不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'Eolico a Galla

2011-08-09 23:20:00 | アート・文化

イタリアの造船業は中国や韓国のそれに押されて
停滞気味だといわれて久しいです。
そこを活性化するために色々対策が練られており
その一つとして浮上してきているのが海洋風力発電の開発。
造船業界の復活と再生可能代替エネルギーの開発を
一挙に解決できる案としてひそかに注目されています。

もちろんイタリア国内でも
既に風力発電はあちこちで導入されていますが、
そのほとんどは陸地、とりわけ山岳地帯に建設され
周辺の景観を損なうと不評を買ったり
騒音問題などで地域住民と揉めたりしています。

北部ヨーロッパなどでは
騒音問題、景観問題などを解決するために
海岸線からできるだけ離れた場所に
風力発電所を建設しています。
これによって雑多な障害は減り、
海からの継続的で強力な風力を
大いに利用することができるようになっています。
北部ヨーロッパの海は比較的浅く
こうした大掛かりな発電所を建設するのにも適していますが、
イタリアの周辺で風力を効率的に集められるのは
サルデーニャやシチリアの周辺になりますが、
あいにくその海域は
水深が深い(水深40メートル以上)ため
北部ヨーロッパと同じような発電所の建設は
難しいといわれています。

シチリアやサルデーニャの周囲の特に風の強い海域に
碇をつけた浮遊型の風力発電機を浮かべることによって
海岸線からは離れているために景観も乱さずに
風力を最大限に利用しエネルギーをつくることができるのです。
この試作モデルは
既にオランダやノルウェーの企業が生産しています。

海洋に設置することから
陸上の発電所よりも
物理的に大規模なモノの建設も可能になり
発電量も大幅に増加が見込めるといわれています。
海洋風力発電が本格化すれば
10年でイタリア国内の電力の10%をカバーできるようになり、
20000人の新規雇用もできるとの試算も出ています。

このモデルを生産&開発するに当たり
イタリアがもつ伝統的な造船業の技術は
他国に引けを取らないといわれており、
今後のイタリアの産業の一つとして
確立される可能性も高いそうです。
そして海に囲まれたうえに
原発問題に直面している日本をはじめ
世界各国への輸出産業としても大いに期待のできるものです。

国家としてきちんと
この新しい産業支援
及びエネルギー対策に取り組んでいくことが
まず一歩ですが、それが実現すれば
ここからイタリアは変われるかもしれませんね。


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2011-08-09 19:01:37 | Tweet Log