1930年代に様々な経緯の末、
ムッソリーニにも支持され
建設が始まった現在のフィレンツェ中央駅。
Giovanni Micheluzziを中心とした
当時を代表する建築家グループによるもので
駅としての機能をより重視した
イタリア合理主義の建築物の一つとして
高く評価されました。
数年前のローマ・テルミニ駅、
今年完成したミラノ中央駅に続き
イタリア国鉄(Trenitalia)の
Grandi Stazioniプロジェクトで
再評価&近現代化の改築が予定されています。
2009年秋からの本格的な工事開始のために
最終的な下見と再検討が行われたようです。
実際には2007年には工事着工の予定でしたが、
2006年12月に工事を落札し
全面的に工事を請け負うことになっていた
フィレンツェのBTPという会社が
その会社の一部を別会社に売却したことから
実際上の工事の責任問題などで
不明な部分が出てきたため
国鉄側と訴訟となり、
その決着がようやくついたようです。
最終的にはBTPの一部を買収した
ローマやミラノに拠点をもつ
Claudio Salini-Grandi lavoriが
フィレンツェ、ボローニャ、バリ、パレルモ
それぞれのリスタイリング計画の権利を取得。
2年間の遅れを取り戻すために
かなり厳しい引渡し期限が設定され、
36ヶ月で完成の予定。
1300万ユーロの投資といわれており、
その大半はこの1935年完成の
歴史的建築物の基本的な保存修復に当てられます。
本来の姿にできるだけ損害を与えないような形で
機能性を高めた近代化を進めるという工事は
実に難しい問題を抱えてはいるのですが、
なんだか使いにくいミラノは別としても
ローマテルミニ駅は動線や機能上では
かなり改善されており、
フィレンツェ中央駅も同じように機能的で
且つ有効な空間利用ができるような形で
計画が立てられています。
そのひとつが階段とエスカレーターの再設置。
どこに設置するかでかなりもめたようですが、
最終的には現在の5番線と8番線の前あたりから
地下に通じるようになるようです。
これによってこれまで不利用で、
一般にはその存在も知られていない地下のスペースも
商業スペースとして有効活用されることになります。
フィレンツェ駅の地下から地下通路は
現在もいくつかのテナントが入っていますが、
ローマやミラノの駅とは比べ物にならないくらい貧相です。
このテナント入りするメーカーや会社の再選別などは
9月以降の持ち越し議題となっていますが、
中央駅周辺のトラム整備と合わせて
駅自体の活性化のためにも新しい形で
地下商店街が展開されると
観光客にも市民にも
受け入れられるのではないかと思います。
完成予定は2011年内、遅くとも2012年の初めには
新しいフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅が
お目見えとなりそうです。
工事期間中の駅の機能は保証され、
列車や駅利用者への不便は
最小限に抑えられる見込みですので
工事中もフィレンツェの陸の玄関口のひとつとして
これまで通り利用可能です。