南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

南西諸島貝殻学入門-& 貝殻図鑑 008

2014年04月04日 | 生命科学

 

南西諸島貝殻学入門

貝殻図鑑

008  

 

 

 

加計呂麻島全景と今回の行 

 

久しぶりの大潮の干潮がやって来ました。昼前後に干潮がぶつかるのは4月頃。 3/31の人の余り出かけそうもない頃を狙って、加計呂麻島の最北東端の「徳浜」に行ってきました。

 

山越えは島の数十Km先から、大島海峡をジグザグに断崖絶壁に付けられた、県道を九重九曲がりのアップダウンを越えながら、山中を駆け抜けて徳浜まで辿り着きます。

 

上の写真の一番下の珊瑚礁のリーフと砂浜の間にインノーが拡がる、加計呂麻島一番の名所。長大な砂浜とリーフまでの広い岩場とインノーが拡がります。

砂浜から岩礁伝いにリーフに辿りつきます。 波の緩い日は宜しいのですが、荒い日は恐怖と背中合わせ。波にさらわれたら命が幾つ有っても足りないくらい。何せ水平線の彼方はアメリカまで島無しです。

 

徳浜のインノー(HPより掲載)

リーフへは左端の断崖を登って行かなければなりません。 断崖の向こう側にリーフが拡がります。もたもたしてますと先を越されてしまいます。

インノーの辺り

 

写真でも分るとおり断崖が海に落ち込んでいる、リアス式海岸ですからトンネルも余りないことから、どうしても危険な林道を使う羽目になります。天気の良い日は徳浜の峠付近では鯨も見えるとか。看板が立っておりました。 

リーフが大分海中から出て来ました。中央の高い岩礁がリーフの最先端。ここから急激に落ち込みます。水中は見ないようにします。マグロのような大きな魚が猛烈なスピードで、リーフの割れ目の下の海中を泳いでおります。眼に留まらないスピード。 ひょっとしたら 鰹かな?

リーフ先端

 

 

干潮の時間の1.5時間ほど前から海に入ります。  ですから時計を常に見ながら、潮の引き具合を頭に描いて、岩場を歩いて行きます。帰るのが遅れたら手前のインノーを漕いで渡らなければなりません。結構深い。2Mmくらい。

安全装置を着用の上歩いておりますが、危険は常にあります。一人の時は十分注意が必要。

獲物は珊瑚や岩礁、藻、その他の介在物で眼になかなか留まりません。地元のベテランはスイスイと袋に入れて行きます。筆者は生の貝は目的でないので、<チョウセンフデ>がないかどうか、眼を皿のようにして辺りを見回しますが、なかなか・・・・・それでも<ニシキノキバフデ>が計4個Get! 内3個は生貝。

 

ふらふら探していたら<リュウキュウツノマタ>の小さい奴が眼に入る。どうしようか?? やはりGet!

 

リュウキュウツノマタニシキノキバフデ 

 

 

どういう訳かタカラガイは<ハナマルユキ>と<ハナビラダカラ>のみ。ご挨拶程度に2個づつGet!岩礁の窪みに沢山居りますようで・・・でも、余り興味なし。

岩礁の貝達・・・全て生貝

 

 

 これらの岩礁にへばりついている貝は水槽の中で長生きの部類です。何年も生きています。

その後は幾ら眼に入っても手も触れず。<他の人に採られるなよ>と思いつつ、通り過ぎるだけ。今年も余り良くなかったか。やはり、インノーに潜らなきゃと思いつつ、岸に辿りつきました。重い足取り。

このような事するなら、海の荒れた日の翌日に、浜を歩いたほうが気が利いた貝が採取できます。

岩場の中での貝はなかなか慣れないと難しいのです。いっそのこと潜った方が良いわいな。

 

どうということのないメンバー

 

 

この徳浜は今回で3~4回目。 今までは何時も振られぱなし。なかなか上手く行かない。眼の付け所が悪いのでしょうね。でも今回は上手く行きそう。<スイジガイ>が転がっているのを発見。生貝かどうか確認できず。

スイジガイ(漂白中)とクモガイ

 

 

そして、続いて<ゴホウラ>の中程度をGet! 喜んだもつかの間、浜で確認したらスイジガイともども殻だけ。中にはヤドカリが入居しておりました。現在、水槽の中で威張って居座っております。仕方がないから小エビを与えておりますが・・・なかなか上手くは行きません。後は下の写真のような面々ばかり。

