{一番右のおばさまは美術館のガイドさん。私は無料で入館できる(といっても任意で1ドル払った)木曜の18時以降に行き、無料のガイドツアーに参加して作品を見て回りました。}
1990年に私が出版社を退社してニューヨークに留学を決めた時、
所属していた雑誌の編集長から「なんであんな汚い町がいいのよ」と
言われたことがあった。
その汚い町、ニューヨークが今や奇麗な観光都市となったのだ。
昔だったら「やっぱりパリよ」て言われたら、
「そうですね、やっぱりパリですよね」と気弱に同意してしまったかもしれないけど。
今のニューヨークだったら、
パリになどそうやすやすと人気都市の座を譲らないかもしれない。
黒人を始め人々が優しくなっていたし、割高になった分、(それはちょっと悲しいけど)
安全面がかなり改善されていた。「東京の新宿よりは安全」と言う人もいるくらい。
アート面では有名なギャラリー街チェルシーのものより、新しくどんどん誕生しているローワーイーストのギャラリーの方が面白いし、マンハッタンから橋を渡ったブルックリンの方がマンハッタン自体より新しい息吹を感じられて、昔から馴染みのニューヨークが顔をのぞかせていた。
それでも、マンハッタンのアッパーイーストのオーソドックで美しい邸宅が立ち並ぶ様はセレブ感がハンバなくて、歩くだけでも気持ちいいエリアだ。
しかも、昨今、日本と同じくファッションのみならず、ヨーロッパからのショコラティエやベーカリーなども進出しているので、ヨーロッパ的な洗練されたセンスに磨きがかかっていた。
もはや、無敵なニューヨーク! 新旧の文化、どちらも感じとることができるマンハッタンは感性をとことんゆさぶってくる。
アートという側面はその代表格だ。
その美術館の中で、今回初めて訪れたアート&デザイン美術館は「まじ、すごいじゃん」なのだ。
上の写真の衣装、シームレスでスワロフスキーが付いている。第二のスキンのように自由自在に伸縮するので、実際、レディ ガガとかマドンナが好んで着用しているのだとか。この衣装は日本人アーティスト・TAMAE HIROKAWAのもの。でも、それがなんでわざわざ飾られてるの?て思うでしょ。
そうなのです。この衣装は3Dプリンターの技術を駆使してスキャナーで採寸して作ったものなのだそうで。もはや人間の手で、巻き尺を持って採寸などという手間はいらなくなってきているらしいのだ。(パタンナーは仕事がなくなるぞ~!)
そして、科学技術の進歩とデザインとのせめぎ合い、その最先端がこの美術館に行けば見て感じとることが出来る。その衝撃は言葉ではうまく伝えられないけど。
もはや、人間の思考を形にできる時代がもうすぐそこに来ているらしい。(ガイドのおばさんがそう言っておりました)
いかにもニューヨーク的な進取の気質ではないか?
さて、もうひとつ驚きの作品(ハイテク技術)を!
↑これは写真ではなく、3Dプリンタを使って作製したパテストリー。
なんと天文学的な数の色調を表現できるので、このように写真のごとく精密なものが出来上がるのだそう。