南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

茜ちゃんのつれづれ草 -028

2012年10月26日 | 日記

 

茜ちゃんつれづれ

                 -28

 

 山中教授のノーベル賞が決定してから数週間が経ちました。今年は日本のノーベル賞受賞者は1名でした。また来年に期待しましょう。

 

【山中教授にノーベル賞】バイオ産業の発展にはずみ 日本の理論・技術の優秀さ示す

 

山中教授の受賞理由となった「万能細胞の研究」は、あらゆる細胞に分化する能力がある「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」ということでした。

「万能細胞の研究」は現代再生医学分野のトップレベルの研究です。

                 ・・・・     A- ES細胞の研究

 「万能細胞の研究」 ・・・・   B- iPS細胞の研究

大きく2分野に分かれます。学問的には<ES細胞の研究>が先んじておりました。ヒトの身体は約60兆個もの細胞でできています。最初はたった1個の受精卵から始まり、さまざまな種類の細胞に分化・増殖を繰り返して臓器や骨、筋肉、皮膚などがつくられ、人間が誕生します。出発点の受精卵には、あらゆる細胞を生み出す万能性があるわけです。

ES細胞の研究は受精卵を使って、さまざまな種類の細胞に分化・増殖を繰り返して(細胞の初期化)臓器をつくる手法ですが、人間に応用した場合、研究段階で倫理に抵触するという問題点がありました。 キリスト教関係のバチカンなどはこれを認めませんでした。

           マウスES細胞: WIKIより掲載 

               緑の部分が小型のES細胞の塊であり、周りの細胞はフィーダー細胞

 

それに対して、iPS細胞の研究の手法は、皮膚などの一般的な細胞を使うやり方ですので、倫理問題をクリアー出来るという利点があります。当然のことながらバチカンもこれを認めました。

   産経新聞より掲載

iPS細胞による再生医療

 

また他人の受精卵を使うES細胞は移植後に拒絶反応が起きるが、患者自身の細胞でiPS細胞を作れば拒絶反応も防げるという、免疫学の問題もクリアーできるという、素晴らしい手法でした。画期的な手法が世界に認められ、早い時期のノーベル賞の受賞に繋がったのでしょう。

万能細胞の研究では、ES細胞を使ったマウスの遺伝子改変技術が2007年にノーベル医学・生理学賞を受けたばかりでした。万能細胞は心臓や肝臓、神経、血液など、あらゆる細胞を作ることができます。目的の細胞を作製して患者に移植すれば病気になった臓器や組織を「再生」でき、現在の臓器移植に替わる画期的な治療法というわけです。

iPS細胞の研究

マウスのES細胞で重要な働きをしている24種類の遺伝子のうち、4つが万能性に関係していることを発見し、これをマウスの皮膚細胞に組み込むと、ES細胞とほぼ同じ能力を持つ万能細胞ができることがわかりました。カギを握る4つの遺伝子は「山中因子」と呼ばれます。

人の皮膚細胞から山中因子を使い、万能細胞が出来上がりましたが、これが初めての人のiPS細胞となりました。

           iPS細胞 

因みに

ES細胞・・・・・胚性肝細胞(Embryonic stem cells)

iPS細胞・・・・人工多能性幹細胞(Induced  pluripotent stem cells)

から来ています。当時流行していた米アップル社の携帯音楽プレーヤー「iPod」(アイポッド)にあやかり、「iPS細胞」と命名したという話もあります。誘導多能性幹細胞とも訳されます。

しかし、問題点がないわけではありません。アメリカ辺りで問題になっています、同性愛者同士の結婚にかかわる事です。つまり、この技術を応用しますと、男性から卵子、女性から精子を作るのも可能になり、同性愛者同士による子供の誕生も可能になる(代理出産を使う)ということです。  

                                                  

                      ハーシーとチェイスの実験

            ハーシー                                チェイス

        Alfred Hershey.jpg           Martha Chase.jpg

 

  先回は<バクテリオファージT2>の細菌への感染と溶菌サイクル溶原サイクルについて書いて見ました。DNAの説明ならば普通は二重螺旋DNA構造について焦点を当てて書かれるのが一般的です。

以前から経験則に基づいて、細胞核の中にある染色体がDNAとたんぱく質から構成されていることは知っておりました。(1920年代) このころDNAに特異的に結合して、細胞内のDNA量に比例して赤く染まる染料が発見され、DNAが遺伝物質あるという状況証拠がもたらされました。

