochus リュウグウオキナエビスガイ属

   ● 1. リュウグウオキナエビスガイ 

   ● 2. アダンソンオキナエビスガイ

     3. バーミューダオキナエビスガイ(2+の亜種

 

Perotrochus ヒメオキナエビス属

    4.アフリカオキナエビスガイ

    5.テラマチオキナエビスガイ4の亜種

     6.ユウバエオキナエビスガイ 

     7.アケボノオキナエビスガイ

    8.ヒメオキナエビスガイ

     9.ヤサヒメオキナエビスガイ(8の亜種

    10.ミダースオキナエビスガイ

    11.ルカイヤオキナエビスガイ

     12.マコトノオキナエビスガイ

    13.サンゴカイオキナエビスガイ

    14.ニューカレドニアオキナエビスガイ

   ● 15.ナンバンオキナエビスガイ

    16.ゴトウオキナエビスガイ

 

Bayerotrochus Hrasewych

   17.ミナミオキナエビスガイ

  ● 18.ゴコウノオキナエビスガイ

 

Mikadotrochus Lindholm オキナエビスガイ属

   19.ベニオキナエビスガイ

  ● 20.オキナエビスガイ

  ● 21.コシダカオキナエビスガイ

      22. Mikadotrochus schmalzi Shikama(21の変異型)

  ● 23.ブラジルオキナエビスガイ(タイセイヨウオキナエビス)

  ● 24.ホウセキオキナエビスガイ

  ● 25.アカネオキナエビスガイ

  ● 26.アンシュウオキナエビスガイ   


  所属不明

     27.チャールストンオキナエビス

以上が27種類のオキナエビスガイのリストです。唯、27番目は詳細不明です。中南米・カリブ海に生息するとか。カリブ海、中南米海域に多く生息している傾向は有ります。そして、奄美群島の喜界島沖も顕著な特徴です。 

 ● はHP「世界の貝」で掲載されている貝ですが、一部2個ほど名称が合致していませんでした。今後調査をして見ましょう。 下線の貝は既にご紹介済みのものです。 

  

 

ベニオキナエビス・白化型(鳥羽水族館HPより転載

          

 

白化型は所謂<アルビノ>です。非常にきれいですね

  Entemnotrochus adansonianus   Adanson's slit shell          

         アダンソンオキナエビス鳥羽水族館HPより転載          

        

 

色合いの鮮やかなオキナエビスです。とても綺麗です。バーミューダ島、西インド諸島、ブラジル近海などの深海に生息。スリットが深く真上から見て中心角は150度を超えるという。

 

 Perotrochus africama Tomlin     African slit shell

         アフリカオキナエビス(鳥羽水族館HPから転載)

 

南アフリカ近海の砂泥の海底に生息する。

 

 Mikadotrochus anseeui  (Knazawa et Goto

                アンシュウオキナエビスガイ(鳥羽水族館HPから転載)

フィリッピン近海に生息する

 

 ちょっと一息  話の喫茶店 

 

須磨海浜水族園の「テラマチオキナエビスガイ

神戸市の須磨海浜水族園で生きた「テラマチエビスガイ」の展示をしておりました。この種は水深100~600mの深海に生息し、肉食性でカイメンやサンゴを食べています。飼育下ではアサリや魚の切り身を食べるそうです。

貝というよりもカタツムリのような感じです。古代からの生きた化石です。(カンブリア紀)

 

 

 

               

 

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西南諸島貝殻学入門-012

2013年08月11日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -012

 

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                  オキナエビス世界-01

* 本日は姉妹ブログ<加計呂麻島貝殻図鑑>で「オキナエビス」を公開しましたので、もう少し詳しくご紹介しましょう。「タカラガイ」はお休みといたします。

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オキナエビス>(翁戎)と言えば、一昔は一般人は手も出ない高価かな貝で有名でした。今でも高価な貝は沢山有りますが、この貝は桁が違っていました。 高価な家が一軒買えるほどの値段。 ¥36、000、000円・・・

鳥羽水族館で1969年に購入した<リュウグウノオキナエビス>は1万ドル=¥3、600,000円・・高級新型乗用車一台分でしたでしょう。

 

        リュウグウノオキナエビス(鳥羽水族館)・E.rumphii

 

リュウグウノオキナエビスを最初に発見したのは、オランダのG・E・ランフが1879年に東インド諸島モルッカ島の沖で採取されたものを手に入れました。昭和になってから高知県でこの子貝1個、翌年フィリッピンで1個が採取されました。しかし、戦争中に消失。その後、昭和1969年に台湾で採取されました。

