不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Pentecoste

2013-06-05 02:11:49 | アート・文化
キリスト教では、キリスト生誕、キリスト復活と並んで
最も重要な出来事の一つであるペンテコステ(聖霊降臨)は
キリスト復活から50日後に祝う
エルサレム教会創設の日でもあります。

エジプトに暮らすようになっていたユダヤ人たちが
モーゼをリーダーとして約束の地へ向かう「出エジプト」のとき、
神のお告げとおり、戸口に印のない、
つまり災いを知らされていないユダヤ以外の人々の家では
人間も家畜も問わず、すべての長子の命が奪われました。
神から戸口に印を付けるようにと知らされていたユダヤ人の家だけが
この災いから逃れたため、「過ぎ越し」といわれる出来事です。
過ぎ越しの日から7週目にその年の小麦の初収穫を祝う
「7週の祭り」というものがユダヤの習慣にはありました。
また紀元70年にエルサレムがローマ軍によって滅ぼされて以降は
出エジプトの49日後(7週目)に
シナイ山でモーゼが神と契約を交わしたことを記念して
「神との契約によって生きる民」の律法授与の日として
大切にされている日でもあります。

イエスキリストが復活&昇天する時に
「近いうちに精霊がくる」と告げてから50日後、
(キリスト昇天からは10日後ともいわれています)
ちょうどユダヤ教の7週の祭りで
聖母マリアを中心にキリストの12使徒
(裏切りのユダの代わりにマティアが既に参加)
や従った人々が集まって
祈りを捧げていたところに、
キリストのお告げとおり聖霊が降りてきたといわれます。
復活して歩き回っていたキリストが昇天して
その遺体が見当たらないことで
突然姿を消したナザレのキリストを捜す当局の捜査や
尋問から逃れるために
使徒たちの集まった家の扉はきつく閉ざされていました。
突然雷鳴のような爆音が響き、
閉ざされているはずの家の中に風が吹き荒れます。
すると、その場にいた人々は聖霊に満たされ、
それぞれが突然、聴くものそれぞれの母国語で話し始め、
これを受けて、多くの人がその場で洗礼を受けたと伝えられています。
聖霊の力を借りて、
キリストの死と復活の意味、罪の悔い改め、
そしてキリストこそが救世主であるという布教を行ったことで
イエスキリストを救い主だと信じる人々が増え
小さな集まりができたということで
これをもって「教会誕生」とするので、
ペンテコステ(聖霊降臨)はキリスト教にとって重要な行事となったのです。

絵画作品の中では
天空から聖霊のシンボルである白いハトが光を伴って降りてきて
赤い舌のような炎が聖母や使徒の上に描かれます。
おそらく最も知られているのは
マドリッドのプラド美術館に収蔵されている
エル・グレコ(El Greco)の作品でしょう。
個人的には彼の画法が好きではないのですが。
パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂
(Cappella degli Scrovegni)のジョットのフレスコ画の中では
ゴシック様式の建物風の閉ざされた空間に
12使徒のみが描かれ、聖母マリアは描かれていません。
聖霊も白いハトは描かれず、赤い光線として表現されています。
左から二人目がピエトロで、
「教会の始まり」を観るものに訴えかける構図になっています。
Giotto_scrovegni_pentecost





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