5月も半ばを過ぎて
ようやくイタリアらしい晴天が広がった週末。
土曜日は視察も兼ねてVinci村へ。
フィレンツェから車で約40分のところにある、
本気で田舎の小さな村。
この村が有名なのはもちろん
レオナルド・ダ・ヴィンチを輩出したから。
それ以外に何もなさそうな、
本当にのどかで、村人みんな顔見知りっぽい
私好みの村です。
その村のさらに先にAnchianoという集落があって
そこにレオナルドの生まれた家といわれる
質素な田舎屋敷があります。
実はここを訪れるのは初めてではなく
15年前に来ているのですが
まったく記憶にございませんでした。
というかかなり記憶違いをしていたことに気づいたのです。
15年前に訪れたときの写真を見ると
あぁ、なんとなく同じ場所なのですが、
相当脚色して記憶していたみたいです。
この丘の上の小さな集落で生まれ
この牧歌的で壮大なトスカーナの丘陵地帯を眺めながら
ボーっと幼少時代を過ごしたら
やっぱりいろんなことに思いを馳せる自由と時間があって
すごい天才に育つのかもしれない。
実際にこうして見渡すと
レオナルドが完成させたSfumatura画法って
「この景色見たままじゃん!」ってことがわかります。
本当に遠くの山は青白く見えるし、
ガスがかかったような感じに映るのです。
これは誰が見てもそう見えるけれど、
それを絵画の画面上に
忠実に再現したのがレオナルドだったわけですね。
15年前には駐車場なんかあったのかどうかも覚えていないけど
今はきちんと駐車場も整備されて
そこから生家に向かうわずか200メートルくらいの道のりも
なんだか幸せな気分でいっぱいになる不思議な空間。
畑に入ってはいけません。
といわれてもどこからが畑なのかもわからず。
ま、いいか。
午後の日差しを受けた、こざっぱりしたレオナルドの生家。
実際には確証できるような文献は見つかってないけれど
多分ここでしょうって感じらしい。
一応石碑もついている。
でもこの周辺今だってほとんど他に家なんかないのですよ。
なぜわざわざこんなところに家建てたんだろう、
こんなところで何してたんだろうと思っちゃう。
きれいに手入れはされてますが、
公開されているのは2部屋だけ。
あとは放置されてます。
昼休みもとらずに開けているなんて優秀です。
まぁこんな田舎まではるばる来て
昼休みだから3時間閉めますとかいわれると
怒りそうですけど、観光客。
カマド跡にさりげなく取り付けられた郵便ポスト。
赤色が主張しすぎな感じですけど。
じゃぁ、ここから絵葉書送れるんだ!!
と思ったら大間違い。
レオナルドの生家では絵葉書も切手も売ってません。
ここから投函したい方は前もって準備すべし!
すごいな、誰のためにあるんだろうこの郵便ポスト・・・。
午後の日差しが美しいコントラストを作ってます。
こういう光の加減を見ながら育ってたら
絵画的才能も芽生えそうです。
濃い緑と、オリーブの銀色、
そして突き抜けるほどの青空にくっきりの白い雲。
自然が作り出す芸術作品。
心が洗われる!!
私はやっぱり田舎で暮らすのが性にあっていそうだな。
駐車場までの帰り道、
シロツメクサを眺めながら
日本人はなぜレオナルド・ダ・ヴィンチが好きなのだろう
とふと考え込んでしまった。