状況証拠-1 DNAが細胞核と染色体における重要な成分である事がわかった。

状況証拠-2 種によって特定の核DNA量を有している事がわかった。

状況証拠-3 体細胞(生殖のために特殊化していない細胞)のDNAは生殖細胞 (卵や精子)のDNA量の2倍であった。

しかし、これでは科学的な因果関係の実証にはならなかった。それで次のような実験を行なったのです。

A・ グリフェイスの<肺炎双球菌の形質転換

B・ ハーシーとチェイスのバクテリオ・ファージの増殖

この結果、DNA=遺伝子ということが実証されたのです。先回まではこの実験の大まかな概略を書きましたが、今回はさらに細かく説明して見ましょう。

1952年・カーネギー遺伝学研究所のハーシーとチェイスがT2バクテリオ・ファージを使って、遺伝子=DNA or  たんぱく質 を追求しました。この時2種類の放射性同位体 32P 、35S  を使い、細菌には大腸菌を使用しました。

1-標識と培養

<放射性トレーサー>

DNA・・・・32Pを含む細菌培地でT2バクテリオ・ファージを培養。32Pで標識。

たんぱく質・・・35Sを含む細菌培地でT2 バクテリオ・ファージを培養。35Sで標識。

                 T2 バクテリオ・ファージ

 御茶ノ水女子大より掲載

1- T2 バクテリオ・ファージの標識と培養とウイルスの放出。

                32P         35S

2- 数分後各々の感染させた大腸菌をミキサーにかけ、大腸菌に感染しなかったウイルスを大腸菌から引き剥がしました。

3-遠心分離機による分離  溶液や懸濁液を遠心分離機を使って、その密度にしたがって勾配(分離した層)をつくります。

4-結果 大腸菌に進入しなかったファージは上澄み液に回収されます。一方、重い大腸菌の細胞は溶器の下に沈殿物として分離された。

32P は殆どが大腸菌の中に留まっていることを発見。

35S は上澄み液に含まれていることを発見。

以上のことから、大腸に進入したのはファージのDNAであることを発見し、DNAが大腸菌細胞の遺伝プログラムを変更する化合物である事を示唆しました。

一般に日本の高校の参考書、教科書の説明はここまでですが、<アメリカ・大学生物学教科書>はこの後の実験結果も掲載しています。 

 

 * <アメリカ・大学生物学教科書アメリカのMITなどで一般的に使用されている生物学の教科書。 「LIFE」の中の一部分。 邦訳あり・3巻、日本の高校生で十分使用できる。非常に良い教科書です。「Essential細胞生物学」ほど専門的ではない。

彼らはさらにT2ファージの子孫世代を回収するという、長い期間の実験を行ないました。その結果、子孫ウイルスは35Sを殆ど含んでおらず、親由来のたんぱく質を有しておらず、元の32P の約1/3を含んでいました。この結果から論理的な結論は、ウイルスの遺伝情報はDNAの中に含まれているという事になります。

以上が2名の研究者が行なった実験です。日本の高校の教科書・参考書では簡単に掲載されているだけですが、DNAの構造ウンヌンよりも大事な事だと思います。

しかし、現在ではウイルスは生物ではないとする立場もあるため、厳密には遺伝子とは言えない場合もある。ただし当時はウイルスは未知の微生物とされていたので問題視されなかったということです。

次回は真核生物の形質転換について書いて見ましょう。

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茜ちゃんのつれづれ草 -027

2012年10月16日 | 日記

 

茜ちゃんつれづれ

                 -27

 

 スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間10日夜、ことしのノーベル化学賞の受賞者を発表しました。選ばれたのは、アメリカのデューク大学のロバート・レフコビッツ教授とスタンフォード大学のブライアン・コビルカ教授の2人です。


2人は外部からの刺激を細胞内部に伝える役割を担う「Gタンパク質」と呼ばれるタンパク質の受容体の働きを突きとめることに成功しました

             ロバート・レフコビッツ教授       ブライアン・コビルカ教授

米デューク大学のロバート・レフコウィッツ教授(左)と米スタンフォード大学のブライアン・コビルカ教授。

受容体(receptor)=生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと。 レセプターまたはリセプターともいう。

