南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

奄美ちゃんのつれづれ草 -012

2012年06月29日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
                          -012

 

東シナ海を望む・・・水平線の彼方は上海

 

 もうそろそろ梅雨も終わりそうになって来ました。今月の末近くで梅雨明けとなりそうです。やっと、じめじめした季節から解放されますが、変わって灼熱の太陽の季節の到来となります。いづれにしても大変!

今年の西日本、奄美、沖縄の夏はかなり暑そうです。先ほど気象庁から発表が有ったようです。雨量や台風の到来回数はどのようになるのでしょう。

 

***************************************************

 

 先回は<記憶>について考える資料の内容を公開してみました。出来るだけ偏らない新しい客観的な情報を得て、それに基づいて「記憶のメカニズム」を探ってみたいと思います。とはいえ、現代科学でも記憶の真のメカニズムは掴みきれていないのです。光や電気の技術は高度に発達しているのに、それらの本質が正確に解らないのと同じですね。

 

 

 今回は心や意識は脳のどこにあるのか・・ニコラス・ウエイド・・・「ニューヨークタイムズ」の科学レポーターで「ネイチャーの副編集長」も歴任。解説者が元東大医学部教授・養老孟司(解剖学)

を使ってみたいと思います。最近まで東大医学部の解剖学を背負って立ってきた養老孟司氏が関わって居られる事に安心感を覚えます。330pの本ですが、今回はその中の「記憶の形成」と「心の発達」について読んでみたいと思います。

* 文章中に東京都神経科学総合研究所の最新の公開されている研究情報も織り交ぜて書いてみたいと思います。

 

 

A*****記憶の形成*****

・・・人間の大脳が記憶を統制する上で一つのポイントとなるのは、「分散」という方式である・・・

分散して計算処理するコンピューター 

複数のコンピューターやプロッセサーを利用して、分散して計算処理を行うこと。1台のコンピュータに多数のプロセッサを搭載して処理する方法と、ネットワークを通じて複数のコンピュータを結びつけて処理する方法の2種類に大別できる。 

分散処理は遺伝子解析気象予測、暗号解読などの大規模な計算でしばしば用いられる方法である。これらの計算は単独のコンピュータで処理しようとすると途方もない性能が要求されるが、分割して並列に計算することが可能なため、複数のコンピュータを並列動作させることで処理時間を短縮できる。 

 人間が例えば、「リンゴの情報を記憶するメカニズムは、百科事典のように脳内のある特定の箇所にリンゴに関する全ての情報をまとめて持つ神経細胞はない。ある特定の神経細胞がリンゴの持つ 色、色模様、香り、艶などの全ての情報を持つ訳ではないとされております。

人間の脳は対象物を認識するとき、植物、動物、家庭用品など、広く一般的な分類による索引システムを用い、何かを認識するときは逆にこの索引システムを通じて、適切な情報を引き出している。

分散処理方式>のコンピューターと同じようなメカニズムが人間の大脳の情報処理に使われているのでしょうか。逆に考えると、人間はどこからこのメカニズムを知りえたのでしょうか。自ら考えたのでしょうか?そうかもしれませんし、違うかもしれません。

人間の大脳のメカニズムの解明が有ったからでしょうか。意外と違うかもしれません。宇宙のどこかにそのような知識を保存しておく<>というのが有るのかもしれません。ここまで考えると・・・ルパート・シェルドレイクの仮説・・・・が思い出されます。

分散の項目・・・・植物、動物、身体の部位、色、数、文字、名詞、動詞、固有名詞、顔、表情etc・・・・・食物、果物、野菜は一つに纏められている。

言語と視覚・・・・脳の記憶貯蔵の方法は、動物と身体の部位といった分類だけではなく、言語と視覚も別々に扱う仕組みになっている。

         

          ・ 視覚等による情報・・・・色・形・色模様・大きさ・艶など

リンゴの認識 ・ 言語による情報・・・・食べ物としての質など(甘い、すっぱい)

ここまで読んでくると、こんなことに気が付かれると思います。

 

 

 壁の小さな隙間からリンゴの一部分を見せられて、それが何であるか認識する場合・・・・・色から果物か人工物か、あるいは数種類の類似の果物を認識できる。・・・・匂いなどからさらに絞り込める・・・艶、表面の状態などからさらに絞り込める・・・最後にそれを「リンゴ」と認識する。

人の顔であっても、眉だけの情報でピタッとある人間を特定できる場合も有るかと思います。これが百科事典のような処理システムを取っている場合は、結構手間取り瞬間的に認識をするのは難しいのではないでしょうか。

眉の情報とある特定の人の名前(言語)が結びつく、分散システムの方が速いようにも考えられます。直感などはこのシステムによるのではないのでしょうか。 皆さん如何でしょうか? 

