南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

茜ちゃんのつれづれ草 -024

2012年09月28日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
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クレマチス

 

 今年は台風が大型で<猛烈>なのが多いですね。 ルソン島の西でうろうろしている低気圧が台風17号になりました。 詳しいメカニズムは解りませんが、太陽の最近の変調が影響しているのでしょうか。どうもそのような感じですね。

 最近畑仕事をしていて、<>に刺されることが多くなりました。刺されるというより襲われるという感じです。秋も深まりましたので、蚊の雌が繁殖のために必要なたんぱく質の吸収を本能的に強めているのでしょう。

 

 

叩かれて殺される危険が本人たちにも有るのですが、生殖本能の方が防衛本能よりも勝っているようです。ホルモンの微妙な放出の生体のメカニズムが関係しているのでしょうね。

それにしてもいつも感心するのですが、蚊の米粒の1/3程度の大きさで、蚊の頭部はさらに小さいです。まさに芥子粒のような大きさ。この頭部の中に人間で言えば頭脳が入っているわけですが、その中の運動中枢などは顕微鏡サイズでしょう。 

 

 

 蚊の本能的な運動とはいえ、大変精巧なメカニズムを備えていると思います。現在の人間社会の最高レベルの精密技術を持っても、これほどのものは造れません。地球が生まれて40数億年。 宇宙の空間に散らばっていたアミノ酸などの、生命を形作る素材からこの<蚊>が、進化の過程で生まれてきたとされていますが・・・・

DNAの構造を知るに付け、果たして進化だけでこれほどの物が、造られるであろうかと疑問に思うようにもなりました。我々の宇宙がビックバン以来。137億年程度経つようですが、それでも何となく短すぎるように感じてなりません。

神が造ったというよりも、ビックバン以前にもっと古い宇宙の時代が有ったのでしょうか。数千億年以上の時間があったら、あるいは別の次元の宇宙が存在していたなら・・・と夢は拡がっていきます。

 

         <誰だ! 目じりでウロウロしてる奴は (^~*)

 

 でも、いつも不思議に思うんですけれど、お隣のお婆ちゃんは素足で釜を持って草むらで草刈をしています。筆者にはとても真似が出来ません。何でもないようです。刺されないの・・・不思議? ・・・どうもソウラシイデス。

                      

 

さて、先回はDNAの詳細な説明に入る前に、<遺伝子=DNAを証明する実験>なる説明が必要な事を書きました。一般的な教科書では、2種類の事が説明されています。

1-  <肺炎双球菌の形質転換>  2-  <バクテリオ・ファージの増殖

本日は<肺炎双球菌の形質転換>について書いてみます。

形質転換 というのは、・・・ある細菌からDNAを抽出し、それを形質の異なる同種のほかの細菌に取り込ませ、一方の細菌が他方の細菌に発現する現象・・です。肺炎双球菌という肺炎を発症させる細菌で、初めて観察されました。その後、枯れ草菌、大腸菌でも同様の現象が認めれております。

                       肺炎双球菌

* 肺炎双球菌,肺炎レンサ球菌,肺炎球菌,とも呼ばれています。

 

大腸菌を使ってこの形質転換を認めた手法が2の<バクテリオ・ファージの増殖>という事になります。これは次回で・・・・

さて、先回ご紹介したオズワルド・エブリー(Oswald Theodorevery  が行なった研究テーマがこの肺炎双球菌の形質転換でした。肺炎双球菌は単細胞微生物でウイルスでは有りません。(ウイルスは生命体ではないというのが、現代科学の定説です・・・それについては、後日説明します

 エブリー(アベリーとも表記)の研究の前に先達がおりました。グリフェイスという研究者でした。しかし、形質転換の現象を発見したのですが、詳しいメカニズムを解明できなかったのです。

         ロックフェラー研究所

 * エブリーが長年研究していた<ロックフェラー研究所>。先般紹介した福岡 伸一教授もここで研究に従事していた。NYにある。この研究所関係者から23人のノーベル賞受賞者を輩出している。「野口 英世」もここの研究員であった。

                    野口 英世

 

  グリフェイスの実験

 病原性のある肺炎双球菌のS型の菌を加熱によって殺し、これを実験動物に注射しても肺炎は起こらない。病原性のないR型の肺炎双球菌をそのまま実験動物に注射しても肺炎は起こらない・・・・ここまでは当然ですが