 

ゴウウラギンタカハマ(生貝)

 

 

スイジガイに入居していたヤドカリは水槽の中で昇天。 ゴウウラの中のヤドカリは一回り大きく、数匹の小海老をぺロリと平らげました。水槽の中で威張っております。

スイジガイに入居していた巨大ヤドカリ ・200mm

                  

 

<ゴウウラ>に入居しているヤドカリは上より一回り大きい。貝殻の上に貝を2個乗っけて、起き上がっている。重くはないかな。岩礁の貝は思い思いん行動。水槽の壁面を登っていく。

 

               

 

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南西諸島貝殻学入門-& 貝殻図鑑 007

2014年03月29日 | 生命科学

 

南西諸島貝殻学入門

貝殻図鑑

007  

 

 

 

 

最近は海も穏やかで荒れる日が余りありません。 という事は貝の拾いはなかなか上手く行かないことに直結します。海岸を彷徨っても「テラダ(マガキガイ)>しか落ちておりません。白い珊瑚の砂浜が続くだけ。珊瑚の石浜がすっかり埋もれてしまいました。塵すら有りません。

 

4月1~2日は大潮の日。マイナスにはなりませんが、2~3cm程まで潮が引きます。待ってました日が近づいて来ます。期待通りの天気と収穫が有りましょうか?

 

 成果のない状態

 

仕様がないので裏返してみました。特に代わり映えもなし。 

 

 

 引っくり返しても特に代わり映えがしませんね! 

仕様がないので、机の上に転がっている最近収集した貝も混入させてみました。

同じような近い種類でも、バラエティーにとんでいます。

 

 

 

   

        ちょっと一服  

                「話の喫茶店」

時々、 余り見かけない貝類を見つける事が多くなりました。

 

タツナミガイ>と<アオイガイ

 

 

 <タツナミガイ>は当初は単に中央が欠けてしまった貝かと思っておりました。たまたま貝図鑑で偶然発見!立派な貝である事がわかりました。<アオイガイ>は最近どういう訳か、時々波の荒れた翌日は拾う機会が多くなりました。他の貝は海が荒れている関係でしょうか、なかなか良いものが落ちておりません。自然現象というものは気まぐれで面白いものです。

 

 

タカラガイ・宝貝 

 

ヤクシマダカラ 

 

比較的大きなサイズ ・ 75mm  海中からでしたら磨耗もなく、素晴らしいタカラガイでしたでしょう。

前側と後側 

                

 

 殻口

 

 今まで採取した<ヤクシマダカラの仲間>・・上中央は今回の採取品

 

 

 

 

「貝殻図鑑」

 

タツナミガイ

 

 

タツナミガイ (HP・今本 淳氏 より掲載)

タツナミガイ

 

 

タツナミガイDolabella auricularia)は後鰓目アメフラシ科に属する軟体動物である。一般にアメフラシと呼ばれる生物に近縁だが、大型で皮が硬い。・・・・・WIKIより

でも、蛸やアメフラシの仲間なのに、外見が貝というのも自然というものは複雑です。

 

 

↑ ↓

      微小貝データーベースより掲載

 

Class Subclass Order
綱 亜綱 目
GASTROPODA OPISTHOBRANCHIA ANASPIDEA
腹足綱 後鰓亜綱 無楯目
Group
グループ
 
Super Family / Family
APLYSIOIDEA APLYSIIDAE
アメフラシ超科 アメフラシ科
Genus(Subgenus)
属 (亜属)
Dolabella ()
()
COUNTRY
JAPAN
日本
LOCALITY
採集場所
Owase, Aichi 1995.
三重県尾鷲市 1995年

アオイガイ 

 

 

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南西諸島貝殻学入門-& 貝殻図鑑 006

2014年03月21日 | 生命科学

 

南西諸島貝殻学入門

貝殻図鑑

006  

 

 

 

 

 

 毎日このところ穏やかな日が続いております。前日に少し海が荒れたので大島海峡に貝拾いをして来ました。とある漁村の浜を歩いていると、珊瑚の小さな岩に大変珍しいほぼ完品に近い<イシデサソリガイ>を見つけました。 

 

イシデサソリガイ 

 

 

 裏面 (残念ながら生ではないので、蓋が有りません)

 

 