では、次回は<記憶は脳のどこに貯蔵されているのか>について、書いてみたいと思います。 

 

                     喫茶店                         Tea time 

 

 先回からとうとう恐ろしい世界に入ってきました。-南部・小林・益川理論の解説ーとして、科学雑誌「化学」2008年12月号に掲載した<自発的対称性の破れ、そして、CP対称性のやぶれ>の論文を読んでみましょう。

一般素人にとっては素粒子物理学の世界は大変高度で難解な世界ですので、上手く簡単に要約出来るという様なものでは有りません。そこで、時間は掛かりますが一章節づつ細かに読んでみたいと思います。

 

 

1- 素粒子の対称性とその破れ

現在の素粒子物理学では物質の最も基礎的な基礎粒子はクオークと軽粒子(電子とニュートリノなど)です。物質の原子核はこれらにより核子(陽子+中性子)、中間子などを構成しています。

素粒子の対称性・・・・ 内部対称性     ・・・・三次元色対称性

                                  ・・・荷電スピン対称性

             ・・・・ 外部対称性  ・・・・空間反転のパリテイ変換

                        ・・・・・時間反転のパリテイ変換

                       ・・・・荷電共役変換(粒子・反粒子変換) 

* 内部対称性・・・・性質の似た粒子を一括りにしてグループを作り、その同じ組の中の粒子を同一視して、それら粒子を入れ替えても理論が変わらないとき、そのグループに対して内部対称性が有るといいます。

 

 

 素粒子の内部対称性 

・・・・ クオークの三次元色対称性 

クオークは6種類ありますが、それぞれのクオークには赤、緑、青の3種類があり3種のクオークの入れ替えに対して理論は不変です。

   (     ) → (     ) → (    )

 

***************************  

 

 ・・・・  荷電スピン対称性

 陽子  中性子      入れ替えても核力は不変 

       ( ○  )      →     (    )   

陽子と中性子は電荷の違いだけで、質量やスピンばかりでなく核力(原子核を結合している力)の性質もほぼ同じです。

 

 

素粒子の外部対称性

 などの変換で素粒子の相互作用の理論形式が不変のとき、その理論は外部対称性を有する

 空間反転のパリテイ変換・

 粒子の外部の時間・空間に関する対称性。 三次元空間には右手系と左手系があり、この2つの系は左右が反対で鏡に映した世界に対応します。右手系から左手系への変換および逆変換・・・・・Pで表します。

 時間反転パリテイ変換・T

時間の向きを逆転する変換・・・Tで表します。

 荷電共益変換(粒子ー反粒子変換)・

 反粒子とは電子や陽子に対して、その裏の世界を作る粒子。すべての素粒子には反粒子が存在します。

真空は空の空間ではなく、粒子と反粒子対が無限に詰まった状態

 この空間に充分エネルギーを与えると、真空から電子ー陽電子(反電子)が対発生するように粒子とー反粒子の対が発生します。 逆に、粒子と反粒子が衝突すると消滅して真空とエネルギーに戻ります。この現象が宇宙発生時における物質起源の元である。

 

 

ここまで来ると頭がくらくらしそうです。次回は「対称性の破れ」について書いてみます。 

 

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奄美ちゃんのつれづれ草 -011

2012年06月22日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
               -011

 

 

 

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台風4号がやっと行ってくれたかと思ったら、もう南シナ海には5号が日本方面に向かって進んでおります。最近は雨の日が続きましたので、地盤が悪くなって彼方此方で崖崩れが発生しております。台風5号はどうなるのでしょうか。雨はもう十分です!・・・・とかなんとか言ってたら、凄い嵐になってきました。

大島海峡に船が緊急避難中

 

スーパー・コンピューター

 ローレンスリバモア米国立研究所にあるIBMの「Blue Gene/Q」スーパーコンピュータ(SP)である「Sequoia」が、16.32ペタフロップスを達成したという。前回首位だった日本の理化学研究所主導の「」が10.5ペタフロップスでそれに続いたようです。

* セコイアの演算能力は16・32ペタフロップスで、1秒間に1京6320兆回の演算を処理できる性能 日本の「京「は10.5で、1秒間に1京500兆回の性能。

 

              Sequoia

 

ローレンスリバモア米国立研究所といったら、日本の理化学研究所と同じレベルの有名な研究所ですね。やってくれましたね。でも、数年後は日本か、中国か、米国か???

