不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Chiesa di S.Felicita'

2004-10-22 13:43:25 | 日記・エッセイ・コラム
私は基本的にやっぱりルネッサンス美術が好き。
だからポントルモあたりになると
どうも苦手意識も出てきます。
マニエリズム。
あの不自然な色使いやら
プロポーションの崩れが気になって仕方ないのです。

ポンテヴェッキオを渡ってピッティ宮殿に向かう途中
左手にある小さな教会が
Chiesa di S.Felicita'(サンタ・フェリチタ教会)。
教会入ってすぐ右手のカッポーニ家礼拝堂に
有名なポントルモ(Pontormo)の
「キリスト降架(Deposizione)」があります。
immagine17.jpg
この作品の右端にうつろな瞳の男性が描かれていますが、
これが作者ポントルモの自画像。

immagine18.jpg
同じく礼拝堂内にある
「受胎告知(Annunciazione)」もポントルモ作。
こちらのほうが私は好き。

この教会は
メディチ家がヴァザーリに依頼して作り上げた
ヴァザーリの回廊(Corridoio vasariano)」の
一部に組み込まれているのでも有名。
メディチ家の人々が一般の目に触れることなく、
この教会の上段に設けられた席で
祈りをささげることができるように設計されています。
immagine21.jpg
ヴァザーリの回廊側から見るとこんな感じ。
昔はもちろん回廊側から出入りができるように
小さな扉がつけられていたのですが、
現在は警備上の問題ですっかり塗りこめられてしまい
回廊側からのアクセスは不可能になっています。
かといって教会側からも一般人は
見上げるだけしかできませんけどね。

ちょうどポントルモの作品の前あたりに小さな机を出して
おばあさんがお土産物やガイドブックを売っています。
2年前に亡くなった旦那さんが
当時教会の管理人だったのだそうで
そのままおばあさんはその仕事を引き継いでいるのだそう。
「もう50年以上もこの作品を毎日見続けているわよ」
というおばあさん、ちょっと鼻高々って感じでかわいらしい。
末永くお元気で。


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