南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

西南諸島貝殻学入門-009

2013年07月26日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -009

 

お知らせ 

 

 GW期間中は夏休みモードに入ります。8/20までお休みします。尚、「加計呂麻島貝殻図鑑」は現在随時作成次第公開して行きます。 

 

 

加計呂麻の海浜

 

 GWも直ぐ始まる・始まった方・・・いろいろあるでしょうが、今年は何時もより強い日差しと、雨の少ない夏になりそうです。水の管理には十分注意してください。行楽地以外は海浜には飲料水は売っておりません。炭酸飲料よりも紅茶に蜂蜜などを混ぜて持参した方が、どうせ温くなるでしょうから宜しいかと思います。水分の補給は命に関わりますからね。刺すような紫外線対策は 麦藁帽子、手ぬぐいの頬かむり、長袖のシャツ でしょうか。

 

                                               

 

 先回は「貝拾いのコツ」を書いてみました。長年の経験者は各自丸秘が有るのでしょうが・・・貝を拾う趣味の方、プロ級の方達には、必ず自分だけの秘密の場所というのがあると思います。ここだけは誰も来ない・・必ず拾える・・などという場所。 このような特定の場所を持っていることが大切でしょうね。

先回に引き続いて気の付いた事を書いてみたいと思います。

 

加計呂麻海岸

 

A- 岩場

   特定の貝しかないのですが、岩礁の割れ目を探すと、<トコブシ>、<マツバガイの仲間>、<ウノアシの仲間>などが良く取れますが、スキンナイフを持参すること。無ければ洋食用のナイフでもOK! 取るコツはナイフを隙間に入れて一気に貝を岩から剥がす事。失敗したら止めること。もう上手くは取れません。

岩礁は打ち付ける波も強い場合が多く、足場もヌルヌルしている場合も有るので、足元には十分気を付ける事が肝要です。セーフ・ジャケットを携帯することをお勧めします。そして、慣れていない箇所は複数同伴で。落ちたらヒトタマリもありません。命に関わります。

                         Hpから掲載 鳥羽

 

岩礁は凹凸が不規則ですし、至るところ割れ目が有ります。 気軽に飛び越えないことです。転んだら大怪我をします。一足一足が大事ですね。

B- 潮の干満

  潮の干満は何時も頭に入れて置くべきですね。気象庁で凡その潮の干満時間が発表されておりますので・・・土地の方は子供のころからの事なので習慣で身に付いていますが、内陸や都会の方たちは、プロ以外は十分注意が必要です。一日に2回干満が有りますが、干潮の場合を例に取りますと

干潮の時間の前後2時間位がセーフティー・タイムです。出来るだけ干潮の2時間前辺りから現場に入り、干潮時間を越えて来たら、現場から出る準備を始めましょう。特に断崖絶壁で囲まれたような浜辺、岩礁帯は危険です。逃げられなくなります。時間の場所的な誤差が付きまとうからです。波の状況、風も大きく影響します。

                    HPから掲載・熊本県 宇土                    

 

一人で断崖絶壁の岩礁帯に良く出かけますが、腕時計を何時も気にしつつ、辺りをいつも見ています。貝採りに夢中になって事故に出会う方が多いのです。思わず夢中になって童心に返ってしまうからでしょう。

C- 携帯用具

  セーフティー・ジャケットは勿論こと、長靴や短靴も気を配った方が良いですね。兎に角、岩場は滑りやすい。岩場に張り付いた藻は要注意です。 手には物を余り持たないように、腰のベルトなどに携帯することをお勧めします。藪蚊やブヨが多いので、アレルギーのある方は要注意。手拭を首に巻くとかしないと、数の多さに負けてしまいます。

相手は吸血鬼ですから・・その道のプロです・・・序でですが・・・海浜の周りの藪は気を付けること。ブヨ、ダニはけっこう居りますし、ものによっては大変危険! 筆者は免疫疾患があるので、何時も注意をしております。虫アレルギーの方は十分注意してください。砂浜や岩場でもブヨは多く居ります。

 

 

海中に少し入る場合も、寄せる波よりも引き波が危険です。場所によって波の力は変化しますので、足元を気を付けましょう。また、浅瀬でも危険な生物は数多く生息しております。<海蛇>、<ウツボ>、<ウニ>、<ミノカサゴ>etc