 SPの世界は日進月歩の世界ですから、追いつき追い越せ、抜きつく抜かれつの世界です。気象予報など大量の情報を瞬時に計算処理しなければならない業界では、より早いSPを必要とするのでしょうね。我々が日常使用しているパソコンでも、毎季節ごとに新しいより演算能力の優れた商品が発表されております。

茜ちゃんが使用しているPCはプロセッサーのクロック・周波数が3GHz、メモリーが1GB程度で、他の古いタイプのPCを横に2台置いてブログを作っています。 昨年、初めてブログを始めたときはクロック・周波数が1.7GHz メモリー 256KBでした。1台のPCでピコピコ動かしておりました。来年はどうなるのでしょうかね・・・・

 

 

 さて、先回は「原著」と「翻訳書・解説書」の間の微妙な問題について書いてみました。日本は江戸時代の幕末ころから明治・・・現在もそうですが、欧米の著書を大量に輸入し、それを翻訳して情報を取り入れてきました。異質な言語の大きな壁がその第一の原因でした。

オランダ語 → ドイツ語・フランス語 → 英語 と主要な対象は変化しましたけれど、翻訳本を基本にするという態度・手法は基本的に変わっていません。 学校教育で外国語を学んではいましたが、専門書を読解くということはなかなか素人には難しいのです。特に専門的な箇所、微妙な言い回しのような部分は尚更です。

 

 

 そのようなことから、原書の解説書、翻訳書を読まざるを得ないことになるわけですが、その時先回ご紹介したような問題が起きてくるのです。という事で・・十分注意が必要になります。

余談ですが、自動翻訳を使ってみましても・・結局何を言ってるのかわからない・・程度が多いですね。結局自分の語学力を向上させることと、翻訳書の注意深い読み取りが肝要になってくると思います。原著の翻訳の中に・・翻訳者の考えが紛れ込んでいないか・・・ということです。

それで、資料の検証ということが大事だということになります。著者、翻訳者、出版社などです。「出版社」? と思われるでしょうが、意外と大事な事なのです。個性のある出版社の中には注意を要する所もあります。また、それ以外に「監訳者」、「推薦者」などいろいろ有るんですね。

 

 

そのような訳で、今回は茜ちゃんの使用している資料を掲載してみます。

1- 「生命のニューサイエンス」・・・ルパート・シェルドレイク・・工作社           

2- 「東京都神経科学総合研究所」の公開資料・・・・・・・・・同研究所

3- <心や意識は脳のどこにあるのか>・・ニコラス・ウエイド・・・「ニューヨークタイムズ」の科学レポーターで「ネイチャーの副編集長」も歴任。解説者が元東大医学部教授・養老孟司(解剖学)

4- 「脳の探検 (上・下) 」・・・フロイド・E・ブルーム・・・講談社(Blue Backs

5- 神戸大学医学部大学院・解剖学の教科書・・・・公開資料

6- 「大学生物学の教科書」・・D・サダヴァ・・講談社(Blue Backs

7- 「Essential 細胞生物学」・・・Bruce Alberts他・・・監訳者 中村 桂子・・南江堂 

 

 

 以上でこのブログを書いております。出来るだけ偏らない、客観的な資料を参考にして書くようにしております。それでも、思わぬ間違い、勘違いは有るかと思います。科学の情報は日進月歩です。本になったときの情報は古くなった情報ですから、いつもその事を頭に入れて置かなければなりませんね。

次回は現代医学の立場から、記憶の問題を考えて見ます。主に<心や意識は脳のどこにあるのか>・・ニコラス・ウエイドを主に書いてみましょう。 

 

 

                     喫茶店                         Tea time 

先回は「自発的対称性の破れ」について、3人の方の説明文を掲載しました。この文章を読んでいる方たちの立場によって、いろいろな選択が出来ると思います。数式を使わないで物理学を説明するのは大変なことなんですね。

先に進み前に大事なことを書かなければなりません。東大の50年ぶりの謎解きとは何だったんでしょう・・・・

 

