南西諸島貝殻学入門
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お知らせ
加計呂麻島貝殻図鑑」は現在随時作成次第公開して行きます。
現在2系統あります。
http://shirasumasako.blog.fc2.com/
加計呂麻島・花富・・・断崖絶壁の下の岩礁付近。
台風19.20号も南西諸島には大きな影響を及ぼさず、北の方向に去って行きました。しかし、雨が例年のように降ることもないので、畑は乾いて作物の栽培に支障が出ております。後、危険な期間は10月、11月の初旬までですが、程ほどに雨が降ってくれれば良いのですが・・・今年の冬は全国的に寒いとか。えらい年になりそうです。
先日、台風の影響で風が強い日が続いたので、太平洋岸の砂浜を訪れてみました所、素晴らしい貝を収集することが出来ました。拾いでは殆ど無理なくらいの完品に近い貝殻ばかりでした。
太平洋岸・於斎海岸
見かけはそれ程に見えませんが、磨耗が非常に少ない逸品ばかりです。それでは少し拡大してお目に掛けましょう。
サツマツブリガイ・105mmx55
薩摩紡車
Haustellum haustellum
snipe head shell
左はフィリッピン産のサツマツブリガイ 右は加計呂麻の海岸
左と 比較すると分るように、水管が短く見えます。砂浜で転がっている時に欠けたと推定で来ます。水面下5~50m付近の岩礁に生息する。殻頂が少し磨耗しております。打ち上げとしてはこれが限界でしょう。良く見つけられました。驚きの逸品でした。
アンボンクロザメ・80x40mm
アンボン黒鮫
Lisoconus litteraus
Letter cone
80x45mm
大型種で殻高120mmを超えるのもある。礁池(インノー)の中の砂地に潜っている。
<アンボン>とはインドネシアのAmbon島に因む。黄色い帯がハッキリしている。
現物は写真以上に生き生きしている。殻頂が少し磨耗が有るが、生体の時からのものか。
生態は褐色の厚いビロードで殻皮が覆っている。
近くの漁師が砂地の中から棒で突つきだしたのを見たことがある。
水槽の中にいる生体
非常に長生きしており、既に半年近く生きている。環境に合っていると見られる。殻の殻皮が褐色で非常に厚く、正確な種類は同定できないが、アンポンクロザメかクロフモドキの何れかであろう。他の貝は気にしないで、われ関せずのように水槽の中を動いています。少し珊瑚の砂を入れてみましょうか・・・・
アンポンクロザメと見かけが同じで、磨耗貝になると見分けが付かなくなります。
クロフモドキ
黒班モドキ
イモガイ科
Lithoconus leopardus
100x60mm
ベニソデガイ
紅袖貝
ソデボラ科
Tricornis sinuatus
今まで 加計呂麻島で採取した中で最高の品質です。
特に殻口の中の赤の濃さは最高です。
左端から<ベニソデガイ>、<ウラスジマイノソデガイ>2個、<ベニソデガイ>、下は<ウラスジマイノソデ>・・・殻の外形では見分けが付きません。
上記の殻口の状態。しかし、上右端は<マイノソデガイ>の可能性もある。
これも難しい同定作業の貝
Aは殻口内の褐色の部分。殻の形は<ベニソデガイ>か<マイノソデガイ>ですが、漂白剤で洗浄しても褐色部分は変化せず。<オハグロイボソデガイ>に良く似る。変異種なのかハーフか?
A B
Bはマイノソデガイの類の幼貝のように殻は見える。
しかし、殻口は<ホカケソデガイ>に良く似ている。同定は難しい?
ソデガイ科の貝は似ている形状、色合いが多くて同定が直ぐ出来ない。珊瑚礁の環礁のリーフの外の近所にいるそうですが、なかなか完品が手に入らない。磨耗の進んだものが多い。
嵐の後は偶然素晴らしい貝が手に入る可能性あり。
マクラガイ科
儒道枕貝
上が<ジュドウマクラ>、下が<オオジュドウマクラ>
加計呂麻島では良く見かけるが、殻頭の先端が殆ど欠損しているのが多い。なかなか完品が手に入らない。環礁内の砂地に潜っているようである。
タケノコガイ科
上が<ベニタケガイ>、下が<ウシノツノガイ>
両方とも砂浜でなく珊瑚の石浜の中で見つかることが多い。
その関係で殻の先端が何時も磨耗か欠損して見つかる。完品は拾いではまことに難しい貝。
殻の長さはそこそこ大きいです。でも、珊瑚の石の間にはこれよりも一回りも大きい破損貝をしばしば見つけることが有ります。何時も悔しい思いです。
現在台風23号が真っ直ぐに奄美群島めがけて直進しております。可なり風が強そうです。
台風通過後が楽しみです。何か珍しい貝を運んできてくれれば良いのですが。
被害のお土産は結構!今回の台風は結構強そうです。
それにしても良い標本ですね。羨ましい限りです。