しかし、死んでいるS型の菌をR型の肺炎双球菌と混ぜて、実験動物に注射すると肺炎が起こり、動物の体内から生きているS型の菌が発見されたのです。

常識的に考えると不思議ですよね。S型菌は死んでいても何らかの作用をもたらし、R型菌をS型菌に変える能力を持つ。

菌の性質を変える科学物質・・・・これが<遺伝子>なのですね・・・エブリーはこの物質を遺伝子とは呼ばずに、形質転換物質と呼びました。もうお解かりの通り、これは遺伝子であり、DNA だったんですね。

 

次の世代の研究者・エブリーは・・・<S型菌をすりつぶして殺し、菌体内の科学物質を抽出してとりだし、これから様々な物質を取り出し、どれがR型菌をS型菌に変化させたか、しらみつぶしに検討しました>・・・・その結果、残った候補は酸性の物質・・・つまり核酸=DNAでした。

当時の学会の常識は<遺伝子は形質に関する大量の情報を担っている。したがって、きわめて複雑な高分子構造をしている。先ずその候補としてたんぱく質を考え、遺伝子は特殊なたんぱく質である>と予想しておりました。

             DNAの構造式 CA TG

 

も。核酸は高分子ではありますが、ATGC というたった4種類の要素から成り立っています。だから、そこに複雑な情報が含まれているなどとは、誰も考えませんでした。

でも、コンピューターの基本的な機械語の言語要素は<0>と<1>で、表されています。これだけで高速で複雑な事が出来ます。当時、情報のコード(暗号)化について、このメカニズムが生物学者には解らなかったみたいです。

これで、いよいよ 遺伝子=DNA=核酸ということが解りました。

次回はもう一つの研究・・ <バクテリオ・ファージの増殖>について、書いてみたいと思います。その時、ウイルスの正体も同時にお話します。

  

 

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茜ちゃんのつれづれ草 -023

2012年09月21日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
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台風16号は思いのほか小さい被害で、筆者の付近を通り過ぎてくれた様です。被害といえば、垣根の木々が数本倒れた事と、インターネットの回線が又もや寸断された事。これも24時間で回復しました。Yare Yare!

昨年は11月の初旬に大災害を受けたので、まだまだ油断は出来ませんが・・ただ、ルソン島の西に停滞低気圧があります。これが17号の赤ちゃんでしょうか。この調子だと月末前には、日本いにいらっしゃる感じですね。様子見でしょうか?

                           

 先回と同じく、筆者の裏の畑の谷川の土手の根の部分の決壊は、今も独力で応急修理を続けております。 詳細は姉妹ブログ(不定期版)の<瘋癲老人日記http://akanechan.at.webry.info/ にて、ご覧ください。 

                           

 先回は、TEA TIME 感覚で書かせてもらいました。 今回はNHKの科学番組で皆さんが良く知っておっられる方を主人公にして、書いてみたいと思います。

 

          福岡 伸一 博士 

 

ちょっと見には、個性のある顔立ちをして居られるので、皆さんも強く記憶に残っておられると思います。この方と大学の同期に近い方の筆者の知人から、以前著書を紹介され、2冊ほど読まして貰いました。

    A-<生物と無生物のあいだ>  B-<動的平衡

内容は一般向けにわかりやすく、ご自分の体験談を織り交ぜて、分子生物学の発展の歴史の裏話や、理論が出来上がる背景について書いておられます。

 

 

 高等学校、大学で<細胞生物学>や<分子生物学>を学ぶばあい、理論として現在確立された羅列して書いてある事項を、ただ鵜呑みにしている場合が多いと思います。これは、教科書のページ数の関係と本来の建前からの拘束があることによるもので、已むを得ないものです。

しかし、発見などによって確立された理論などは、その裏に膨大な時間と労力と嫌になるほどの失敗という経験が隠れております。何年、あるいは何十年ものの時間の後に、やっと打ち立てられた理論もあります。

教科書は上澄み液、あるいはエッセンスを書いているにすぎません。むしろ、過去の試行錯誤の中に、将来の大発見に繋がる事が埋もれているかもしれないのです。そのような意味においても、研究者の研究段階の裏話、苦労話、失敗談は貴重な物なのだと考えます。

 

 

 私が始めて遺伝学を学び始めたとき、DNAの詳細な説明に入る前に、<遺伝子=DNAを証明する実験>なる項目が教科書に書かれてあることに、一種の鬱陶しさを感じた事があります。これを素っ飛ばして早くDNAの立体構造についての説明に、眼を移したかった事があります。