ミノカサゴは動きがゆったりとして一見可愛らしいのですが、棘に毒が有りますので触らぬこと X それ相当の用具持参でどうぞ! 生の貝を採った場合は海藻で包んで、海水に良く浸らして持って帰ってください。食べる場合はその限りではありませんが・・・筆者は水槽に入れるためにそのようにして持ち帰ります。

 

D- その他・ 「水槽」

 

 * 目立たないようですが相当数の貝が生息しております。

 最近は淡水・海水を問わず水槽を設置して、アクアxxx 何ていう物を楽しんでる方も居られます。近くで海水を取水出来る方は良いのですが、一般の方は水道水に塩分を加味した調整水を使うことになるでしょう。

自然の中に生息していた生物ですから、生息環境に強く影響されるでしょう。岩礁の岩場などに生活していた貝などは割と強いのですが(潮間帯)、潮下帯に生息してい貝など、砂の中などと類によっては、海水の状態のコンディションに強く影響されます。 巻貝は意外と強いですがシャコガイは非常に敏感で、余程設備が整ってなければ無理かもしれません。太陽光線を好みますので設備費も大変です。

                 ハナビラダカラ ↓

 

ミノカサゴや熱帯魚は酸素濃度の管理が上手くいけば、長生きさせることが出来ます。しかし、停電が一番怖く直ぐにアウトになってしまいます。停電の際のフォローが出来、餌を上手く食べてくれればOKです。餌はミノカサゴの場合はつり用の小さな海老で結構です。 一度教えれば次からは簡単に覚えてくれますし、慣れてくれます。

                      大ヤドカリ    ↓   昼寝中

 

大ヤドカリもミノカサゴと同じ方法で結構です。これは丈夫です。20cm以上のスイジガイの殻に入っているのもあります。直ぐ懐きます。慣れれば餌も手から取ってくれるでしょう。 経験ですね。

 

             喫茶店でちょっと一服 

 

珍しい貝殻

 

 ナンヨウダカラ

Cypraea aurantium Gemelin

Golden Cowry (eng)

 

 

 先日、知人の貝のコレクターがメールで送ってくれた<ナンヨウダカラ>の写真。  殻長 <112.5 mm> の超ビッグサイズ。色合いも朱色の勝った濃い色合い。しかも殻も丸く大きい。

調べてみましたところ 色合いは赤橙色から次第に橙色に変化するとか。採取して間もないものかもしれませんね。o沖縄以南から中部・南太平洋に生息。サイズ・85~105mm。 ということは世界のトップクラスの大きさかな

 

下の写真は筆者の持っている<ナンヨウダカラ>・・・殻長 85mm 

この貝は沖縄でもなかなか採取出来ないようです。奄美群島の深みにでも潜れば、生息しているかもしれませんが、海浜では欠片も見たことがありません。筆者のものはフィリッピン・ダバオ 水深20m となっております。滅多に貝を市場で買うことはないのですが、これは例外でした。

 

                                        

 

因みに、「世界の貝」のコレクションの中の<ナンヨウタカラ>です。同じくフィリッピン産で92mm

筆者と色合いが似ております。

 

 でも、海中でも海浜でもこれを見つけれたら素晴らしいでしょうね。  

加計呂麻島のある地点で、フリッピンから流れ付いた<オームガイ>を採取したことがあるので、そこなら大嵐の後ひょっとしたら見付けられるかもね。 冬場頑張ってみます。

   

貝の摂食の仕方・2>

海藻やプランクトンを食する貝もあれば、肉食の貝もあります。アワビ類、ツタノハ類、ニシキウズ類、サザエ類、アマオブネ類、タマビキ類はなど潮間帯に住む多くの貝は海藻食です。口から入ったところに歯舌がぎっしり詰まった部分があり、ここで岩に生えている海藻を引っかいて食べます。

 

                   タカラガイ、アマオブネなどの貝の歯舌   

 

ガレイシ

 

              有棘型 サザエ

                

 

 

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西南諸島貝殻学入門-008

2013年07月20日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門 

  
               -008

 

 

 

 

 ここ数週間暑い日が続いております。まとまった雨もなく、スコールも日中は見受けません。畑はカラカラに乾き旱魃状態です。頭の痛い日が続いております。 このところ朝起きると土の湿り気具合を確かめ、土の温度が低い内に水撒きを終えてしまいます。気象予報のレーダーの雨雲の動きは期待外れ。 低気圧もガッシリと居座った高気圧にはたじたじの様で中国大陸へ逃げていくばかりです。

