あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』第163話感想

2016-04-23 23:30:00 | 食戟のソーマ

 週刊少年ジャンプ2016年20号掲載
 表紙&巻頭カラー 
 第163話 【頂を目指す者】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 待ってました。
 久し振りの表紙&巻頭カラー♪

 今回の表紙はライト調かな?それともシリアス調かな?と、ワクワクしながら買いに行きました。
 結果はというと・・・

 なんとまあ。
 予想だにしていなかった毛筆調☆
 これは渋い。
 そして佐伯先生のイラストとしては初めて目にする描写法です。
 最近のパソコンは凄いんですね~。こんなタッチのイラストも描けるんだなんて。(佐伯先生はデジタル漫画家)



 そして前回は司からの勝負を創真が受けるところまでで終わったため、今回の巻頭カラー&扉絵は多分そんな二人が描かれるだろうと思ってはいました。

 思ってはいたのですが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 素晴らしいイラストです。本当に。

 ただ・・・。

 超個人的な意見なのですが。



 附田&佐伯先生に「先を越されてしまった」感が物凄い。



 実はこのイラスト・・・。
 私がずっと前から抱いていた「あるイメージ」に驚くほどドンピシャなんですよ。

 ドンピシャすぎて、逆に後悔しました。

 何故なら、「そのイメージ」を基に“あるもの”を創りたいと以前から思っていたものでして。
 本来なら今年の春にその“あるもの”を創り上げる予定だったのですが・・・諸事情により、着手出来なかったんです。
 なので、もしそれを計画通り完成できていたら、逆に附田&佐伯先生に「やられた!!」と思わせられたかもしれないんですよね。
 あ~あ・・・私のバカ。
 やっぱり今年の春は全ての意味で絶好のチャンスだったんだなあ~・・・。

 ま。
 前向きに考えましょう。
 それだけ私がこの作品に対して抱いているイメージは附田&佐伯先生の構想と一致しているということですよね♪(←前向きを通り越して思い上がり)



 そんな反省だけではあんまりなので、内容の方の感想も。
 時間の経過の象徴として桜と紅葉が描かれているわけですが、ちゃんと紅葉が次第に色付いているのが見事の一言。
 附田&佐伯先生のこういう細やかな仕事ぶりが本当に好きです。
 マジで芸術の秋・・・もとい芸術の域。

 扉絵もシンプルさが逆に美麗さを引き立てていますね。
 ああ・・・美しい・・・(恍惚)。
 そしてここでも、何気に良い仕事をなさってくださっている佐伯先生。
 創真は桜を、司は紅葉を、それぞれ漂わせている二人ですが・・・。
 見開きの両サイドの模様も、創真サイド(右側)は桜、司サイド(左側)は紅葉になってるんですよね。
 これには軽く感動。

 やっぱり勿体無いなあ・・・と思わざるを得ません。
 こんなにも綺麗に色付いているイラストが、単行本では白黒になってしまうんだなんて。
 う~ん、やっぱり出して欲しいな・・・画集。



 そんな中ふと思った。

 創真ってツンツン頭だよね。

 見事な赤髪だよね。


なんか紅葉に似てるよね。
(核爆ドッカーン)

 
 







 さて、バカ発言をかましたところで本編の感想へといきましょう。

 いきなり創真のどアップに軽くビビった(笑)。
 前回ラストは司がなかなかの威圧感を放ってましたが、今回は創真がまた違った形で威圧感放ってます。
 ヘラヘラ飄々が標準仕様な創真がこれほどの面持ちで相手に詰め寄るのは非常に珍しいですね。
 それだけこの勝負に賭けられた「十傑第一席の座」への思いが半端ないという事です。
 軽い気持ちで賭けられたり、後から「冗談でした☆」とはぐらかされて済むようなものではありませんから。

 そんな創真の気迫に司はタジタジ(苦笑)。
 矢継ぎ早に話を進めようとする創真さん。
 ちょっと久我のキャラ被っちゃってますよ?