後日、先にご紹介の<生物と無生物のあいだ>を読み終えたとき、眼から鱗の状態になりました。むしろ、DNAそのものの構造よりも、遺伝子がDNAであることの証明のほうが、時間がかかり、技術的に面倒で、難しいという事が理解できるようになったのです。

ワトソンらのDNAの構造の解明は、この大きな扉を開けずには達成出きえなかったことと思います。彼(福岡 伸一)は先ず、野口 英世 → オズワルド・エイブリ- → アーウイン・シャガルフの一連の基礎研究について、書き始めました。

 

Oswald Theodore Avery  

 

        Erwin Chargaff

                       

 

 先回ご紹介した利根川 進博士においても全く同じで、数え切れない実験と錯誤と失敗の中から、理論を打ち立てて来たわけですが、彼の陰に隠れて彼の成功の踏み台に甘んじた研究者も居られるわけです。成功は努力だけでなく、ちょっとした運命の悪戯・・運の良さ・・もその要因なのです。

ワトソン、エリックの成功の影には、・・エイブリーやシャガルフのような地道な研究者の踏み台がなければ到底達し得なかった・・・そのような研究者が居るのです。以前ご紹介したロザリンド・フランクリンもその一人でした。  

ジェームズ・ワトソン

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生物と無生物のあいだ>のなかで述べられています。

ロックフェラー大学の人々にエイブリーの事を語らせると、そこには不思議な熱が宿る。誰もがエイブリーにノーベル賞が与えられなかった事を、科学史上最も不当な事と語り、ワトソンとエリックはエイブリーの肩に乗った不遜な子供達に過ぎないとののしる

筆者はワトソンのその後の仕事・・特に遺伝子教科書の執筆に・・貢献しましたし、今現在も第一線で分子生物学の研究をされているという現実を見るに付け、著者とは幾分違った感慨を持っております。 この続きは次回にまた (^-^)

 

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茜ちゃんのつれづれ草 -022

2012年09月14日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
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 台風15号の爪あとは思いのほか大きく、近くの県道の大規模な改修工事の現場のすぐ傍の道路の道幅半分ほどが、海中に崩落して交通事情が悪くなったり、折角改修した道路の側面の崖が全て崩れ落ちて、元の木阿弥状態になっているところも有ります。

今現在、島中のあちらこちらの道路が土砂崩れで、不通になっている所が数多く見られます。間伐をやっていない箇所が土砂崩れになるという、全国的に共通パターン化しているのと同じ現象が見られます。加計呂麻島も同じです。

 筆者の裏の畑の谷川の土手の根の部分の決壊は、今独力で応急修理をしております。詳細は姉妹ブログ(不定期版)の<瘋癲老人日記

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そのような訳でなかなか資料の読み込み、整理に意外と時間の掛かる、このブログを今まで通りに毎週金曜日更改という、余裕がなくなってきました。暫くの間は不定期にて更改し、また内容もTea Timeが主となる構成に致しますのでご理解ください。

                     

精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)

 

 皆さんのなかで、どこかで見た事が有るという方が居られるでしょう。この著書は1990年発行(初版)のものです。実に四半世紀ほど前のベストセラーです。

ご存知の名前が二つ並んでおります。

利根川 進・・・・ノーベル生理医学賞受賞者(1987度受賞) 

立花  隆・・・・・評論家(田中角栄の金脈問題、ロッキード事件・・・・etc) 

四半世紀たった今でも顕在で活躍中の方達ですが、先般もご紹介しましたように利根川氏は現在、理研BISの研究所所長を務め、Brain(脳)の研究に当初からの希望通りの研究生活を送っておられます。

 

 利根川 進

                  1939年9月5日 生まれ

 

立花 隆氏は最近癌に罹患しましたが、現在は元気に著作、評論と活躍中です。               

 立花  隆

                    1940年5月28日生まれ

 筆者の年齢はお二人より数年後輩でしょうか。白髪が特に目立っているのもまた同じ。頭のレベルは筆者と格段の違いが有りますが・・・・

お二人も才能豊かで、且つ積極的で、歯に衣を着せぬ物言いをされますね。そ点筆者と相性が良いのかも。同じ時代に生きてきたという事もあるのでしょう。恐らく話をしたら意外と気が合うと思います・・・(^-^)

