色即是空 ~ 行く川の流れは絶えずして ~

北の大地での生活

All is vanity
We llives in endless journey

<21Sep2006>

2006-09-21 | 昆虫

キアゲハ Papilio machaon hippocrates C.et R.FELDER アゲハチョウ科(2日西別岳)
アゲハとともに極めて日本に広く分布するが生息地は異にし
キアゲハは山地や北部寒冷地に多く10月に到るまで見られます
内地とは反対にこの辺ではアゲハを見た事はほとんどありません
亜種名はギリシアの科学者ヒポクラテスの名に因んでいます

最近は平地でシロチョウ科のエゾシロチョウが飛んでいるのをまだまだ見かけますし
時折ジャノメチョウ科のものやタテハチョウ科のウラギンヒョウモンなども見かけます
しかしアゲハチョウ科のものはほとんど姿を見せなくなりました
春、真っ先に美しい姿を見せるタテハチョウ科のエルタテハや
金属的な翅の青い光沢が美しいミヤマカラスアゲハは見ていると夢中になるのですが
秋も深まり、そろそろ寒くなって来たのでその生涯を閉じる頃なのでしょう

越冬するチョウはエゾシロチョウなど耐凍性に優れたものがあり
モンシロチョウなども耐凍性が高く-20度でも生きる事ができます
美しい黄色のチョウのキアゲハは春と夏に成虫が羽化して
夏のチョウが産んだ卵から育った幼虫が秋になると蛹となり
体内に耐凍性の高いグリセリンを多量に蓄えて休眠します
その間はグリコーゲンからグリセリンへの変換という特別な代謝が行われ
それによって耐凍性が高まります
休眠蛹は-22度まで凍らず、万が一体が凍ってしまっても細胞内凍結は起こらず
グリセリンなどの耐凍性物質により-30度以下の温度まで耐える事ができます
おかげで春にはまた美しい姿を私たちは目にする事ができるのです

ダケカンバなど植物の耐寒戦略にも驚くものがありますが
(関連:2004年4月27http://www12.plala.or.jp/alpinestars/framepage2.html)
生物に秘められた不思議な力は生き抜くために獲得した当然の能力とも言えて
人の感覚で世界は周ってはいないのだなあと、ここかしこで感心します

今朝の最低気温5度、昨日の最高気温25度