四面を無尽蔵の水に囲まれているのに、それを直接利用が出来ずに居る現実。カラスも口を大きく開けて木から木へと渡り歩いています。彼らも犠牲者の一つでしょうか。太古の昔はこの潮の中に皆生きていたにもかかわらず、今や何ともしがたい存在。 進化とは良い面ばかりが残るわけでは有りませんね。

 

                                 

 

 ある貝の採取に関わる書籍を読んでおりましたら、「貝の拾いのコツ」というのがありました。

 

 

1- 早朝出かける 

   何処でもそうでしょうが、朝早く近所の海岸を散歩がてら、ワンちゃんと海浜を歩く方が決まっております。貝殻拾いばかりが目的ではないのでしょうが、民家の固まっている集落近辺の海岸は、早朝でも足跡がクッキリとついております。 貝拾いが目的な者にはその足跡を見つけるのが苦痛です。<やられた!>という感じ。砂浜ですと証拠が歴然と残っておりますのでね。  

 

 

 

2- 狙い目は冬場

   ここ数年の経験から、確かに冬場は貝の死亡率も高いらしく、それなりに大きな貝が海浜に転がっている確率は高いですね。南方から黒潮に乗って近くまで来ても、繁殖に至らず終わりを遂げるのがほとんどなのでしょう。季節風で海が荒れることも一因でしょうか。でも最近は風水害で山野が崩壊して、赤土が海中に流失していることから、浜荒れが起きて貝が住めなくなったのも原因として挙げられるのでしょう。木の枯れ、倒壊が海中の自然環境に影響しているのは確かですね。

3- 一度歩いたコースは逆向きにも歩く

   人間の視覚というのは結構いい加減なもので、無数の珊瑚や小石の中から目ざとく小さな貝を見つけ出すのにも関わらず、大きな貝殻の横を知らずに通り過ぎることが度々あります。日光と視線の角度、貝の色合い・・様々な条件の折り合いの中を、一瞬のタイミングで探す・・・ある面では慣れや熟練度が必要です。しかし、<有るはずがない>と思っていると、傍に有っても目に留まらないのも現実です。人間の神経のいい加減さというか、奇妙さというところがあります。・・・・そのようなことから・・・・ゆったりとリラックスして気負わないことが肝要ですね。

そのような訳で、再度今来たコースを逆向きに歩いてみる事が大事な方法になります。かならず、先ほど通過した時には無かった筈の貝が落ちております。不思議なくらい。(もちろん、先ほど無視した貝もそのまま)・・・それが珍品という事もあるから不思議。

 

 

4-  台風通過の2~3日後に行く

   確かにその通りなのですが、誰しもそれ位は知っていますから、皆さんが抜け駆けをしてしまいます。真面目に出向いた時は後の祭りという訳で、これは普段から人気の無いプライベートビーチか危険な場所のみの通用します。 セッカチな方になると台風通過寸前に出かける方もあるとか。これは危険ですから止めましょう

 

5- 両脇が磯で囲まれた海岸で拾う

   当然、中央は砂浜か石浜が多いですね。でも、これだけでは不十分。ここで大事なヒントを2つ書きましょう。

A・ 海流の流れを頭に入れて探すことです。海流の流れの反対側は先ず有りません。

B・ 藻やゴミが砂浜に帯を成している部分が狙い目。 ゴミが集まっているところは宝石箱と同じ。貝も拾うことが出来ますが、とんでもない物??も拾うことが出来ます。でも、これは例外で気にしない方が宜しいかも。それにしても最近は有害なゴミが多いですね。針の付いた注射器、薬ビン(麻薬でも入ってるような感じ)、大きな釣り針など。非常に危険ですね。何処で棄てるのでしょうか。日本以外の文字が記載されておりますので外国のようですが・・・

 

 

6- 小潮時を狙う

  これも大事なこと。潮干狩りでもやったりするのなら大潮の干潮時間を狙うのが筋ですが、貝拾いは不可!貝が広範囲に撒き散らされていて、結局虻蜂取らずになる事が多いのです。

 

 7-  その他 

     貝拾いは物探し、宝探しですからその人やその日の運天賦が作用して来ます。ですから焦らない事。探せない時は幾ら探しても駄目。 不思議な位。でも、諦めない事も重要。数kmも海岸を歩いて何も無く、仕様が無いので諦めかけて帰りかけた足元に、素晴らしい無垢かと思うほどのタカラガイを、砂浜に落ちていた乾いた藻のに発見。唖然としたことも有ります。弄ばれていた様な感じ。それは何回も経験しております。