 谷川の応急修理の作業の合間の休み時間(適当に作ります)に、ご紹介の<精神と物質>を読んでみました。都合何回目になるでしょうか。

四半世紀前に始めてこの本を読んだときは、生物嫌いの筆者にはチンプン・カンプンでさっぱり理解できませんでした。しかし、22年もたつと少し利口になったのでしょうか。大方は理解が出来る様になりました。

         細胞

 

 

それもそのはずで、この著書の内容は高等学校の生物+α程度ですから、当たり前の事ですが、当時は最先端の事柄が書かれていた訳です。時代の推移は恐ろしいものがあります。<遺伝子の組み換え技術>などは研究段階のことで、学問として発展途上のものでした。

今では国内の大学、研究機関でもごく一般的に実用段階の研究がされております。くだんの教科書にもキチンと説明が出てきております。正に隔世の間がありあります。そんな訳ですから、筆者が当初チンプンカンプンになるのも、已もう得なかったという事になりましょうか・・・・・

   細胞の核と細胞小器官

 

この本を数回読み直しても、その度に得るものが多々発見できます。

1- 研究段階の些細な裏話の中に、研究者の本音が多々出てくる。

2- 世界的トップレベルの研究所、研究者の実態の生活、研究態度が赤裸々に語られている。

3- 研究者としての有るべき姿、心得が垣間見える。

以上の点だけでも、筆者には感銘を覚える点が幾つもありました。ノーベル賞級の学者の生き様から、自分の生活を律する事も出来ようかと思います。皆様も折がありましたら、この本の文庫本が有るようですから、お読みになる事をお勧め致します・・・・・Amazonからの広告ではありません! (^-*)

利根川博士はBISで脳科学の研究者になり、立花氏も脳関係にまつわる評論本を多数書いておりました。当然な事なのかもしれませんが。

 

 

 余談になりますが、利根川博士の奥さんは皆さんご存知でしょうか? 

妻はサイエンス・ライターの吉成 真由美

 以前NHKのコンピューター・グラフィクの初期の頃のテレビ講座に関与していた方でした。Basicなどのコンピューター言語を使って、グラフィックを描くという、当時としては画期的な事を研究しておられました。 筆者も数冊彼女の著書を買い求め、勉強をしようと思った程です。

先ごろ亡くなったマンデンブロートという数学者がフラクタルという手法を持って、数学理論から<マン デンブロート集合 (「非線形フラクタル幾何学)>を確立した時で、カオスなどという言葉も世間に飛び交っておりましたころですので、そのころの事を良く覚えております。

その彼女が利根川氏と結婚されてからは、ハーバード大学大学院まで行かれて、精神医学の研究者となっております。夫婦ともBrainの研究者になってしまった訳ですね。 恰もキュリー夫妻の様でもあります。今後の研究の発展を期待したいと思います。

 

吉成真由美

1953年生まれ。マサチューセッツ工科大学(M.I.T.)卒業(脳および認知科学学部)。ハーバード大学大学院修士課程修了(心理学部脳科学専攻)。元NHKディレクター(子供番組、教育番組、NHK特集などを担当。コンピュータ・グラフィックスの研究開発にも携わる)。現在ボストン在住。著書に『カラフル・ライフ―遅咲きのすすめ』『サイエンスとアートの間に』『やわらかな脳のつくり方』などがある。

<やわらかな脳のつくり方>は一読に値します。興味のある方はどうぞ!

そろそろ「ニコヨン」さんに戻らなければなりません。谷川に手作業開始!!

では、また次回をお楽しみに!

 


奄美ちゃんのつれづれ草 -021

2012年09月02日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
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Oshirase!  お知らせ

 

 「新規ブログのみ・・突然新規更改しました。<瘋癲老人日記

http://akanechan.at.webry.info/

 

 先月下旬に西南地方を襲いました台風15号の影響で、インターネット回

 

が奄美大島の山中の崖崩れで崩壊し、9月1日夜やっとほぼ1週間ぶり

 

に回しました。

 

現在、筆者の自宅の庭や畠の修理、改修に奮闘致しております。

 

つきましては ブログは再来週の金曜日から(9/14新規更改致します。

 

宜しくどうぞお願い致します!

 

 

 

天気図を見ますと、南方海域に台風の赤ちゃんが生まれているように見えます。今年は非常に台風の発生が多く、しかも先回のような観測史上最高の風速70m/sもあります。皆様も十分気を付けて下さいね。 (^-^)

 

          9/02 天気図