ピアノと海と花との生活 Ⅰ

海まで歩いて1分、大好きなピアノと花との毎日

サッカーとピアノと日本

2010-06-26 | しあわせの素

昨日は日本中が興奮してた。

こんなに、すっきりと1つのものに向かって、エネルギーを爆発させたのって、

久しぶりじゃないだろうか。

ありがとう!岡田ジャパン!サムライブルー!

本田君が、次々にいい言葉をはなっていた。

最高の準備をする。

どっきりした。ピアノと一緒じゃないか。

ピアノは、1日弾かないと自分にわかり、

      2日弾かないと家族にわかり、

      3日弾かないと聴衆にわかる、といわれている。

サッカーの神様もいるけど、音楽の神様もいるのだ(笑)

コンサート前、どんな規模のコンサートでも、しっかり準備する。

私はリサイタル前は1日10時間ほど弾く。

’これくらいでいいや’と適当に準備した本番は、

見事に、神様に見放されてしまう。本番の舞台上で、お客様の前で、やってしまう。

痛いほど私は経験した。

’本番は奇跡の連続’

音楽は、その瞬間に聴衆に流れるもので、その一期一会の一瞬のために、

私たち演奏家は、膨大な時間を費やし、

いい音を求めて、孤軍奮闘するのだ。

本田君が、昨日の試合の後「自分ではもっと喜べるかと思ったら、予想したほど喜べなかった」と

いっていた。

すごくよくわかる。

もっともっと先を見ているのだ。

私は、小さいとき、譜読みもあっという間に出来た子だったので、

エチュード、バッハ、ソナチネからソナタ、ものすごいスピードで進んでいった。

ショパンも小さい頃にかなり弾いていた。

でも、音が硬かった。先生は、私のショパンのワルツを聴き、

「淑子ちゃん、早く大人になればいいのにね」とため息をつかれていた。

その硬い音は、そのあと何十年も私を苦しめ続けた。

どんな曲でもすぐ弾けるのに、音が硬いのだ。

脱力・・・を30歳過ぎてから、必死に学ぼうとした。

でも、形に凝り固まった私の腕も指も、脱力するのに、時間がかかり、

感覚がわからないまま、霧の中をさまよっているような時期がずっと続いた。

そのうち、演奏活動も再開した。

舞台での感覚は、私の眠っていたものを思い出すのに、スピードをくれた。

少しずつ、何かがはがれおちていって、

ピアノを人前で弾く喜びは、取り戻した。

でも、音が、わからない。

もがいてもがいて苦しんだ。

去年のラ・フォル・ジュルネのオーディションを受け、

これかなあというかすかな希望の線が見えてきた。

次々コンクールを突破し、信じられない事に、初めて受けたコンクールで、

全国大会までいってしまった。

審査員の有名な先生方が、次々に

『とても素晴らしい演奏、迫力もあり、魅力もあり、ロマン派を感じさせる弾き方』

『最近なかなか聴くことの出来ない演奏で価値がある』

『レベルの高い演奏』『その情熱に感動した』・・・

信じられないお言葉が、講評用紙に踊っていた。

これは奇跡だ。高校以来、ショパンは人前で弾いた事がなかった。

ラ・フォル・ジュルネの本番に向け、超短期間で、苦しみ抜き、

本番に初めて自分の納得できる演奏が出来た。

やっとやっと自分の求めていた音が、でてきた。

でもまだ先がある。

本田君が過去のインタビューでいっていた。《敵は自分》

そのとおりだ。

長い長い事務の仕事が、昨日の晩、ようやく一息つけた。

今回は長かった。やっと今日から自分のピアノが弾ける。

スタートがかなり遅れてしまったが、ここから集中しよう。

この間、TVで、「バブリーな親と、現代のシビアな子供」という特集をやっていて、

ちょうど私達より、ちょっと上の50歳くらいの親が、バブリーな世代、

そのこども20歳の子供は、現実的でとにかくお金を使わない、と映像が流れた。

確かに、昔の男の子雑誌『ポパイ』なんかで、

「クリスマスは、彼女を喜ばせるために5万かけるのは当然だ!」なんて記事は、

あのころいつも出てたし、彼女にティファニーの3連リングを贈るため、

男の子は命をかけて、ティフアニーに殺到したのだ。

こんな時代を、今の20代の子たちは知らない。

バブルに踊って、日本が永遠に金持ちでいられると錯覚し、

それがもろとも崩壊し、その行く末をとことん知らされ、

日本の上も下も、両方体験している私達の世代。

でも昨日の岡田ジャパンの快進撃は、

そんな日本の最盛期を知らない若い世代も、私たちより上の世代も、

皆、同様に興奮し、感情を爆発させ、エネルギーを集中させた。

こんなことが、今の日本には必要なのだ。

あのサムライブルーのメンバーが、からだを張って、

その境地をみせてくれた。

コンサートも一緒だ。お客様の普段の小さないらいらを、吹き飛ばすような演奏をすると、

皆、興奮し、喜び、身体全体でのりまくって、それはものすごいエネルギーになる。

最近、私が経験したコンサートは、

皆さんのパワーが、炸裂して、でも皆がひとつになって、興奮の極致に達するような感覚を味わった。

サッカーは、似ている。

何もかもかなぐりすてて、夢を実現するのを、TVのそばで応援したいと思う。

けいすけ、大丈夫だよ、いけるよもっと

目標にむかって、ばく進してね

 

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