Gたんぱく質共役型受容体細胞膜に存在するたんぱく質。脳信号を受けて生成されたドーパミン、ヒスタミン、アドレナリンなど生体アミンの存在を細胞内部に知らせホルモン生成などの作用をさせる

コカインや覚醒剤など麻薬を投与すると,脳細胞が服用者の気持ちを良くするドーパミンホルモンを分泌させる。そのため麻薬中毒者は継続してより多くの麻薬を求めることにななります。

Gたんぱく質共役型受容体を発見するまでは麻薬がどのように細胞にドーパミンのような生体ホルモンを分泌させるのかわかりませんでした。すなわちドーパミンなど小さなホルモン信号が細胞の中にどのように伝えられるかを明らかにすることができなかったのです。

  

朝日新聞 より掲載

写真

 

 その信号を受け細胞内部に伝達する役割をするのがGたんぱく質共役型受容体ということを明らかにし、コビルカ教授はこのたんぱく質がどのように作用するかを見つけました。麻薬成分が細胞膜につくと、Gたんぱく質共役型受容体がこれを受け、細胞内部に伝達するという事実を説明できるようになった。

Gたんぱく質共役型受容体は800個程度で、これらは人間が五感を感じさせる過程の大部分に関与する。例えば興奮すれば心臓の拍動が速くなり、暗いトンネルに入れば瞳孔が大きくなり、素早く事物を識別できるようになるのはこの受容体がする役割だ。また体をかゆくするヒスタミンが分泌されるようにするのもこの受容体が作用した結果です。

第一三共製薬 より掲載

 

上の図はアレルギー反応にヒスタミンが関わっている事を表しています。アレルギー反応は所謂、免疫の抗原抗体反応というもので、皮膚などの表面に花粉など(アレルゲン)が付きますと、花粉の表面のたんぱく質が肥満細胞マスト細胞)の抗体(IgE抗体)が反応し、細胞の中の顆粒が細胞の中から、皮膚内に押し出されます。 

この押し出された化学物質のなかに、ヒスタミンという物質があります。    このヒスタミンが

1-神経を刺激して痒みを起こす。

2-粘膜液を刺激して鼻水を分泌させる。

3-毛細血管を拡げさせ、血管から漏れ出た水分で粘膜浮腫を起こす。

アレルギー反応は皆さんが数多く体験していますので理解が速いと思います。ホルモンを花粉などの抗原と置き換えると、理解が速くなりますね。

 

                                             

 

       バクテリオ・ファージの増殖>-002

 

 先回まではウイルスの正体に迫ってみました。生命体でないような、しかし自己複製能力もって、恰も生命体のような面も持っております。

先回もご紹介しましたが、何ともETみたいな、ロボットみたいな奇妙な形のウイルス・T2ファージです。生命体というより人工物のような姿をしています。この頭部の中にDNAが仕込まれています。ハーシイとチェイスの実験でそれが確かめられました。

1-大腸菌にファージが取り付くと、DNAが大腸菌内に注入されます。

 

                 

上の写真は丁度取り付いた状態です。まるでETそっくり。ある説によりますと、ウイルスは宇宙人の作り出したもので、地球に運び込んだとされております。現在の再生医学でも、皮膚細胞から生殖細胞を作り出す事ができるようになったですから、ありえないことではありません。

2-大腸菌のDNAをファージの出す酵素で切断し、このDNAを使って結果的に自分と同じファージDNAを複製する。

3-ファージDNAから転写、翻訳されてファージのたんぱく質(甲殻)が合成される。

4-新しいファージが組み立てられ、ファージの持つ酵素によって細菌が溶かされる。

5-ファージが外に放出される。そして、同じようなサイクルが繰り返される。

以上がT2ファージの感染サイクルです。ただ、厳密に言いますと、感染サイクルには2通りの方法が存在します。

 

  

           A・・溶菌サイクル    B・・溶原サイクル

上で説明した感染サイクルはAの<溶菌サイクル>ですが、Bの<溶原サイクル>になりますと、感染した細菌は直ぐには溶けないが、代わりに細菌のゲノム内にウイルスのDNAを保持する。そして、溶菌への引き金が引かれる条件になるまで、その状態を何世代も経過する。