貝の拾う対象を決めることも必要なこともあります。 大きな貝狙いの場合は小さな貴重な貝は目に留まりません。逆も真なり。 

砂浜に貝の一部だけが覗いてる場合が有りますので、気になったら必ず掘り返すこと。以前、鍋かと思って掘り返したら大きな夜光貝の逸品でした。こんなことも有ります。特に大型な貝はそのチャンスあり。25cmクラスのスイジガイなどもその傾向あり。思い込みは禁物。必ず検めること。

                                   夜光貝

 

最後にもう一つ・・・浜で拾う貝は欠けたり、磨耗した貝がほとんどです。荒れた海の海岸でレアーの貝を見つけることが有りますが、これは運天賦。 確実なのは漁師さんの家の裏の海岸。必ず、磨耗なしの逸品が転がっている。その漁師さんと仲良くなれれば最高。情報と現物が両方手に入ります。情報化時代ですね。コツは網干しが成されている海辺の民家が狙い目。

 

                            夜光貝   

       

 

イモガイの類

     

     貝拾いは磯乞食といいます。 乞食といえども努力とチャンスが必要なんですね。

 

              喫茶店でちょと一服

 

貝の摂食の仕方・1

海中、海浜の砂の中、岩礁に住む貝類はいったい何を食べているのでしょうか。

  二枚貝・・・プランクトン<アサリ、ハマグリなどの二枚貝は入水管から海水を吸い込む。この海水が鰓を通る間に酸素が吸収され、唇弁(しんべん)でプランクトンがこし取られ、海水は出水管から出される。 

 

                                   二枚貝の解剖図鹿児島の貝より掲載

           

 

コレクションCollection

 

                            朝鮮筆の仲間

                 朝鮮筆(大)・148mm   5本 /  左下 ニシキノキバフデ

  フデガイ科・Mitridae

  九州以南の浅海の海底に住む。貝細工に使用する。小型種にヒメチョウセンフデガイが有ります。 

 

          朝鮮筆

      

 

 

                       朝鮮筆(姫朝鮮筆)                                                                  

                   

         

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西南諸島貝殻学入門-007

2013年07月13日 | 生命科学

 

            西南諸島貝殻学入門   
                

                 -007

 

 

                     大島海峡

                     

 

                           鄙びた漁村の風景  

                                       「芝」のバス待合(4往復/日)

         

 

 余りの天気のよさについつい<芝>という海岸まで遠出してしまいました。

カッタルイ時間だけが流れ、人影もない漁村。 大島海峡の出口で東シナ海に続いています。沖合いはるかは中国上海です。近くに珊瑚の白い砂浜が続いております。浜には誰も居ない。潮風が終日吹いているだけ。

       干潮の時だけ先に進める浜                 沖合いは奄美大島本島

          

 

ほとんど珊瑚の石と砂だけの浜。 晴れた日は照り返しが強烈。 手ぬぐいを被って麦藁帽子を被って・・・・

 

        

早速、戦果ご紹介。  なれど凡打でした。

                     

ミミガイ・タケノコガイ・イモガイなどなど・・・

                    

 

タケノコガイは100mmもあった綺麗な貝でしたが、先が折れておりました。砂浜に頭だけ出して突き刺さっておりましたので、なかなか目に止まらず、帰り道で発見しました。  

 

                

 

ミミガイは完品  これだけのものはなかなか落ちては居ません。 アワビ、トコブシは多いのですが。

 

                       

 

久しぶりの<ハチジョウダカラ>、最近はご無沙汰状態。 55x80 まあまあの大きさ。殻面が磨耗していなかったら、最高なんですが。欠けはない綺麗な貝です。潜れば捕獲できるんでしょうが。

 

                   

 

ヒナズルガイ>とヤキイモ Or ハイイロミナシ Or ナガサラサミナシ ・・・特定できず。

 

                    

                  

                   数は少ないのですが、同定は簡単です。

                   ヒナズルガイ

                   

 

ところが殻の模様がはっきり鮮明なのですが、似ている種類が数種あり。先の方が白ければ<ヤキイモ>なのですが、茶色ですので?? 30mm程度。

 

                     

 