そして、当時市場での最高価格は<ウミノサカエイモ>で、¥720.000だったとか。そのようなことからこの貝が鳥羽水族館で一万ドル(¥3.600.000)で購入されました。

                        ウミノサカエイモ   (惜しかった、昔にタイムスリップしないかな ) ↓ 

 

 

 東シナ海やフィリッピン周辺で数多く採取されるようになると、市場価格は大幅に下がってしまいます。これは経済原則なので致し方ありませんが、学術的価値は変わりがありません。 同じ貝でも日本産は外国産に比較して高価です。筆者が保有している貝の中で、似たような傾向の貝があります。

 

                オオイトカケ(ガイ)               加計呂麻島で採取

                        ↑  フィリッピンで採取

  オオイトカケは神奈川県真鶴の「遠藤貝類博物館」のシンボルの貝となっております。因みに入場券には<ウミノサカエイモ>が印刷されておりました。以前はオオイトカケは高価な貝の一つでした。 

       

  マコトノオキナエビス(鳥羽水族館)・Perotrochus tosatol

            

現在世界でこの貝は4個のみ。パリ自然史博物館(1)、 ベルギー(2)、 鳥羽博物館(1)のみとか。

* 神奈川県真鶴の「遠藤貝類博物館」にも、もう一個所蔵されている可能性があります。未確認ですが!

序でに書きますと、神奈川県真鶴の「遠藤貝類博物館」には26種類のオキナエビスガイが所蔵されているとのこと。後はチャールストン・オキナエビスで全て27種類が揃うとされております。

 

次は筆者が保有しているオキナエビス2個

 

                  テラマチオキナエビス・ P.teramachii kuroda

 

東シナ海 水深380mでトロールにて採取   鹿児島の海域でも採取されている。

 

                           殻径 110mm

            

 

                         ベニオキナエビスMikadotrochus hirasei

                     70mm

 

東シナ海 水深130mでトロールにて採取 奄美本島 喜界島南西沖でも採取されている。 

                                       ↑ 黒潮

                               ↑ 加計呂麻島       ↑ 黒潮

 

       

 

奄美海域のオキナエビス

 

奄美大島の沖に喜界島が有りますが、この2つの島の間の沖合いで、4種類のオキナエビスの仲間が採取されました。水深250m~320mくらいの深さで、珊瑚の採取の際に採取されている。一箇所でオキナエビスが4種類も見つかるのは世界的にも珍しいのです。

以前も書いたことですが、東京大学理学部の佐々木教授の著した教科書「貝の博物誌」には相当数の奄美産の貝が掲載されております。また、かの有名な斉藤 宏氏の「世界の貝」のHPの日本産の貝の大部分が奄美産の貝で占められております。日本で生息する貝の総数は7~8.000種とされていますが、その内奄美は4.000種を占めているそうです。

新種の貝はまだまだ沢山有るかも知れません。奄美大島、喜界島、トカラ列島は貝の宝庫かも 

それではその4種類のオキナエビスの内訳は

     1- コシダカオキナエビス 2- リュウグウノオキナエビス 3- ゴトウノオキナエビス

       4- ベニオキナエビス   

 

 コシダカオキナエビス・ M.schmalzi

 

 

1983年秋、<リュウグウノオキナエビス>と同時に奄美沖合いで採取されました。

 

ゴトウノオキナエビスPerotrochus gotoi Anseeuw

  

1997年5月奄美沖で国内で初めて採取されました。喜界島南西沖水深250m付近でした。それまではこの貝は1990年にフィリッピンで2個採取されているだけでした。 

 

  ちょっと一息 話の喫茶店   

加計呂麻島貝殻図鑑-オキナエビス」でご紹介しておりますが、 このオキナエビスは生物学的には貴重な貝で、シーラカンスのような生きた化石とされております。奄美大島にはこのほかに「アマミノクロウサギ」がおりますね。

オキナエビスの他の貝と比較して特長的なことは

                                       ↑ 長いSlitt

1- 心臓と鰓が左右に対をなし、神経系がはしご形に後方へ走っている。左右対称の性質が多い。
2- Slit Shell のごとく、殻底の近辺に長い切れ込みが有るのが特徴。 これは通常の貝の水管溝と同じく、肛門、排出器官、生殖器官の開口部と対応している。

Slitのある貝はこの他に「クチキレエビスガイ科」の貝が存在します。

                      コデマリクチキレエビス・Anatoma lamellata

確かにSlitが確認できます。この貝は遠州灘200~300mのところで採取されたものです。確かに良く形状が似ております。

オキナエビスの貝が海浜の拾いで採取出来るかどうかは分りません。 奄美大島と喜界島の間の海岸は断崖が多く、余り砂浜の部分は多くはありませんが、岩礁の間の砂浜もところどころ有りますので、可能性はなくはありません。何れはこの辺りを散策してみようと思います。人の入らない部分に人知れず打ちあがっているかも?