では、一体この現象は何を意味しているのでしょうか。結論から言いますとDNAは遺伝子の本体であるという証明になるということです。

次回はハーシーとチェイスの実験について詳しくお話ししましょう。

* 今回使用した参考書はアメリカ版・大学生物学の教科書です。

 

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茜ちゃんのつれづれ草 -026

2012年10月12日 | 日記

 

茜ちゃんつれづれ

                 -26

 

 ノーベル生理医学賞・発表

       山中 伸弥教授・ガードン博士受賞

 

 山中 伸弥 教授           ジョン・ガードン博士          

 画像  画像

 

 とうとう山中教授がノーベル生理医学賞を受賞されました。ケンブリッジ大学のジョン・ガードンが同時受賞されました。<おめでとうございます

ノーベル賞の今年最初の発表ですから、素晴らしいです。25年ほど前、このブログでも度々ご紹介しております、利根川 進博士が受賞されて2回目になります。これからもこの分野の受賞が続くと良いですね。

年齢は山中教授が50歳、ガードン博士が79歳でした。日本のノーベル賞受賞者最年少は、「湯川 秀樹-42歳」「田中 耕一-43歳」「江崎 玲於奈-48歳、利根川 進-48歳」・・・・です。

特に田中耕一さんの場合は企業内の研究員でしたから、ビッグ・ニュースになりました。

 

画像

 

今週、来週と発表が連続しますので、眼が離せませんね。 ノーベル文学賞の村上 春樹さんも有力だとか!  (^-^)

 今回は受賞者のエピソードが話題を誘いました。キーワードは<落ちこぼれ>・・・とは言っても、一般常識的なレベルは遥かに超えていたことは確かですが、山中教授は整形外科の手術が上手くなく、この方向は挫折したそうです。         

               「ジャマナカ」 が仇名だった。

臨床よりも基礎研究の方向に進路を変え、その後の幾たびの苦難を乗り越えられて、大きなチャンスを掴みました。本日はこの話。

 

 

授賞理由となったiPS細胞(新型万能細胞)の研究を飛躍させた原動力は、研究の重要性を粘り強くアピールする山中教授自身の「プレゼンテーションの力」。
自分で作成した個性的なイラストが、約3億円(5年分)という巨額の研究費を獲得するきっかけとなった。

山中教授は2003年8月、iPS細胞の基礎研究に手応えを感じ、国の大型研究費を申請した。 しかし、当時は本人の強い自負とは裏腹に、iPS細胞研究はまだ模索の段階だった。
そこで、研究費配分の審査では、世界的に研究が先行していたES細胞(胚性幹細胞)の問題点を イラストにまとめ、「ES細胞に代わる新たな細胞を作る必要がある」と訴えた

 「審査担当だった岸本忠三・元大阪大学長は「イラストを使った説明には(説得する)迫力があった。(iPS細胞は)できるわけがないとは思ったが、『百に一つも当たればいい。こういう人から何か出てくるかもしれん。 よし、応援したれ』という気になった」と高く評価した 

医学や医療関係の方であれば、岸本忠三という方は良くご存知のはず。この方は元大阪大学学長で、世界的な免疫学権威だった方です。一般的な著書も書かれて居ります。 山中さんは運が良かったんですね。iPS細胞研究は免疫学と密接に結びついております。

         岸本忠三

          

 他人の細胞からiPS細胞を作り出しても、他人の細胞ですから必ず免疫の拒否反応が出てきます。また、当初は癌化しやすいという難点も発生しました。そのような関係から、審査担当者が岸田忠三氏であった事が、大変なラッキーになったということになります。

この辺りから山中教授の運勢が急カーブで上昇し始めたのでした。まさに神様か仏様の力が作用した感じですね。持続力を維持して努力した結果でしょう。

          <自伝が出版されるそうです>・・・宣伝ではありません!

