ふう、ふう・・・。
あともう一話分・・・!
(でもそろそろ『キングダムハーツ』のプレイ感想も書きたいな~と思ったり)
週刊少年ジャンプ2017年29号掲載
掲載順第12位
第219話 【存在の証明】
久我の脳内談義から今回はスタート。
こういうゴーイングマイウェイな独白が出来るのって、久我かアリスか竜胆先輩ぐらいだと思う。
裕福層の生まれで、才能にも、両親からの愛情にも恵まれ、何不自由なく順風満帆な人生を歩んできた久我。
まあ身長という問題はあった模様ですが(苦笑)。
(「ないよ」というダメ出しが地味にツボりました)
そんな「挫折」というものを知らずに生きてきた久我が、生まれて初めて味わった「挫折」。
それが司から受けた大敗北だったという。
「着飾ってきた自信」というのが言い得て妙です。
自信というものは表面を飾りたてるものなんかでは決してありませんから。
司との再戦までの間、久我は本当の自信を得るために頑張ってきたのでしょうか・・・。
それとも、司に勝つことで真の自信を得たいと思っているのでしょうか・・・。
二年生のみの構成だった1stBOUTとは大きく変え、全員3年生というほとんど最大戦力で挑んできたセントラル。(対して反逆者連合は今回も各学年一人ずつの構成ですね)
へえ・・・。
女木島冬輔や一色先輩らが十傑から除籍された時は十傑メンバーって仲が悪いのかと思っていたのですが(第151話)、そんなことは無かったようです。
少なくとも普通に話せる間柄の模様。良かった。
斉藤綜明によると、女木島冬輔は他者に肩入れしたりしないような、我が道をいく人物とのこと。
そんな女木島冬輔が、どうして反逆者連合に力を貸してくれたのかというと・・・
創真をちらりと見る女木島。
早く知りたいそこんとこ。(期待値MAX)
対戦カードも決まり、久我と司の勝負食材は・・・
緑茶(茶葉)!
う~~~ん!これは久我にとっては己の得意分野[四川料理]を発揮することが出来ない食材に当たってしまいましたね~~~!(><)
お茶に「辛さ」なんて合わせてしまったら、それこそお茶の風味が木端微塵になっちゃいますもの。
一方の司も、得意ジャンルはフランス料理なので不利そう・・・と言われてますが
んなわきゃないでしょ。
司は料理ジャンル云々以前にあらゆる食材のエキスパートなのですから。
ぶっちゃけ、司は苦手な分野が無いとさえ言える料理人ですよ。
その一方で思った事が一つ。
ということは、創真はわざわざ司の得意分野で勝負を挑んでいたというわけね・・・。(第163話)
不利なテーマ食材であったものの、それでも早々に作る品を決め、調理に取り掛かる久我。
そんな中華料理人ならではの久我の柔軟なセンスを褒める司。
「十傑から外れたのはやっぱり勿体なかったなぁ」
何言ってんだか。久我達が十傑から外されることに同意していたくせに。
久我も険しい顔で言います。
「他人の事なんて何とも思ってないくせに!!」
これは一体どういう事かというと・・・
回想にて。
去年、司と勝負した結果惨敗を喫した久我は抜け殻と化していました。
これは第131話で語られていた過去エピソードの後日談ですね。
ここで思いがけず、驚きの事実が判明。
なんと、司は二年生の秋の時点で既に十傑第一席の座に就いていたという・・・!!
これは凄い。
・・・・・・・・・・ふむ。
ということは・・・。
一色先輩の言葉で元気を取り戻し、リベンジを申し込むべく司の所へ赴く久我。
叡山ら同級生ズも一緒に。
・・・仲良いね。(^^)
とそこへ、同級生から久我との勝負の件で声を掛けられた司。
ですが・・・
「くが・・・? ・・・誰だっけそれ」
こ れ は ひ ど い。
自分から勝負に立候補しておきながら、相手の名前を忘れるって何事?
まったく・・・
一体いつからこんな風になっちゃったんでしょう?
少なくとも単行本第21巻収録の番外編(『別腹!#6』)では、確かな情熱を感じられたというのに。
講師に執拗に味見を頼んだりと、他者の意見も積極的に聞こうとする子だったというのに。
司の言葉に固まる久我達。
司にとって、久我との勝負はもう何の印象にも残っておらず、単に「四川料理の子」という認識でしかなかったのでした。
皿の事しか頭にないと言っても・・・、これは大問題でしょう・・・人として。
久我が司へのリベンジにこだわる理由。
それはただ単に汚名返上だけではなく、己の存在を司に証明させるためでした。
・・・熱いですね。
炎の調理動作と相まって、久我の情熱がひしひしと伝わります。
それと。
個人的に気になった事が二つほどあったり。
久我が出てきたというのに、やっぱりここでも中華研の部員達が久我を応援する姿は描かれないんですね★
はあ・・・。アウェイ演出ももうウンザリなんですけど・・・。
そして。
回想時に出てきた司の同級生が言っていた、ある言葉。
久我家の「長男坊」?
ってことは久我って、ひょっとして弟(もしくは姉妹)がいたりとか?
さて・・・そんな久我と司の勝負の一方で。
竜胆先輩が取り出した食材は・・・なんとワニ!!