 

南部 陽一郎博士は「洗濯物を干すとき、シャツをどちら向きから干しても構わないのが、最初にたまたま右向きに干すと、結果的にすべてのシャツが右向きに並ぶことがある。この意図をせず左右の向きが決まることを「自発的対称性の破れ」としています。 

博士はこうした現象を物質の最小単位の素粒子の世界に当てはめ、質量の起源の解明に貢献しました。しかし、これは絶対零度の真空を前提としており、密度や温度のある生まれたての宇宙や、磁石の中など身の回りで説明出来ないものもありました。

 

 

 これについて、カリフォルニア大大学院生の渡辺さんが博士の理論を数学的に発展させ、この理論ですべての場合でも説明できる理論を導き出しました。これについて、共同研究した東京大の村山特任教授は「現状では成果をどの分野に応用できるか分からないとしていますが、宇宙の進化過程の解明など幅広い分野に応用できる可能性がある」とされております。

これについて、南部博士(91)は<とても良く出来ている>という納得のコメントを寄せているそうです・・・・・凄いですね!

 

 

真空とは何か・・・何も無いわけではない?・・・・ホント!・・・実際は何かがあるの・・・えっつ!             

 先回はここで終わりました。上の途中の文章でも<真空>という用語が出てきます。<真空>ってどのような状態なのでしょうか。

科学雑誌「化学2008年12号掲載の文章を資料にして書いてみます・・・・・

まず結論から・・・・<真空は空の空間ではなく、粒子と反粒子が無限に詰まった状態である。そしてこれら以外に中性ヒグス場などいろいろ内包しています。だから、十分なエネルギーを与えると真空から電子ー陽電子(反電子)が発生するように、粒子ー反粒子が発生します。粒子と反粒子が衝突すると消滅して真空とエネルギーに戻ります

真空とは何も無い状態ではないのですよ! はるか昔に製作された仏教の経典の「般若心経」に<色即是空 空即是色>という言葉が書かれております。有・無・空という概念・・・・有るという状態、有る者が無くなった状態=無、どちらでもない状態=空・・・・・・=物質的振る舞 ・・・・つまり上の真空の説明と同じような事を言ってることが分かります。数千年前に修行僧はこの宇宙の秘密を知っていたの?・・・・どうして分かっていたの?

そのような訳で、次回からは恐る恐る<PC対称性の破れ>について垣間見てみます。・・・・あ~ 怖い!

 

 

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奄美ちゃんのつれづれ草 -010

2012年06月15日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
               -010

 

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最近は毎日のように雨が降り続いて居ります。 台風がまたフィリッピン海域に発生しました。気象庁の台風情報の天気図を見ますと、ちょっと危ない状態に見えます、これから少しづつ偏西風に流されて、進路が東にカーブしそうで対馬海峡を目指しそうです。

 

 

先日の台風よりも強めになりそうです。とは言え、気象情報はなかなか難しい。あす降水確率20%という情報であっても、翌日の朝は大雨になることが時々あります。マクロとミクロは正確には連動しない良い例です。

これは・・経済学の分野でもミクロの経済現象の集積がマクロとは一致しない・・・という事と似てますね。マクロ的な動きとミクロ的な動きは別な現象なんですね。初めて経済学を学んだとき、マクロ経済学ミクロ経済学が別な分厚い参考書になっていたのを疑問に思っていたことが暫くの間ありました。

 

 

 さて、先回お話しましたシェルドレイクの

現在自然に存在する生物の特徴的な形と行動、また物理的化学的なあらゆるシステムの形態は、過去に存在した同じような形態の存在の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する。それは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによっている>  はご理解頂けましたでしょうか。

・・・・実際のところ・・・そう簡単にはいかないと思います。

」とか「共鳴」と言う用語は自然科学や社会科学の分野で様々な意味合いを持って使われております。物理学分野にだけ限っても専攻分野によっては意味合いが違う場合があります。・・・・シェルドレイクの場合は物理・化学的と書いている訳ですから、より広い時空間(宇宙)を想定しており、物質以外の精神的な世界までも範疇に入れていますので、事は簡単ではないようです。

 

 

 また、資料を調べておりましたら・・・・・

生命のニューサイエンス」というシェルドレイクの原書を種本にして、解説書に似た本があるのですが、100%原書に忠実ではない部分が有るようです。つまり意訳といって・・・原書の著者の考えが拡大解釈されたり、変形されたりする面も出てくる・・・・そんな危険性が有るのです・・・・これは充分注意をしなければなりません。

