不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

San Giovanni Battista di Leonardo

2009-12-15 14:11:47 | アート・文化

パリのルーブル美術館所蔵の
レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo Da Vinci)の
洗礼者ヨハネ(San Giovanni Battista)は
69×57の小ぶりの作品。
同じくレオナルド作モナリザとも
比較されることが多い作品ですが、
同様のちょっと薄気味悪いとも受け取れる
神秘的な笑みを浮かべています。
レオナルドが生み出し完成させたとされる
ぼかし技法(Sfumatura)で
背景部分はヴェールのかかったような表現になっていて
その中から人物像が浮き上がるような
不思議な仕上がりになっています。

San_giovanni_battista_leonardo

レオナルド晩年の作品で、
一説では最後の作品ともいわれています。
彼がまだフィレンツェ滞在中の1505年に
ジョヴァン・ベンチ(Giovanni Benci)が
依頼した作品とされています。
Benciはそれよりも前(1474-1478年)に
自分の妻の肖像画もレオナルドに依頼しています。
こちらの肖像画は
現在ワシントンのナショナル・ギャラリー所蔵となっています。
依頼を受けて製作を始めたものの、
1510年ころにはフィレンツェを去りミラノへ向かい、
更に1513年から3年間はローマ滞在、
そしてそのままフランスへ旅立ちます。
その間レオナルドはこの作品もずっと持ち歩き続け
加筆していったといわれています。
この点もモナリザの経緯によく似ています。

レオナルドが1519年にフランスで他界すると
フランスまで同行していた弟子の
ジャン・ジャコモ・カプロッティ(Gian Giacomo Caprotti)、
通称サライーノ(Salaino)が
レオナルドの遺品を受け継ぎますが、
彼も1524年に銃弾事故で早逝し、
その後はこの作品も転売を重ね
最終的にフランス革命時に
ルーブル美術館に落ち着くことになります。
ちなみにサライーノはこの作品に影響を受け
同じテーマでもっと明るい作品を描き残しており
現在ミラノのアンブロジアーナ絵画館に所蔵されています。

レオナルドのこの作品は
1939年に一度ミラノで展示されていますが、
今回70年ぶりに再びミラノで展示となっています。
しかも無料公開の太っ腹。
クリスマス時期にミラノを訪れるのなら
是非足を運んでみてください。

Leonardo a Milano
会場:Palazzo Marino
会期:2009年12月27日まで
入場料:無料


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ルーブルでみたはずなのに記憶なし。 (albero4)
2009-12-15 14:30:30
ルーブルでみたはずなのに記憶なし。
なので、いつも写真で見ている気がします。
となると、ぜんぜん背景の確認ができないんです。
ただ塗りつぶしてあるだけに見えるでしょ。
27日までに時間見つけてミラノまで行けるかな・・・。
返信する
あれれ、これってワシントンのナショナル・ギャラ... (あきこ)
2009-12-16 03:44:14
あれれ、これってワシントンのナショナル・ギャラリー所蔵なの?
ルーブルじゃないの?
しかも、年末までミラノ???

イタリアを後にしてパリに行くのは、
この絵を見るのがメインの目的だったんだけどー。
ショック大!!!
見逃しちゃ困ると思って、ルーブルのHPを見たんだけど、
細かいことが書いてなくて、
えぇい大丈夫だろう!と思って決めたのにぃ(号泣)
返信する
>あきちゃん (albero4)
2009-12-16 10:31:37
>あきちゃん
レオナルドのこの作品はルーブル所蔵だよ。
ワシントンにあるのは同じ依頼者の妻の肖像画のほう。

この洗礼者ヨハネは12月27日までミラノなので、
1月にはパリに戻るでしょ、大丈夫だよ、きっと。
返信する
あぁ、なるほど! (あきこ)
2009-12-18 03:05:02
あぁ、なるほど!
妻の方が遥かアメリカなんだね。

戻ってるかなぁ、戻ってるといいな~。
返信する

コメントを投稿