南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

南西諸島貝殻学入門-026

2013年11月23日 | 生命科学

 

南西諸島貝殻学入門 

             -026

 

 

 

秋の実り(自宅の庭先

 

奄美群島の秋の実りという光景。 鶯が時々訪れます。木間がくれに<チッツ、チッツ>という声が聞こえて来ます。静かな晩秋の一時・・・・

 

島の太平洋岸での成果-01 

 

 島の郵便局に出かけた時、急に浜に行きたくなって山を2つも越えて、とある太平洋岸の浜に出かけました。そこは珊瑚の石浜で、砂は申し訳程度しかない小さな漁港のある海岸。

ご覧のとおりいつもの通りの様々な貝達。でも、ホームラン性の貝は無いように見えます。珊瑚の石は非常に硬いので、何時ものごとく貝は壊されたものが多い。あるいは人為的に割られた貝もこれまた多い。でもこの手の貝を見るのは嫌ですね。折角、大きく成長したものを無理しゃり割らなくてもよいのに何時も思いますが・・

島の太平洋岸での成果-02 

 

 

大きな貝ほど殻の先端が磨耗しております。砂浜でも珊瑚砂は貝の表面を綺麗に磨耗してしまい、殻の表面の模様は切れに擦り取られ、一様に片面だけが白くなってしまっています。 

下の写真もご覧の通り。手で割られたり、石にぶつかって無残!左側の<ホシダカラ>などは105mmもあり、過去でも100mmが最高。惜しかった!中央の貝も殻の中央がOUT!

にもかかわらず、<ベニタケ>は何と先端が少し磨耗しているだけ。上手に石に挟まれておりました。それで、何か珍しい貝は・・・・有るんですね。一番右下の貝。

珍しい貴重なのを拾いました。何でしょうか?  

  島の太平洋岸での成果-03     

                                                   宝貝らしい

 

 

ムラクモダカラ (ナガムラクモダカラ

Cypraea testudinaria ・ Turtle Cowry / 100x50mm

 

 南日本からインド洋、太平洋の広範囲に分布する宝貝で、日本は奄美以南とされております。大型貝の一つで、最高は145mmだそうです。ですから中程度の大きさでした。でも、破損箇所が余りありません。石浜の最上段の防波堤のところに、打ち上げられておりました。普通ならこんな事は余り有り得ません。余程、運が良かったか。

 

 

 日光が燦々と当たるところなので、日焼けが有りこれが惜しい!。

始め殻の表面の小さな白い粒々の点は傷か、日焼けと思っておりましたら、これがノーマルな模様で、元々こんな感じだそうで・・

               

 一見、<ホシダカラ>や<ヤクシマダカラ>の側面の黒い点のように見えて、これらの貝を連想させるのですが、縦に細長く、殻の模様が明らかに違います。日本では珍しい部類の宝貝だとか。

ムラクモダカラ鳥羽水族館

細かい白い点が殻の表面に有りますね。

 

 この浜は意外と珍しい貝が多いのです。海流の関係か漁船の猟師が浜まで持ってきて、海中に捨てるからなのか・・・以前も<ジャノメダカラ>の磨耗した貝をGet!

広い珊瑚の石原(グランドほどの広さ)を探すと、出て来るは出て来るは・・・ご覧の通り。

   

ちょっと一服  

                「話の喫茶店」

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 この貝は何でしょうか?

家に帰ってから 調べてみると、怪しい宝貝を発見!

インドネシア アミメダカラ ?

       

殻長45mm程度の一見、<ヤクシマダカラ>ぽい貝。

黒点の上に白い大きな水玉模様がかすかに付いている

                   

でもちょっと違うかも?良く似ている。

Kijineko さんのHPから

どうもこいつ臭いぞ。但し、殻口は紫色・・・確かに!そうだ?

拾った貝は殻口が紫ぽくはない?

インドネシアアミメダカラは<ポリネシア アミメダカラ>とも呼ぶそうです。

アミメダカラ

資料によっては生息地がアフリカ、インド洋となっていたり、沖縄以南とか小笠原以南というのもあります。そのようなことになると、問題の貝は<アミメダカラ>という可能性もあります。

ベニタケガイ  リュウキュウタケガイ

 

 

殺し屋・ツメタガイにやられたベニタケ 90mmと殻径30mmのリュウキュウタケガイ

イモガイの仲間

右から順に・・<ニシキミナシガイ>、<ミカドミナシ>、<ヤナギシボリイモガイ>

<ヤキイモ>OR<カバミナシ>

その他大勢の貝達

 

 

珊瑚の石の間の隙間に落ちていた貝達。

左から<ナデシコ>、<イワカワトキワ・岩川常磐>、<ジュドウマクラx2>、<ムラサキアンボイナ>、<リュウテンサザエ>、左下は<ヒオウギガイ>(久しぶり

欠けた<リュウテンサザエ>は惜しかった!

         

                                         ↑ 殻口が黄色

ニシキウズ超科・リュウテンサザエ

リュウテンサザエ

Turbo petholatus

 

下も欠けておりましたが、初めての採取でした。 上と似たような貝で<タツマキサザエ>というのがあります。以前採取したものです。

タツマキサザエ 

                                       

 

ニシキウズ超科・リュウテンサザエ

タツマキサザエ

Turbo reevei

 

両方良く似ているのですが、殻口の唇口の色が黄色なのが リュウテンサザエです。

欠けている貝でも馬鹿にせず、良く見ることが大切ですね。思いがけぬほどの逸品であることが有ります。「タカラガイ、エビスガイ系」だったら大変な逸品もありますからね。

 

この続きは次回に!

 

 

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1 コメント

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Unknown (はらはち)
2013-11-27 16:50:08
相変わらずの、大物ザクザクですね。うらやましい限りです。
しかも今回はタカラガイのレアものがいくつも!
ムラクモダカラは聞いた話では、かなり珍しい種類だそうです。もちろん私なんて欠片すら見たことないのですが。

その浜行ってみたいですね~
ちょっと仕事が忙しくなって、最近貝拾いもご無沙汰のはらはちでした(^-^)
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