 もはや完全に勝負に乗り気な創真ですが、自分が負けた場合の対価となる「セントラルへの加入」には、「イヤ!」とキッパリ☆
 「キライ」と断言したアリスに負けず劣らず、やっぱり創真もゴーイングマイウェイなお方です。
 そんなキミが大好きです。

 ちょっと矛盾しちゃってる創真に困ってしまい、勝負をやめようか?と言う司。
 弱気な態度に誤魔化されそうになりますが、彼も彼で対価を譲歩するつもりは無いようです。
 まあでも、全力で勝負する姿勢でいてくれたのは確かな格を見せてくれていましたね。
 相手が誰であろうが全力で立ち向かう。
 それが勝負の際の相手への礼儀ですから。

 そして創真も勝負を受けます。
 やってみなければ分からない。
 ごもっとも!!
 それが創真のモットーですものね!!(><)

 そもそも創真の言う通り、第一席との一騎打ちなんて機会、そうそう叶うものではありません。
 創真にとって、誰にも介入されないこの機会は絶好のチャンスでしょう。
 まあでも、後ろのギャラリーにはしっかり気付いている模様ですが(笑)。



 そして勝負のテーマは司からの提案で「鹿肉」。
 料理ジャンルは創真からの提案で「フレンチ」に決定。
 かくして、いざ勝負が始まります。

 先に調理に入ったのは司。
 使用部位は背肉。
 それを素早く捌いていってますが・・・。
 切り出したのは「背ロース」という部分ですね。
 解説が入っていなくてもきちんと描写されているあたり、本当に料理漫画としての質の高さが感じられます。
 「背ロース」は一般的にいうと「フィレ」に当たる部位で、鹿肉の中でも格別の柔らかさを誇るそうです。

 それをゆっくりと加熱していく司。
 楠の低温調理と似たような感じでしょうか。低温でじっくり火を入れていくことによって、肉の柔らかさを損なわないようにしている模様。
 ちなみに
鹿肉は脂が少ないため、油との親和性が高いとのこと。
 それを踏まえて見ても、司の料理は「鹿本来の持ち味」を最大限に引き出す調理をしていることが分かります。
 叡山、楠と、セントラル側の料理人はこれまでシンプル系の品ばかりを出していますし、司も割とシンプルなロースト系の品を出してきそうですね。


 そんな司の調理を観察しながら、さらりと「arroser[アロゼ]」という専門用語を用いている創真。
 大丈夫。これは第112話にてちゃんと勉強済みです。(d(‐ ‐))

 食材をどこまでも慈しみ、最高の状態へと高めていく。
 
そんな司の料理の匂いと見た目だけで・・・
 新戸はおはだけ★
 葉山にもはだけられていたし、どうやらこの子は匂いに弱い模様です(苦笑)。
 それを新戸は「くらってしまう」と表現。
 あら懐かしい☆
 それはこの作品のプロトタイプである『読切版 食戟のソーマ』でえりなが用いていた表現ですね。単行本第1巻収録)
 この言い回し、とても上手だと思います。
 確かに「くらう→喰らう」という表現は「食べる」という意味だけでなく「(攻撃などを)身に受ける」という意味もありますから。
 この作品に出会い、附田先生の言い回しを見て気付いたことですが、“味”や“食べる”ことに関連する言葉ってかなり多いんですよね。
 そういう「言い表し方」もまた、この作品の隠れた面白さです。



 ここで唐突に、創真は司に問い掛けます。
 セントラルは結局何をしたいのかと。

 いい質問です創真。
 やっぱりこの子の着眼点は鋭い。

 その問いに対して司が明かしたセントラルの目的、それは・・・

 

 

 

 

 

 

日本中の“不出来な料理店”を潰すことでした。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 ・・・多分、私だけでしょうね。

 

 



 今回の話を読んで、涙が出たのは。

 

 


 今の私なら、分かります。創真の気持ちが。

 

 

 約二ヶ月前、一人の家族を失いました。
 その人が住んでいた家は、今は空き家です。
 でも。
 私はその家を、これからも訪れ、ずっと守っていくつもりです。
 その家には、その人との思い出が染み込んでいますから。
 その場所は、家族みんなが集まれる場所ですから。










 創真の“根幹”に関わる戦いになってしまいました。

 これは絶対に負けられない。
 負けるわけにはいかない。

 創真に勝ってほしい。



 前回までは司の身勝手さに嫌悪を抱きつつも、仮に創真が負けてセントラルに入れられたとしても創真の事だから逆にセントラルを内部から揺るがしていくかもしれない、それはそれで面白いかもしれない・・・、と思える余裕がありました。