・・・かわいいv(※栗うさぎは爬虫類も好きです)
小林竜胆 VS 女木島冬輔
両者の勝負も始まろうとしていました。
こうして語られることとなった、久我の司との因縁。
竜胆先輩もラストに大きなインパクトを与えてきましたが、彼女については次回の感想で述べることにします。
料理を通して自分の存在を証明させてやる、という久我の熱い心意気。
葉山との再戦時の創真と相通じるものがありますね。
う~ん、本当に久我が助っ人に宛がわれたのは適任だったんだなあ~。
口喧しいわ物凄い挑発的だわ軽薄な態度だわでトラブルメーカーなイメージが強烈だったものの、創真と葉山のリベンジ戦あたりから良い所もどんどん見えてきた久我。
そしてまた一つ、今回を通して彼の凄い所が分かりました。
これまで勝利街道まっしぐらな人生を歩んできたならば尚の事、敗北という挫折のショックは相当のものだった筈。
しかもその上、相手から全く気に留められていなかったという二重の仕打ち。
プライドが高い温室育ちの者ほど、その挫折から逃げる、もしくは偽ってしまうと思うんですよね。
なのに久我は立ち上がり、正面から向き合ってきたという。
そんな情熱や真っ直ぐさは大したものだと思います。本当に。
そんな闘争心という“熱”をもって闘っている久我に対し、改めて突きつけられた司の“冷め様”。
創真を己の「懐刀」に望んだ時(第162話)も愕然とさせられましたが・・・
本当に、司は「料理」の事しか見ていないんですね。
なんていうか司って基本的態度は柔和で気弱で優しそうに見えるのに、本質的な部分で残酷というか、無情というか。
料理関係において他者と関わる事があっても、相手の「心」は見ていない。
注目するのは相手の「力」。
そして、それが己の料理の向上に役立つかどうか。
それのみ。
腹黒キャラというのはお馴染みですけど、司は腹白キャラとでも言えばいいのでしょうか。
純粋すぎて。ひたむきすぎて。
逆に残酷。逆に無情。
「黒さ」を得意とする附田先生のキャラ造形にしては、かなり類を見ないキャラクターなのでは。
「白の残酷さ」においてはえりなやアリスがそれを体現していましたが、彼女らの場合は「幼さ」という人間味がそれを大いにカバーしていたんですよね。
それが無いだけで、これほど印象が違ってくるとは・・・。
これはやはり・・・薊の影響によるものなのでしょうかねえ・・・。
今回にて、高2の時点で十傑第一席に就いていたことが明かされた司。
ということは
この時点で既に司の“目標”は到達されてしまっていたわけです。
番外編で描かれていた、司の目標。
それは誰よりも洗練された皿を創りだすことと、十傑第一席になることでした。
目標を達成したということは、同時に、その先の“標”を見失ってしまったということ。
司もかつての四宮のように停滞してしまい、何処に進めばいいのか分からなくなってしまったのでは。
そんな司の前に現れ、司の新たな道標になってしまったのが薊だったのでは。
これは単行本感想の時に述べようと、温存していた考えだったのですが・・・。
竜胆先輩が創真を意識したキャラクターであるのに対し、司はえりなを意識したキャラクターだと思うんですよね。
もし。
えりなが感銘を受けた料理人が城一郎ではなく、薊であったならば、司にかなり似たタイプの料理人になっていたのではないか、と。
かつてのえりなの酷さを「氷」に例えるならば、司は「無」。
十傑との初対面時(第118話)の私の第一印象はあながち間違っていなかったのかも。
どうやら、寧々先輩の時もそうでしたが、セントラル側は自分の料理だけを見ていて“人”を見ていないという姿勢が窺えます。
ですがこれは、「良い料理人になるには自分の全てを捧げたいと思える人に出会う事」「出会いが無ければ料理人は前に進めない」という、作中最大の指針である城一郎の言葉と相反する姿勢です。
何故なら、城一郎のこれらの言葉は“人”の事を見ている言葉なのですから。
そして。
創真も。一色先輩も。そして今回の久我も。
現在までの反逆者連合軍の戦いに一貫して描かれているのは、皆が“人”を見てくれているという事なんですよね。
創真は料理を食べてくれる相手を、一色先輩は仲間達を、久我は闘っている相手の事を、しっかり見ているという。
こうした共通の姿勢を貫き通してくれることは、応援する身としてもとても好ましいものがあります。
きっと反逆者連合は、この「人を見る」姿勢で残るセントラル勢とも闘っていってくれることでしょう。
・・・さて、最後に、久我と司が『お茶』というテーマで何を作ろうとしているか考えてみます。
お茶という「嗜好品」がお題になるのは初めてですね。
個人的には結構興味深い食材です。
なにせ、お茶という物はその発酵度合いによって日本でお馴染みの緑茶、中国に浸透している中国茶、そして西洋に欠かせない紅茶と、多種に分岐する食材ですから。
なので久我は中国茶、司は紅茶と、各々の得意ジャンルに合った種類の茶葉を用いてくるのではないでしょうか。
中華では、お茶を使った料理は「茶菜」というそうで。
調べてみたところ、どうやら久我は『烏龍茶滷肉(豚肉のウーロン茶煮)』を作るつもりなのでは?
一方の司は何を作ろうとしているか全然分かりませんが・・・、まあでも今や緑茶を用いたフランス料理なんてのも珍しくありませんし、司なら緑茶を用いる可能性も充分あり得るかも。
・・・。
・・・。
・・・。
ま、まさか緑茶・中国茶・紅茶全てを用いた料理なんていうトンデモナイ品作ってきたりしやしないよね???