クロタイラギ>が2個。 先端が欠けていますので正確な大きさは不明ですが240mm以上はあるかも。西表島では300mmクラスが採取されている。 浅い砂地に生息するとのこと。生身だけでもかなりの量になるでしょう。

 

                        

 

サツマビナ>と<オオジュドウマクラ>               スイジガイの幼害

     

                          マイノソデの幼貝(初めて拾いました

                        

 

                               

 

                                    お知らせ

 

 今回からは「西南諸島貝殻学入門」はこのGoo版だけで公開してまいります。 「しーま版」は加計呂麻島の貝殻データの公開用専用にしてまいります。「西表島貝殻館」を基礎データとして利用させてもらい、加計呂麻島と西表島のデーター比較を行いたいと考えております。 両島の間には沖縄諸島が挟まっておりますので、微妙な違いが出て来ると思います。ご期待ください。

 

の各部の名称

 

 

 

 

ミガキボラ

  

 

貝殻を手にとっても、各部の名称となるとなかなか頭に直ぐ浮かびません。先ずは巻貝から

殻高(カクコウ) ・ 殻径(殻幅) ・ 螺塔(ラトウ) ・ 水管溝 ・ 臍溝 ・ 螺溝 ・ 螺肋 et

 

 

                                                       タカラガイ

                 

              ベッコウガサ  ハナマルユキ  

 

貝の殻を拾う時は、欠けていない完品を拾いやすいのですが、大型の貝は大体割れていたり、割られていたりする事が多いものです。貝殻の内部構造を知る手がかりともなります。所謂、貝の解剖学でしょうか。人間の身体の構造と比較するわけには、簡単には行きませんが・・・

殻=骨格 出水管=肛門。尿管 入水管=口、鼻 足=脚部、足 えら=肺臓 外套膜=皮膚組織 ・・・・・となるのでしょうか。 

                           

                                       喫茶店

                      

                                       貝の巻き方向

                                      

 

 殻頂を上にして殻口を見た時、殻口が殻軸の左側にあれば左巻き、右にあれば右巻き。上の貝は右巻きでした。多くの貝は右巻きですが、右巻きの種であっても奇形で左巻きも有るそうです。

                                      ヒダリマキマイマイ       ミヤマヒダリマキマイマイ

 

では、なぜ左巻きと右巻きが存在するのか、となると話は難しくなりますし、なぜ右巻きは多いのか?

台風や竜巻、水流の渦は左巻き・・・北半球・・・コリオリの力によります。植物の蔓の巻きかた、DNAの螺旋の方向・・・なかなか難しいです。

 

 

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西南諸島貝殻学入門-006

2013年07月01日 | 生命科学

 

西南諸島貝殻学入門   
               -006

 

 

 

 

 

 

 7月に入ると天気予報は晴れ&曇りの連続に変わりました。当分雨の降る様子もなく、梅雨は何時の間にか終わってしまいましたようで・・・・日差しが余り強すぎると、つい足が前に出ません。強い紫外線は年寄りにはかなり苦痛です。少々曇り勝ちの時を狙って浜辺に出かけたいと思います。

                                                          

 

の発生

 

 貝がどのように発生するか、そしてどのように成長し、我々が普段いつも見ている貝殻を身に付けた状態に成長していくかは、あまり気に掛けないものです。貝を採った時、貝の肉の方に関心が行く方と、そうではなく貝殻の方に関心が行く二通りがあると思います。 生の貝を採取して来て、水槽で飼い始めてはじめて貝殻の中の生身に関心が移ります。 触覚や入出水管、足が静かに動く様、<スイジガイ>のように結構速く移動出来、牙のような蓋で邪魔な障害物を蹴り倒すような元気のよい貝も居ます。これは観察しなければなかなか分かりませんね。

外套幕>などはタカラガイなどは顕著な例ですが、海中や水槽で見なければ気が付かないものです。美しいタカラガイの殻の表面は外套幕で覆われているので、一見では見分けが付きません。全身を外套幕で覆う場合と下の写真のように一部分しか覆わないタイミング、理由は不明ですが。

 

             ハナビラダカラ                        少し外套幕で覆われている

                       

 

 多板綱である<ヒザラガイ>の仲間や二枚貝は、メスが卵をオスが精子を水中で放出し受精が行われます。魚の受精や珊瑚などの動物も同じ方法を取ります。巻貝などは外部生殖器を持ち、交接によって体内受精を行います。