今回はその例を一点ご紹介して、次回からは原書を少しづつ忠実に読むことにして行こうと思います。その点ご理解ください。

 

 

 「グリセリン」にまつわるエピソード

 <ルパート・シェルドレイク仮説>の関係の資料の中に「グリセリン」の話が「形態形成場」に絡んで良く出てきます。しかしこの話は原著には有りません。

グリセリンはあらゆる努力にもかかわらず、結晶化されることが出来なかったがあるとき運搬中のグリセリンが何かの拍子に結晶化した・・・・

と言う話です。この文章は実はカリフォルニア大学のGibson,Giauqueの論文より引用されで来た話だそうで、文中の数字(グリセリンが結晶化する温度)も18度が17度に変更されていると言うような部分もあるのです。

正確な経緯は書きませんが、論文の中にはグリセリンが結晶化したのは超自然的な現象ではなく・・・

グリセリンの種結晶が到着してからわかったことなのだが、実はグリセリンを液体空気温度まで冷やしてから、一日以上かけてゆっくり温度を上げてやれば、事実上何時でも種結晶なしに結晶化できる

ということを書いてあるだけだそうで、「自然発生的な結晶化」などということはどこにも書いていない・・・・・とされております。それが真実であればシェルドレイク仮説を説明するに当たっての創作であると考えなければなりません。

 

 

このように科学的な問題は原書に忠実であるべきですから、学習するに当たっては注意を要するわけです。この点(グリセリン関係)はいずれ再度書いてみたいと思います。 

 

喫茶店                  Tea time    

 

 どこがすごいか 南部 陽一郎」 A-<自発的対称性の破れ>のことについて、先回書きました。今回は50年ぶりに東京大学で解明されたことをご紹介してみたいと思います。

まずその前に、もう一度自発的対称性の破れ>の先回の記述を書いて見ます。 

・・・パーテイーの会食のため長いテーブルにナイフ・フォークとナプキンが交互に並べて用意されているとします。座った人が自分の右のナプキンを取るか、左のナプキンを取るかは偶然によりますから、結果は丁度同数になるはずです。しかし、これは人がバラバラにテーブルに着き、バラバラに食事を始めたときの話で、もし人が隙間なくテーブルに着き、誰かの発声で一斉にナプキンを取り上げた場合、一番早くナプキンを取り上げた人が右を取り上げたら右、左を取り上げたら左にならざるを得ません。人間の身体は対称なはずなのに、現れる結果は非対称になる・・・・ = 自発的対称性の破れ

 

 

 

ところで、東京大学の物理学教授(柳田 勉 氏)の書いた自発的対称性の破れ>を別にご紹介してみます。

・・・自発的対称性の破れは我々の日常生活の中でも見られる現象の一つである。たとえば、ここに丸いテーブルがあると考えてみる。テーブルの表面にはその面に垂直な方向に一様な重力がかかっているとする。そのテーブルの中心に一本の細長い棒を垂直に立てておく。この考えているテーブルの表面での力学系は、テーブルの回転に対する対称性を持ち、何も特別な方向はない。しかし、この棒が立っている状態は安定な状態ではない。時間が立つとその棒は倒れてしまう。棒が倒れた状態では特別な方向が発生し、もはや上記の回転対称性は破れている。力学の基本方程式は対称性を持つのに、そこに生じた対称性が破れる現象・・・=<自発的対称性の破れ

 

 

いかがでしょうか。 どちらが良く理解できますか? それでは最後に日本経済新聞に掲載されていた<自発的対称性の破れ>の記述を掲載してみます。上記の2種類の記述と比較してみてください。

 洗濯物をラックに掛けるときに、最初のシャツを右向きにかけても左向きにかけても構いませんが、一度右向きにしてしまうと、なんとなく次のシャツも右向きにかけたくなり、最後にすべてのシャツが右向きに並んでいる、ということがあります。つまり、右と左を入れ替える「対称性」が自発的に破れてしまいます。「対称性」とは「どちらでも同じ、構わないこと」、しかし、全体を見ると(なぜか)自然とどちらかを選んでしまっている・・・・=<自発的対称性の破れ

 

 

 

