茜ちゃんの「島日記」
-008-01-01
西南諸島は連日の猛暑で、纏まった雨が降らない。
今年の奄美の夏は酷暑となりそうだ。 台湾沖に高気圧が居座っているからである。
カラパゴス辺りから流れて来た暑い海流が、ここで滞留することが原因である。
元はと言えばこの海流の出発点は南太平洋の深層海流である。
雨が降らないのでホースの水を果樹の根元に掛けて、給水をしている始末である。
パパイアや子供の島バナナが2本成長中。これからである。
パパイアも大きな実を付け始めた。葉の周りの樹木の剪定が大変である。
梯子が届かない高さ。大きくなったものだ。
小さかった子供の島バナナも元気で成長中!
下の畑の島バナナは今の所元気で成長中である。
秋までには切り取って吊るして熟させる積り。
この分だと来年は大量の島バナナが採取できるかも。
島バナナは高級品種で、一房¥2.500円とか・・フィリッピンバナナより大分高い!
パパイアも一度収穫し、食べ残りは冷蔵庫の野菜室に格納する。
来年まで十分に食べれる。野菜でも果実でもOK!
面打ち再開!
-7
能楽資料館散歩--02
篠山能楽資料館
先回近江の「彦根博物館」をご紹介した。
今回は兵庫県の三田市の北の丹波篠山にある「篠山能楽資料館」をご紹介する。
東海道線で尼崎で福知山線に乗り換え、篠山口で下車する。
その後バスに乗って終点近くの河原町で下車すればすぐである。
十数年前初めてこの能楽資料館に行ったとき、
タクシーの叔父さんに行き先を告げたのだが・・
「篠山能楽資料館????」という返事。
これはえらいこっちゃ! と思いつつ・・
何とか電話でタクシー会社に確認後・・・ようやく目的地に付いた時はホットした。
その後近くまで来た折は必ずお伺いする。
三田には「白洲正子夫妻」のお墓がある。墓参を兼ねてという事になる。
能面集と能面
ここでは能面集が2刷発行されている。最初の能面集はもう市場でも手に入らないので、
簡単に手に入るものをご紹介。
名品が数多くあるが、赤鶴・一透斎吉成の名品が所蔵されている。
また、作者不詳ではあるが、銘・卯の花 増髪 もある。これは名品である。
通常「増髪」はヒステリー状態の女性の顔立ちであるが、これほど品のある美しい増髪は他にない。
増髪
* 注意 能面集は印刷が命であるが、初回の大型本の印刷とこの能面集の印刷は、よく見ると色合いが違う。
この点は実物を見るか、初版本の大型本を見た方が間違いがない。
能面資料館に併設して、「丹波古陶館」がある。料金は変わらず二館を見学出来る。
作陶に興味のある方は大歓迎であろうか。
孫次郎の秘密!
003
先回は現代の能面師・橋岡一路師の、「孫次郎・ヲモカゲ」の三井文庫館からの面の修理と写しの許可への経緯を書いてみた。
大変な時間と苦労がその中には隠れていたのである。橋岡師のこの面への執念さえ感じるものである。
この面が尋常一様な面ではないという査証でもあろう。
一つの面に数十年の思いを込めれるという・・何がそうさせるのであろうか。
「人形」はヒトガタである。能面も同じような性質があるようである。
橋岡 一路 師
平成2年(1990)の5月に文化庁並びに三井文庫館より「孫次郎・ヲモカゲ」の修理と写しを製作する許可が下り、
当年11月27日に写しと修復された本面が、三井文庫館に引き渡された。
能面自体が「重要文化財」に指定されていたことが、いろいろな齟齬を生む原因でもあったようである。
兎にも角にも孫次郎は無事引き渡されたのである。
本面・孫次郎 と 写し・孫次郎(橋岡一路)と 本面・孫次郎(三井文庫館能面集より撮影)
「孫次郎の秘密!」と仰々しく題される所以はどこにあるのだろうか。
能面に親しんでいると能面に対する鑑賞眼が自然に醸成されてくる。焼き物でも仏像でも絵画でもそれは全く同じである。
仏像を見続けていると能面や大和人形との類似性に気が付いてくる。眼の造り、眉の描き方、口の切り方、彩色の仕方・・
それぞれ独立した芸術作品ではないのである。全て関連性がある。古道具屋の小僧の目利きの学び方も同じである。
能面「孫次郎・ヲモカゲ」の芸術性、完成度は非常に高い。しかし、古来多くの能面師が写しを行って来たが、
皆それぞれ難渋を強いられている。この女面は造作技術のレベルが非常に高度で、写しが極めて難しい能面だからである。
<橋岡 一路師の畢生の写し>は如何であろうか。
橋岡氏の能面集には、この孫次郎の右斜めからの写真はない。
何故かは分からない。いろいろ事情があるのかもしれない。
本当のところを言うと、この斜め方向からの写しを観たかったのは本音である。
ここにこの面の凄さが隠されているからだ。 本面を見て理解していただきたいのである。
「何故、左右非対称に造作しているか、目元の位置が上下にずらされているか?」である。
それが右斜め方向になると、すっかり消えてしまって、美しい横顔に変身してしまっている。
つまり、作為をもって予めそのように造作している。
先の先まで読み込んだ面の造作であったという事が読み取れる。
ここがこの女面の素晴らしいところである。
昔、私の師匠がこう言っていた。
「面を打つには能楽の事を勉強しなければいけまへんで・・・」「能の実際の舞台を観なければいけまへん」
まさにこの通りなのである。能面は床の間に飾る美術品ではない。道具である。ある能面師はこう喝破した。
能面は真正面からだけではなく、横からも、斜めからも、切ったり、しおったり・・・
様々な動きをするのである。そこまで頭に入れて面は打たれる。
この「孫次郎・ヲモカゲ」は実際の舞台の全てを知り尽くしているプロの作品尚である。
この面の歴史については様々言い伝えがあり、どれが真実かは断定が難しいのである。
少なくとも宗家の大夫が片手間に打った一作品ではない事は間違いない。
それは不可能なレベルの作品である。
橋岡一路作のその他の「孫次郎」
これを見ると「本面・孫次郎・ヲモカゲ」と何か違うと気が付くはずである。何が違うのか。どこが違うのか。
お分かりいただけるであろうか・・このことについては次回以降書いてみたい。
* 写真はその時の条件で正確な色合いが出ていない場合がある。そのことはご了解願いたい。
折角であるから橋岡一路師の作品を一つ紹介したい。
若 女
<1989年、「梅若六郎家所蔵」作者不詳 重要美術品指定> の写し
能面は面打師の数多くの作品を見る必要もない。女面を一作みるだけでよい。
それでその方の実力はすぐ分かるものである。小面でも充分である。
橋岡一路師の面打ち師としての実力は、この若女で十分理解できる。如何であろうか?
「孫次郎・ヲモカゲ」 も段々深みに入って来た。大事な事はこれからである。
次回からは関西の名人・初代堀安右衛門師が登場して来る。石川龍右衛門の小面はその後登場する。
まだ始まったばかりのロングランになりそう。
次回は7月28日予定