 でも。

 セントラルの目的が、「自分の大切なもの」を脅かすものであることを創真は知ってしまいました。
 この勝負は、もはや創真一人だけの問題では済まなくなってしまいました。
 これで、もし負けてしまった場合・・・。



 私が最も危惧している、「創真の最大の危うさ」が露呈されてしまう可能性が非常に高くなってしまうことに。



 「あの時」は、極星陣の仲間達が意図せずに創真を立て直してくれましたが・・・。
 今回は・・・果たしてどうなってしまうのでしょう・・・。





 そして明らかになったセントラルの・・・薊の狂った野望。
 以前から予想はついていました。
 薊の独善的で排他的な考えは、遠月学園内だけでなく国内にも、果ては海外にも及ぶ規模になってしまうであろうと。
 やっぱりね。
 当たりです。
 
 第136話の時の過去最高の怒りを、改めて抱かされましたよ。

 分かってんのか?
 その店一つ一つに、どれだけの人間模様が凝縮されているのかを。
 どれだけの喜びや葛藤、苦悩や努力の末に、その店が、その場所が存在しているのかを。
 単なる「食事を提供する場所」なんかじゃない。
 店というものは料理人とって、己の人生が具現化されたものなんですよ。大切な居場所なんですよ。
 それらを一方的な価値観で不要と決めつけ、殲滅させようとしているなんて・・・!!



 ・・・そして、司も。

 「仕方ない」

 そんな一言で済ませないで。



 司は「悪人」ではないと思っています。
 ただひたすら純粋に、「自分の料理」を突き進んでいるだけ。
 問題は価値観の相違。
 それだけなんです。

 司は本当に素材を慈しみ、丁重に扱ってくれる料理人です。
 その姿勢は立派だと、素直に思います。
 けど。
 “素材”は尊重すれども、“人”は尊重しないんですね。

 創真も素材を大切にしてくれる子です。
 地獄の合宿終了日に、卵を無駄にしてしまった事を生産者の方に詫びた時は本当に感心させられました。(第34話)
 だけど・・・それ以上に。
 創真は料理を食べてくれる相手の笑顔を大切に想ってくれている子なんですよ。


 薊政権に司が賛同している理由は、やはり「素材主義」という自分の信念からでしょうね。
 多分司は、良い食材が技術の無い者によって、その価値を充分に発揮されることなく食卓に上げられてしまうのが不服なのではないのでしょうか。
 “食材”を心から大切に思い、敬っている司。
 だからこそ、無下に扱われるのが許せない。
 司のそんな考えが、食材の素晴らしさを最大限に発揮させる「洗練」をモットーにしている薊政権と一致したのではないかと思います。

 ・・・もしそうならば。
 私は司に教えてやりたいです。
 薊は娘(えりな)に、料理を捨てさせることを叩きこんだことを。






 ・・・さて。
 そんな薊政権の、そして司の考えを知った創真は果たしてどんな料理を作ることにしたのでしょうか?

 今回のテーマ食材である「鹿肉」は、創真だけでなく私達一般読者にとってもこれまでで一番馴染みの薄い食材です。
 ですが、調べてみたところ鹿肉というものは他の食材の影響を強く受け、食味が全く変化するとのこと。
 そのことから自由な料理が可能だそうです。
 これには「へえ~~~!」と感心。
 創真には不利な食材とばかり思っていましたが、捉えようによっては創真の持ち味が充分に発揮出来そうな食材のようですね。

 一体創真が選び取った部位は何処なのでしょう?司の「背肉」に比べて随分小ぶりな物を手に取っていましたが・・・。
 司は背中という全く動かさない部分だから・・・、逆に一番動く部位である「もも肉」でしょうかね?

 とりあえず個人的な要望として今回の創真の料理に期待するのは、「大衆食堂出身の創真だからこそ創り出せた料理」であることです。
 極星寮を守るための食戟では、極星寮にいたからこそ生み出せた料理でその価値を証明してみせた創真。
 だから、今度は。



 今回の件で、創真は叡山との勝負の時と同じく、非常に重要な想いを抱くことになったわけです。
 大切なものを守りたいという想いを。
 その想いがどうか、創真の力になってくれますように・・・!!
 


 



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