 

ブログを書いている途中で、ノーベル化学賞の受賞者が発表になりました

スウェーデン王立科学アカデミーは10日、今年のノーベル化学賞を、米デューク大のロバート・レフコヴィッツ教授(69)と米スタンフォード大のブライアン・コビルカ教授(57)の2人に贈ると発表した。授賞理由は「Gたんぱく質共役受容体の研究」。

細胞が環境からの刺激を受け取るときのセンサーの役割をする受容体の主要なグループの遺伝子と機能を解明した

アドレナリンなどのホルモンの刺激を受けた細胞は、その情報をどう処理しているのか。また、口や鼻の細胞は臭いや味をどのように把握しているのか。受賞が決まった2人は、細胞の表面を覆う膜にある「Gたんぱく質共役型受容体」の働きや構造を明らかにし、細胞の内外で情報を伝達する仕組みを突き止めた

これから来週も発表が続いていきます。

 

                                  

                       

       <バクテリオ・ファージの増殖>-002

 

  先回は「ウイルス」について書いてみました。生物でもないし、無生物でもないどちらともいえない不思議な物質? しかし、ウイルスが物質と一線を画している唯一の最大の特徴があります。

        <ウイルス>は自己複製能力持っている。

ウイルスはたんぱく質の甲殻の中に、DNAあるいはRNAという核酸という単一の分子を持っている。

DNAとかRNA などは、金属をはじめ一般的に物質と呼ばれている無機物の中には存在しておりません。しかし、遺伝子を持ち、生物の代謝系を利用して増殖するウイルスは生物と関連があることは明らかでしよう。現在でもハッキリとした定義付けがありません。

ウイルス・・・・A・・ 今日の分子生物学・医学では動植物に感染するもの

          B・・ 細菌に感染するウイルス・・・・バクテリオ・ファージ

         バクテリオ・ファージ・・・ウイルスが「細菌」の表面に取り付いた様子

 

 下の図はT4ファージと呼ばれるウイルスの概念図です。まるで、宇宙船のような、あるいはそっくりな形をしています。これが大腸菌のような細菌の表面に取り付いて、自分の甲殻の中に入っているDNAを注入するのです。

この後実に生命体のような動きをします。宿主細胞である大腸菌のDNAに自らのDNAを食い込ませて、その細胞質のなかで自分と同じ部品を作らせ、ついには自分と全く同じものを完成させ、最後には細胞を食い破って外に出て行きます。大腸菌はこれで破壊されてしまいます。まるでエイリアンさながらです。

 東京工業大学大学提供

  バクテリオ・ファージの概略図

   

このような行動をみますと、自己複製するから、紛れもなくウイルスは生命体なのですが・・・・・この件については学問的には「微生物学」の中の<ウイルス学>に属します。

次回は、もう少し細かく見てみましょう。 

                      お願い

 奄美諸島方面は先般来の台風の直撃を連続して受けて、大きな災害が出ております。現在応急修理の真っ最中ですので、多くの時間がこれに取られてしまいがちです。ブログが遅れがちになりますので、暫くの間よろしくお願いします。

 

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茜ちゃんのつれづれ草 -025

2012年10月08日 | 日記

 

    茜ちゃんのつれづれ

                 -25

 

 

 つもながらの台風がまた南方海域で発生しました。台風21号です。このまま行きますと中旬位に西南諸島を通過しそう。先回の20号の後遺症がまだ癒えていないのに、次から次へと遣って来ます。

何事も、<てげ~>とか<テゲテゲ>とかいう九州、沖縄方面の方言で対処しないと、ストレスが溜まってしまいそう。でもこれが長生きの老人が沢山居る現象に結びついているかも。 マイナス面も結構あります。

先日の「読売新聞の科学欄」に<マンモス発見!>の記事が載っていました。

・・・マンモスを発見したのは、地元に住むエフゲニー・サリンデル君(11)。同半島のソポチナヤ・カルガ岬を8月中旬に散歩中、異臭に気づき、土手から突き出た骨の一部などを見つけた。専門家が調べたところ、骨は15~16歳で死んだ雄のマンモスのものと判明した。体長約3メートルとみられ、キバや皮膚、皮下脂肪のほか脳の一部も残っていた。

マンモスはエフゲニー君の愛称にちなみ「ジェーニャ」と名付けられた。保存状態がこれほど良い、成獣のマンモスの死骸が見つかるのは1901年以来という。発見現場は北極海に流れ込むエニセイ川河口の近く。永久凍土が広がるツンドラ地帯・・・・。

マンモス ( Mammoth) は長鼻目 - ゾウ科 - マンモス属 (Mammuthus) に属する大型の哺乳類の総称である・・・・Wiki

約400万年前から1万年前頃までの期間に生息していたとされており、南北アメリカ大陸に生息していたコロンビア・マンモスは、大型・短毛で、かつ最後まで生存していたマンモスとして有名で、現在は全種が絶滅しているそうです。