なかなかこの手の貝は棘が磨耗している場合が多いのですが、棘の先端がほんの少し磨耗している程度です。裏面の特徴のある殻口も模様も割と鮮明です。 

 

その他で比較的珍しい貝・・・アオイガイ、ウグイスガイ、タイラギ 

 

 アオイガイ

 

 

 

 

アオイガイは貝ではなく雌ダコの子宮から分泌物から形成される殻です。蛸はこの中に入って産卵をします。以前ご紹介しました。似たようなものでは<タコブネ>が有ります。

タコブネ

 

 

 タイラギ

            

 

先回ご紹介した<ハボウキ>の仲間で、ウグイスガイ科に属します。

     ハボウキ                  

 

 

ウグイスガイ

 

 

これも上記と同じ<ウグイスガイ>の仲間

ツバメガイ


 

後はどうという貝は有りませんでした。<テツボラ>、<センジュカイ>、<ハチジョウダカラ>位でしょうか。それから<ナデシコ>が少々有りました。

 

 

 

 

 

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西南諸島貝殻学入門- & 貝殻図鑑 O05

2014年03月14日 | 生命科学

 

南西諸島貝殻学入門

貝殻図鑑

005

 

 

 

西阿室の海岸

 

久しぶりの天気の良い日なので、加計呂麻島の太平洋岸に貝拾いに行きました。貝を拾いに行ったのか写真を撮りに行ったのか分からなくなりましたが、結果は惨憺たる結果となりました。

関連記事は「サワラちゃんの加計呂麻島日記」をご覧ください。 

 

 

 

タルダカラ

 

何もない中で殻の表面の新鮮度が高いタルダカラ。殻長・70mm まあまあ普通サイズでしょうか。

 

 

ニシキノキバフデ・70mm

 

波の荒い太平洋岸ですので、貝の殻の先端が磨耗していましたが、先般<イシカブラを拾い上げた同じ場所。最近は<チョウセンフデも余り拾うこともありません。

 

チョウセンフデ(150mm) ・ ヒメチョウセンフデ

 

 

<アンボイナ><タガヤサンミナシ>は最近余り見かけません。海が荒れた後などは良く見かけるのですが。

タガヤサンミナシ>も磨耗はしていますがGET!

シロアンボイナ

猛毒アンボイナ

 

 

特に珍しい貝では有りませんが、浜の相当上の方に新鮮な状態で転がっておりました。

かなり生臭い臭気がムンムンでした。これが一番弱い。

 

アンポンクロザメガイ ・ 100mm

 

  

 

   

        ちょっと一服  

                「話の喫茶店」

ハボウキガイ

       

 

カゲロウガイ>、<タイラギなど似たような仲間が多い。いつも自宅までの運搬途中で壊してしまう脆い貝。軽いので壊れないで珊瑚の石の上に乗っかっている。ウグイスガイ科に属する。数は比較的少ない。外敵から守りにくい華奢な殻ですが、何かこの形態に効用が有るのだろうか。波にプカリ、プカリと浮きやすいのだろうか。そうであれば広範囲に移動しやすいであろう。

 

 

 

「貝殻図鑑」

 

ニシキノキバフデ(キバフデ

 

 

微小貝データーベースより掲載 

Class Subclass Order
綱 亜綱 目
GASTROPODA PROSOBRANCHIA NEOGASTROPODA
腹足綱 前鰓亜綱 新腹足目
Group
グループ
Miters
フデガイ
Super Family / Family
MURICOIDEA MITRIDAE
アクキガイ超科 フデガイ科
Genus(Subgenus)
属 (亜属)
Nebularia ()
コリーフデガイ ()
COUNTRY
Philippines・Japan
フィリピン・日本 加計呂麻島
LOCALITY
採集場所
Balicasag Island, Province of Bohol , Philippines. Tangle net, 10-20m deep. April 2004.
フィリピンボホール州バリカサグ島 タングルネット10-20m深 2004年 4月
DISTRIBUTION
分布
Amami Islands and southward, Japan; S.W. Pacific.(Madagascar)
奄美諸島以南; 西太平洋域(マダガスカル)
HABITAT
生息場所
Rocks, intertidal to 16m deep.
潮間帯-16m深の岩礁

牙が磨耗したのが多いのが特徴。海中捕獲では綺麗なのが採れますが。 

 

 

 

 

 

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