いかがでしたでしょうか。物理学を数式を用いずに表現するとこのようになってしまうのでしょうか・・・・最後になりましたが、

人間に右利きが多い、心臓が左側にあるのは本来どちらでも良かったはずですが、生物の進化の中で自発的に対称性が破れてきた結果です。

中性子星の内部、実験室の超流動・超伝導物質、冷却した原子のガス、宇宙に満ちるヒッグス粒子も自発的対称性の破れの例であるそうで、この考え方が様々な分野の研究に大きな影響を与えたということです。

東京大学の公開論文は実際はこれからが本番なのです。

益川・小林両氏のノーベル物理学賞の対象になった<CP対称性の破れ>の説明の中で、非常に興味のあることがたくさん書かれて居りますので、次回はその一部を紹介したいと思います。・・・・・真空とは何か・・・何も無いわけではない?・・・・ホント!・・・実際は何かがあるの・・・えっつ!

 

 

 


奄美ちゃんのつれづれ草 -009

2012年06月10日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
               -009

 

* 今回からブログのキャスターが変わりました。<奄美ちゃん>は「サワラ・奄美ちゃんの奄美群島歳時記」に移動しました。 

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 奄美大島群島もいよいよ梅雨の最盛期に入ってまいりました。昨晩から大雨が降り続いております。気象庁のレーダーを見ながら、畑の傍の谷川の水位や塀の傍の小道の水の流れを監視しています。昨年の11月の大洪水に少し似てきました。レーダーは50~80mm/hの表示になっております。昨年は143mm/hでしたから今回はどうなるでしょうか?。

ピンクの色の表示が自宅の真上を通っています。不気味ですね。あと、数時間は続く見込み。 気象衛星の写真でもフィリッピン、台湾方面から真っ白な雲が延々と繋がっております。そう簡単には途切れないかも・・・

 

 

 でも、便利になりましたね。一昔前でしたらラジオ・テレビも情報から類推して、上空の様子を勘案し、今後の推移を予想するだけでしたが、レーダー情報という確度の高い情報から、瞬時にして今後が分かり誤りが少なくなる・・・・

気象庁は気象予想の世界最高の演算速度を持つ超高速コンピューターを導入することになったとか。従来の20倍速い速度を持つとか。 一秒間に数百兆回の演算能力を持つと云われても、実際のところ理解不能。

奄美大島上空の雨雲・・赤い雨雲で島が見えません(^~^)

 

 如何に高速のスーパーコンピューターが有っても、入力する情報が誤っていたり、観測ポイントが少なければ宝の持ち腐れになる場合も有るかもしれません。地上でしたら観測点は細かく設置できるでしょうが、海上はそうは出来ませんし、余りにも観測エリアが広すぎます。

離島に来てから海岸線の岩礁や断崖の真下の荒海の傍にいる機会が多くなってきましたが、気象が如何に刻々と変化するか、身を持って知ることが多くなりました。潮の変化、波の様子、水平線の雲の様子、風の方向と強さetc

読み間違えると即、怪我をするか死に直面しかねません。携帯電話も使えませんし、ラジオも視聴できないエリアも有ります。そうなると自らの経験と即時の判断力がその後を決めます。特に逃げ場所のない断崖絶壁の下の岩礁は特に危険ですね。・・・・何故そんなところに行くの?・・・・貝の採取はそこが一番のポイントだから・・・

スイジガイミノカサゴ>・・・・水槽で元気いっぱい!

 

 さて、気象の話が長くなりましたが・・・・何時もの続きに入ります。

ルパート・シェルドレイク仮説の記憶のメカニズム

A・・・「全ての生き物は前に存在した同種の生物からの「形の共鳴」によって、その種の集合的記憶を受け継ぐ

B・・・「全ての生き物について、各個体はそれぞれの過去の自分自身と「形の共鳴」現象を起こしており、その自己共鳴作用が各個体の記憶や習慣の基礎となる

上記の彼の仮説をさらに別の語り口で書いてみよう。

現在自然に存在する生物の特徴的な形と行動、また物理的化学的なあらゆるシステムの形態は、過去に存在した同じような形態の存在の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する。それは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによっている

 我々は生物学の学習で細胞内のDNAの中の核に存在する遺伝子によって、親の遺伝子情報を受け継ぎ、遺伝子は親の生物としての全ての情報を子孫に伝える・・・と学んできました。

              DNAコード表

 