 

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西南諸島貝殻学入門-011

2013年08月10日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -011

 

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  タカラガイ宝貝世界

 

 連日、暑い日が西南諸島には続いております。 にもかかわらず、九州から東北までゲリラ豪雨が荒れまくり、100mm/hというような所が続出しております。西南諸島は今月に入ってから殆ど纏まった雨が降っておりません。どうしてこのような極端な現象が出てしまうのでしょうか。近くの古老も珍しい天候とか。 旱魃でしょうか?X?

 

加計呂麻島・太平洋岸

 

 

タカラガイをご紹介中ですが、その前に先日、8/03に暑い中太平洋岸に出向きました時の採取成果をご紹介しましょう。

海浜には鹿児島県の小学校の生徒が林間学校を開いており、黄色い声が辺り一面に木魂しておりました。 青い空、紺碧の海、入道雲の夏のシーンが広がっています。 この辺りは<渥美清の寅さんシリーズ>ロケ地でもあります。

強烈な紫外線の下で、2~3時間採取した結果をご紹介。 途中、暑さでダウンしそうでした。

 

                               全体図

 

 

時間の割には多くの種類と数を手にしましたでしょうか。でも、ホームランはなし。ヒットが数本。

  A

コナガニシ ↓ ヒオウギガイ↓         タルダカラ ↓

                                     ↑ チョウセンサザエ

 

120mmの<コナガニシ>、<ヒオウギガイ>、<チョウセンサザエ>がヒットクラスでしょうか。棘のないタツマキサザエは沢山転がっておりますが、チョウセンサザエ はなかなか手に入りません。

 

                       コナガニシ

 

今まで数個の<コナガニシ>を手にした中で一番きれいな貝でした。欠けも磨耗も少なく上品。

 

      タルダカラ

        

 

殻の外側の模様が磨耗していますが、この貝のように一般より薄い色合いの貝も有ります。 通常は殻口は黒に近い褐色です。

      ヒオウギガイ

          

 

大きさは中程度でしょうか。 二枚揃えの完品では有りませんが、傷も無く美しい色合いでした。 左は過去に採取したもの。偶然だけが手に入れる手法です。

 

                 B

 

 <オニノキバフデ>、<シラクモガイ>、<イボソデ>、<ガンセキボラ>、<レイシガイの仲間>、<センジュガイの仲間>、リュウキュウツノマタ>・・・・・その内に詳細をご紹介しましょう。

    イボソデ                              ツノテツレイシ

            

 

何時も手に入るようになった<イボソデ>ですが、磨耗も無くそこそこの大きさ。ツノレイシよりは数は少ない<ツノテツレイシ>・・・突起が磨耗も無く良く残っております。

                     コチョウイモ ・ 50mm

この貝ははじめ同定に手間取りました。 小さな貝図鑑では<ハルシャガイ>にそっくりの写真が掲載されておりました。この貝の実物は既に数個もって居りますので、違うことが直ぐ分りましたが・・・

世界の貝」のHPの中で漸く発見。 磨耗も少なく偶然の発見になりました。これで2個目の採取。HPよりも少し大きいので満足してます。 

                   

                     コチョウイモ・ 42mm アフリカ 

 

  C

 

                   D

 

 

コチョウイモは既に紹介しましたので、<ベッコウイモ>を・・・殻に鼈甲のような柄が付いているからとか。 磨耗も無く殻の模様もはっきりしております。

                   ベッコウイモ 30x65mm

                    E

 

イモガイ類は沢山類似の種類が有りますから鬼門・・・いずれご紹介しましょう。

最後は<サツマイボラ> ・・・過去に左側3個を採取しています。今回は小さなものでした。殻が丈夫そうなので余り欠けは少ないようです。 

 

         

                           

            

             タカラガイの世界・日本5名宝 

 