卵はゼリー状の卵塊、卵巣に入れて生み出されます。

卵の成長段階

1- 卵 → 2-トコロフォア幼生 → 3-べリンジャー幼生 → 4-稚貝 → 5-幼貝 → 6-成貝  

                           2        3

                             

 *  直接発生・・・  トコロフォアとべリンジャー幼生期を卵の中で終えて稚貝として孵化するタニシなど。

      

 「幼貝と成貝」

簡単に幼貝と成貝といいますが、実際はなかなか見分けが難しいものです。海浜で拾った貝が成貝か生育途中の幼貝かのみ極めは、経験に頼るしかないかもしれません。 特にタカラガイは大きく変体しませんので難しいですね。

 タカラガイについては次回として、今回は<スイジガイ>と<クモガイ>を例にとって見てみましょう。左端下から右端上に掛けて幼貝から成貝へと並べております。ただ、以前にも指摘しましたが、左端上の小さめな貝は形は成貝とまったく同じです。しかし、その隣は可也大きいのに幼貝です。

同じスイジガイでも多少種類が違うのかもしれません。このことについては資料には明記されておりません。

                    ↓ 小さな成貝                   ↓ 通常のサイズの成貝

                                  

 

 同じようなことは<クモガイ>でもいえます。

一番右端中央のクモガイは左下の幼貝よりもサイズが小さいです。

 

                  

 

 これらが地域差なのか、発達段階の栄養の問題なのか、いろいろ考えられます。

 

                                                                 喫茶店

                                                                     その 1  

 

 

 離島の奄美大島で貝を採取し始めてから、一つ気が付いたことが有ります。<>と言うと筆者は貝殻を連想します。そして「何という名前の貝か?」ということに関心が移ります。しかし、ここいら辺りの方たちは、貝=食用貝ですので、貝殻は関心の外。 <旨いか不味いか>ということ。

大潮の干潮は「海遊び」といって、近在の方がたくさん海の浅瀬や、岩礁の辺りを食用貝探しに一生懸命。筆者は関心がないので食用貝(収集類あり)は無視するか、海の中にポッイ!と捨ててしまいます。話をしてもなかなか噛み合わない。意識がまったく違うからですね。クモガイなどが採取され、肉を取るために割られて棄てられるのが、本当に堪らないですね。 <止めてほしい>と思うことさえも。

                                その 2   

先々回ご紹介した<ウミノサカエイモ> Conus glorlamaris

                  72mm

                          

 

 この貝は知人から頂いたものですが、いろいろ調べている内に、貝の世界では大変なものであることが分かりましたので、再度ご紹介してみましょう。( 趣味の極道・・・http://www.gokudo.co.jp/ より参照)

この貝が話題になったのは1800年代というからフランス革命の直ぐ後位のころの話。 フリッピンで稀に採れた珍品だそうで、かの有名な大英博物館に5個あった位という話。その時代この貝のオークションがあって、その当時の価格で100ポンド。現在の価格で1ポンド¥20.000円位ですから、¥2.000.000円と言うわけ。 鳥羽水族館の恵比寿貝・(長者貝)が¥3.650.000円ですから、相当なもの。 兎に角今の売買価格は別にしても、貝は付加価値の高いものであることは間違いありません。 貝が貨幣の代わりになるのも頷けますね。 貨幣けると書く

趣味の極道さんから掲載  118mm

                 

いずれもフィリッピン セブ島 で採取されたものです。 大事にしなきゃいけません。

余談ですが、この「趣味の極道の貝」や「世界の貝」のHPは驚異的! 時間が有ったら見てください。

 

 ショクコウラ」

 過日、近所の海岸で拾った貝です。砂交じりの石浜に落ちている場合が多いですね。貝殻の模様が素敵なのが特徴ですね。カラフルな色合いと模様がこころを引着付けます。

                 

 

 

 

 こんな素敵な模様の貝殻が珊瑚礁の白い砂と珊瑚交じりの浜に落ちていました。偶然発見したのに過ぎないのですが、その時の気持ちの昂りが忘れられないのです。

 

                 

 ショクコウラにはさまざまな色合いと柄模様があるようです。他人のHPを見ていても見飽きないです。

下の<ショクコウラ>は知人の所蔵のものです。紅白の御目出度い感じ。

 

では、最後に他所の方のHPからの掲載した<ショクコウラ>をどうぞ

鳥羽水族館から                           その他のHPから

      

                                                 その他のHPから

 

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