現在、遺伝子の解読は100%成功したといっても、DNAの二十螺旋の構造と塩基A,G,C,Tの暗号のようなコード表を造ったにすぎません。 コードの解読は現在進行中で、ある特定の部分の変異が、ある疾患に関連することが解って来たに過ぎません。大部分の意味不明のコードは未解読といわれております。

その中の未解読のコードが役にたつ重要なものか、単なる塵なのかも解りません。まだまだこれからのようです。1953年にJ.ワトソンとF.クリックがDNAの二重螺旋構造を明らかにしてから、分子生物学は生物学の主要な位置を占めることになりました。その後長足の進歩を遂げております。

DNAの構造・・C(シトシン) A(アデニン) T (チニン) G (グアニン)

 

 

ワトソンは息子の身体的疾患をDNAを変化させることによって、治癒させることが出来ると考えて、日夜研究に没頭しているとのこと・・・・学者としての執念を感じさせます。

 最後に少し纏めてみましょう

シェルドレイクは、「DNAの遺伝子情報によって造られた生物の身体は「形の場」による「形の共鳴」がなければ成立しない」といっています。

我々はテレビを何の気なしに見ております。放送局は数多く有ります。たとえばNHKのニュースを見るためには先ず

1- TVの受像機が必要です。FMラジオではそれがいくら高級ラジオでも不可能です。

2- チャンネルをNHKに設定しなければなりません。民放にチャンネルを合わしてもNHKの番組は写りません。

 

 

 「形の場」というのはTVの受像機に当たります。「形の共鳴」はチャンネルを放送局に合わせる事です・・・・この比喩の中に彼の仮説のエッセンスが隠されております。 DNAによる生物の身体は「形の場」を意味していると解釈してもよろしいと思います。でもそれだけでは不十分である。「形の共鳴」がなければならない・・としています・・・・・形の共鳴」とは何なんでしょう???

次回からは現代の生物学・医学の成果も取り入れて、少し考えて行きたいと思います。その中で彼の仮説を考えてみたいと思います。

*  仮説は確定した学問では有りませんので、その点は充分ご注意を!

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どこがすごいか 南部 陽一郎」 A-<自発的対称性の破れ>のことについて、先日NHKで興味ある放送がありました。最近、南部さんの理論を補完する考え方を東京大学の先生方が考案されたそうです。次回に解る範囲でご紹介したいと思います・・・・・(無理だと思いますがね)・・(^~^)

 


奄美ちゃんのつれづれ草 -008

2012年06月02日 | 日記

 

奄美ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
               -008

 

 

 久しぶりに強い雨が降っております。天気図を見ると不連続線が東シナ海から奄美を通って太平洋に方へ伸びていて居ります。 梅雨明けの時期はここ12年間の記録を見ると6月25日前後となっております。降水量も最大/最小=3程度で、今年はどのようになるでしょうか。いづれにしても奄美地方は全国最大の降水量を誇っております。

昨日の新聞の科学記事の中で、興味のあることが書かれて居りました。太陽の光線の強さがここ20年間現象の傾向にあるというのです。地球温暖化と逆の結果にはなっておりますが、地軸の二極化から四極化など、余り芳しくない傾向にありますようで。 すなわち地球寒冷化が進行しているということです。

 太陽は学者の計算に寄れば、50億年後に赤色矮星になり光を失っていくと言われております。我々地球人にとっては今すぐの問題ではないので、心配はいらないのですが、太陽の正確なメカニズムが解っているというわけではないのですから、一抹の不安はありますよね。

 

              人工衛星・ようこう・太陽のX線写真

 さて、先回は<ルパート・シェルドレイク仮説>について、その特徴的な性格をこれから書いて行くに当たっての道標として、「前世記憶」について書いてみました。日本の科学界では<生まれ変わり、前世>という問題を科学的に研究探求することは、明治時代からタブー視する傾向があります。外国の先進国ではこれらのことは研究されており、この現象は可也確からしいと云われております。

科学者が何か宗教修行者などが持っている、念力などという摩訶不思議なものなどと類似する事柄を研究するのは、如何わしいという様なそんな風潮が日本の学問の世界では存在するようです。

 

 

 <念写Thoughtography(ソートグラフィー), については1910年に福来 友吉博士が透視の実験中に発見した現象とされております。密閉した鉄の筒の箱に入れたX線の写真用乾板に外から、心に浮かべた画像を焼き付けたなど・・ 