先回は乙女宝をご紹介しましたが、今回は「寺町宝テラマチタカラ

 

                     

            二枚とも タカラガイ生きている海の宝石」より掲載

              

 

 殻の上部の突起部が嘴状になっているのが特徴。殻の模様は鮮明なものではないようです。和名・「寺町」は寺町昭文氏に献名されたもの。水深150~500mから底引き網や魚網から採取されている。

 

                鳥羽水族館・テラマチダカラ

 

                                              HP・「世界の貝」から掲載

                            

                        フィリッピン 水深100m・57mm

 

 

 タカラガイは皆さんの近くに潜んでいる可能性が有りますので、挑戦してみてください。大きな貝や珍しいのはなかなか運天賦が作用しますが、下のようなタカラガイアは何時でも手にすることが出来ます。

 

       

 

        <ハナマルユキ>、<キイロダカラ>、<ハナビラダカラ>・・いずれも岩礁の窪みに潜んでおります。ペアーでいることが多いです。    大事にしてあげね。 

 

 

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西南諸島貝殻学入門-010

2013年08月02日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

-010 

 

 


               特集版」 

 

 

 

タカラガイ

宝貝 

 

 

 

 

 GW間中は「タカラガイ」の特集を随時公開します。

貝殻の蒐集家は非常に多いですが、特にその中でも<宝貝・タカラガイ>に対する人気には根強いものがあります。

 

           「タカラガイから転載

 

 「タカラガイ」 ・生きている海の宝石・・・・の中で掲載している写真ですが、ご覧の通り見た目にも非常に美しい、形も角張ったところが殆ど無い、柔らかい感触を受ける貝です。世界で250種類ほどとか言われております。

タカラガイは海浜に打ち上げられた物も手に入りますが、砂で磨耗されたり、日光によって白く変色してしまうので、なかなか美しい模様を保った貝が、手に入らないのが現実です。海が荒れた翌日にたまたま生きた状態に近い、生貝や貝殻を拾うことは有りますが。

タカラガイは世界中の海、特に西太平洋、南太平洋、インド洋に分布しています。日本の場合は千葉県の房総半島から紀伊半島、鹿児島付近の近海、トカラ列島、奄美群島以南・・・南に下がるほど種類も多くなります。

 

                ナンヨウダカラ

 

 先回ご紹介した<ナンヨウダカラ>は沖縄海域以南が生息地域とされていますが、記録によればトカラ列島でも、その生息が確認されました。そして、中部太平洋に多く生息しているようです。見た目にも華やかな明るい色合いと大きな殻が特徴です。

 

 

 

下の写真は「タカラガイ」に掲載されていたものですが、「日本の五明宝」と呼ばれる貝です。

 

                                      オトメダカラ   

 

                                     <日本の五名宝>  ↓ ↑

 

 見かけは余りカラフルとはいかないのですが、非常に採取困難な逸品です。奄美群島の周辺にも生息しているのですが、とても簡単に手に入るものではありません。タカラガイの中には<日本五名宝>、<世界五名宝>があります。現物はとても手に入る貝ではありませんので、専門書の掲載されたものを転載しました。

1.<オトメダカラ>、2<テラマチダカラ>、3<ニッポンダカラ>、4<アケボノダカラ>、5<サクライダカラ

 

 

  <世界五名宝>

 

1 <シンセイダカラ>、2<オオサマダカラ>、3<リュウグウダカラ>、4<サラサダラ>、5<ウスアカネダカラ

 

 いずれにしても高価なタカラガイで、普通のマニアの蒐集出来るレベルの貝ではありません。海底深く潜らないと採取できない物ばかりですので、海浜に打ちあがることは無理なようです。大嵐の場合は別ですが。見かけは地味な色合いなので可也難しそうですね。

 

      オトメダカラ (鳥羽水族館提供      

 

              <オトメダカラ> (HPから掲載 

 

 オトメダカラ乙女宝>の由来は、紀州田辺の少女が、貝類学者・平瀬興一郎氏のもとへ持参したのが、このタカラガイの名前の由来です。この貝は黒田徳米博士によって発見された貝です。

 Cypraea Hirasei Roberts / Hirase's Cowry

生息域・・・水深60~500mから底引き網などで採取される。 殻高 4~50mm、西太平洋、オーストラリア。フィリッピン。日本海域に生息します。 未だに高価な貝だそうです。(市場価格・¥40.000円)

 その他の貝は次回以降にご紹介しましょう。