 

 

現在は100年以上前と違って博物学だけでなく、分子生物学が発展していますので、DNAの詳細な分析が可能です。iPS細胞の技術を使って、新しいマンモスの細胞を作り上げる事も可能かもしれません。 その細胞を象の子宮に移植して、マンモスを誕生させる事が出来るかもしれません。

一時代前の科学的空想が現実のものとなるかもしれませんね。

 

          <バクテリオ・ファージの増殖

 先回は<肺炎双球菌の形質転換>という事について書いてみました。先回ご紹介した研究者・エブリーの段階で、 遺伝子=DNA=核酸ということが解りました。

さて、初めから奇妙な名前が出てきました。先ず最初にこの名前からお話して見ましょう。

ファージ (Phage) は細菌に感染するウイルスの総称。正式にはバクテリオファージと呼ばれます。 

では、その前に ウイルス とはいったい何でしょうか。

  エボラウイルス感染細胞 (東大医科学研究所)

 ヒト免疫不全ウイルスの模式図(WIKIより)

 

 以前英国の女性科学者ロザリンド・フランクリンのところで、彼女が研究していたテーマにタバコモザイク病の紹介をしましたが、この病気は・・・タバコの葉に黒色のモザイク状斑点を作り、商品作物としてのタバコを損なってしまう病気・・・なのです。

このモザイク状の葉をすりつぶして、健康な葉に塗り付けると、やがて健康な木の葉にもモザイク病が発生します。当然何らかの病原菌が存在するはずなのですが、顕微鏡(光顕)程度では、当時は特別な微生物は発見できませんでした。

ロシアの研究者(デミトリィ・イワノフスキー)は素焼きの陶板を使用した濾過器で、すり潰した液体をろ過してみました。大腸菌や赤痢菌は1~数μm程度ですから、通常はこの程度の微生物であれば陶板の細かい穴(0.2μm)を通過出来ないはずでした。

 

  デミトリィ・イワノフスキー

 

* オランダのマルテイヌス・ベイリングも独立して、濾過器を透過した濾液中の病原体が感染を起こし増殖することを示したが、最初に発見したのはイワノフスキーであることが認められた。

にもかかわらず、透過した液をタバコの葉に塗りつけると、やがて病気を発症したのです。このことから一般の微生物よりはるかに微細な感染粒子を発見したのです。・・・・・これがウイルスの発見でした。大腸菌をラグビー・ボールとすれば、ウイルスはピンポン玉かパチンコ玉サイズになります。

    インフルエンザウイルス東大医科研)

     大腸菌                     赤痢菌

EscherichiaColi NIAID.jpg   Shigella flexneri Gram.jpg

 

ウイルスのサイズが光学顕微鏡では発見できず、電子顕微鏡の時代になって発見されました。1930年代以降の事です。以前はビールスという呼び名で表していた時代も有ります。

上のウイルスと細菌を見比べてみるとわかりますが、大分形状が違いますね。ウイルスの形状は幾何学的で、同じ種類のウイルスは全く同じ形をしており、大小とか個性といった偏差がないようです。この原因はウイルスが限りなく物質、つまり無生物に近い存在であったという事になります。

  1- ウイルスは栄養を摂取する事がない

   2呼吸もしない

  3- 二酸化炭素や老廃物を排出しない

  一切の代謝がないという事になります。生物では有り得ない。

  4- ウイルスを精製し、特殊な条件下で濃縮すると、「結晶化」する

  このことから、ウイルスは鉱物に似た物質であるという事になります。つまり、何度もいうようにウイルスは生命体ではないという事になります。

あとから紹介しますが、ウイルスはたんぱく質の殻を持っておりますが、このたんぱく質が規則正しく配置された殻が、ウイルスの幾何学性に由来しております。

では、次回はウイルスの構造をご紹介して、本題の<バクテリオ・ファージの増殖>に入って行きましょう。

 

 

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茜ちゃんのつれづれ草 -000

2012年10月05日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
                          -000

 

          お知らせ

 

 この度西南諸島方面は台風17号の被害を大きく受けまして、

至るところで災害復旧がなされております。ここ加計呂麻島も同様でした。

ブログが一部公開が遅れております。1週間程以内のブログ更改となりま

すのでご理解ください。

 

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