当時の学会は如何わしい等という理由で、それ以上の研究の進展はありませんでした。現在でも公の研究機関で研究されていないのは、皆さんも承知の事実。当時の宗教に対する「廃仏毀釈」の影響が有ったのかもしれません。

 

 

 科学者が時の思想や宗教に影響されるということは、科学者の研究態度としては間違っていると思います。それ以上に大事なことは、従来の学問の延長で物事を考え、研究することは有る面で間違いを起こしやすいことでもあるのです。科学者だけでなく、人文科学・社会科学を研究する研究者にもそれは当てはまるでしょう。

我々は子供のときから学校教育で教科書を基本に、学問の手解きをうけてきました。教科書といえども時の政治・宗教・文化の背景に大きく影響されて来た事は承知の事実です。ということは間違いも正しいとして受け入れてきたこともあるのです。でも、恐ろしいことに、これが無意識の世界で確固たる位置を占めていることは確かです。このことが学問の世界で大きな弊害になるということも有るのです。

 

 従来の学問と真っ向から対立する研究が、後に正統派の理論になった事などは過去にたくさん有った筈です。<ルパート・シェルドレイク仮説>の評価が今後どのように変化していくかわかりませんが、少なくとも素粒子物理学の分野だけ見ても、20世紀に入ってからは驚くほど変化していることは確かです。

素粒子物理学は極微の世界の研究と考えやすいですが、それは誤りです。極大の世界、つまり、宇宙的スケールの世界の研究でも有るのです。宇宙物理学、天文学というような超巨大なスケールの学問の裏面を支えているのです。

 

 

 <前世記憶・生まれ変わり>などという事を、無定見に如何わしいと考えるのではなく、「どのような理由でそれが事実であるというのか?>と一度、過去に受けてきた定説・学問などを頭の中でリセットして、聴いてみる、考えてみるという態度が必要かと思います。

我々の住む銀河宇宙、そしてそれが数千億個も存在するというような超巨大な宇宙、いったいどのような構造になっているのかも解らない現在、今後ドンデン返しのような理論や真理らしきものが現れて来るか、とても予想も出来ません。誠に空恐ろしくもあり、面白いことでもありますね。

 

 

 本日は、少し横道にそれましたが、これから書いていく<ルパート・シェルドレイク仮説>の前提として、少し申し上げてみました。数学者はとても頭の柔らかい研究者でもあるそうです。過去に囚われない、物事に囚われないで自由な発想が出来る人達でもあるようです。今から100年後に実用化される数学を研究するなどという行為は、このような発想の人達でしか出来ないと思いますが・・・・

少し、<記憶>という本来の主題から離れているようにも見えますが、ご心配なくお読みください。道中はこれからさらに長く続きますので・・・・

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先回お話しました「どこがすごいか 南部 陽一郎」の続きです。二つのことを次回に掛けて引き続き書いてみましょう。

A-<自発的対称性の破れ>        B-<暗算>  です。 

 西村 肇 東京大学名誉教授の論文の抄訳+筆者の考えを引き続きご紹介してみましょう。

 南部 陽一郎(敬称略)がノーベル物理学賞を受賞された時の、受賞理由は<自発的対称性の破れ>でした。ひも理論(超弦理論)では有りませんでした。研究途上の確定されていない学問は受賞の対象にはならないのです。

それでは、今回は西村教授の論文を参考に、この理論を比喩的に掲載させてもらいます。

 

 

自発的対称性の破れ

・・・パーテイーの会食のため長いテーブルにナイフ・フォークとナプキンが交互に並べて用意されているとします。座った人が自分の右のナプキンを取るか、左のナプキンを取るかは偶然によりますから、結果は丁度同数になるはずです。

しかし、これは人がバラバラにテーブルに着き、バラバラに食事を始めたときの話で、もし人が隙間なくテーブルに着き、誰かの発声で一斉にナプキンを取り上げた場合、一番早くナプキンを取り上げた人が右を取り上げたら右、左を取り上げたら左にならざるを得ません。人間の身体は対称なはずなのに、現れる結果は非対称になる・・・・ = 自発的対称性の破れ

いかがでしょうか。このような発見でノーベル賞を受賞したのではなく、そのことが素粒子の質量を決める原因になっているというのが、南部の発見だからです。・・・・とは言っても・・・一般の我々にはなかなか理解は難しいですが(^~^)

では、次回は「暗算」について書いて見ましょう。

 

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