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産業遺産保存国際委員会(TICCIH)会長マイルズ・オグルソープ博士から関係各位に向けて、「高輪築堤」の現地保存に関する声明文が

2021年06月13日 | 高輪築堤保存問題

産業遺産保存国際委員会(TICCIH)会長マイルズ・オグルソープ博士から関係各位に向けて、「高輪築堤」の現地保存に関する声明文が発せられました。>日本イコモス国内委員会<のホームページから転載します。

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2021年6月2日
日本国 内閣総理大臣 菅義偉殿
国土交通大臣 赤羽一嘉殿
文部科学大臣 萩生田光一殿
文化庁長官 都倉俊一様
東京都知事 小池百合子様 
東京都議会議長 石川良一様
東京都教育長 藤田裕司様
港区長 武井雅明様
港区議会議長 三島豊司様
港区教育長 浦田幹男様
東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長 深澤祐二様

 関係者各位
 本日、私は産業遺産に関する主要な国際組織である国際産業遺産保存委員会 (TICCIH)の会長として、皆様に書簡をお送りいたします。TICCIHは、ユネスコのアドバイザーである国際記念物遺跡会議(ICOMOS)や世界遺産委員会での活動をサポートするなど、様々な活動を行っております。TICCIHの専門知識、アドバイス、広範なグローバルネットワークは、長年にわたり、世界で最も重要な歴史的工学構造物に及んでおり、最近では、「富岡製糸場」や「明治日本の産業革命遺産」、さらには「佐渡島」の世界遺産推薦を積極的にサポートして参りました。
 このような活動を通じ、TICCIHは日本で行われている産業遺産の促進と保存のための素晴らしい活動と、日本の産業史、特に鉄道の採用と発展の世界史にとっての広範な意義の両方を深く認識しております。実際、私が拠点とするスコットランドでは、1888年にフォース橋(最新の世界遺産)の建設工事にたずさわった後に帰日し、日本の鉄道、特にその電化に大きな役割を果たした技術者、渡辺嘉一【注】とその業績を特によく存じております。【注】渡邊嘉一
 そのような中、港区の「品川開発プロジヱクト」で1872年当時の鉄道築堤の一 部が発見されたというニュースに接し、私たちは興奮いたしました。TICCIHは日本イコモス国内委員会(ICOMOSJapan)や日本考古学協会(JAA)がこの鉄道築堤につき、「日本の鉄道開発を体現している」と評価していることに完全に同意するとともに、築堤が、1.3kmもの長さにわたり当時のままの状態で発見 されたことは驚異的なことだと認識いたしております。
 現在、JR東日本は、私たちの前に再び現れたこの築堤のごく一部を保存し、あるいは移設することを計画しておられるとうかがっております。この築堤はJR 東日本の発祥の地であり、またすでに国の史跡に指定されております旧新橋駅に直接つながるものであるだけに、私たちはJR東日本のこの判断と意向を非常に残念に思っております。私たちは、2015年、「明治日本の産業革命遺産」世界遺産登録の成功をもたらした明治日本の近代産業発展への評価を踏まえさらに増強すべく、築堤を高輪の新しい街並みの中核に統合し、新橋停車場と高輪築堤を近代化遺産として一体化する機会がここに出来したと理解しております。 私の個人的な話に及ぶことをお許しいただければ、私は普段から日本を訪れ、日本での鉄道遺産への注目、関心の高さを目の当たりにしております。このような体験を踏まえ、私は、真に野心的なものとなる高輪築堤を全面保存するプロジヱクトは、JR東日本が予想している以上に多くの支持と関心を集め、将来に向けて大きな遺産を生み出すことを信じます。そのような観点より、TICCIH は、ICOMOSJapanとJAAが展開する「高輪築堤」の保存運動に心より賛同し、協力を惜しまないものであります。

 敬具
マイノレズ・オグルソープ博士 (Miles Oglethorpe) TICCIH会長

TICCHI (ティッキー)について
 国際産業遺産保存委員会(TICCIH: The international Committee for the Conservation of the Industrial Heritage)は、1970年代に欧州で設立された世界で唯一の産業遺産保存を目的とした民間の研究団体(NGO)です。
 現在、世界60力国に500人以上の会員がおり、頻繁に開かれる建築、土木、環境、機械、 鉄道、観光など専門分野別の分科会や、2・ 3年毎に全会員が集まる国際大会を通じて、情報交換、共同研究、現地調査など密接な国際交流を行っています。また、1980年代から国際記念物遺跡会議(イコモス)(ICOMOS : The international Council of Monuments and sites)を 通じて、ユネスコ(UNESCO)に産業遺産の世界遺産登録や保存活用に関する助言を行っています。
 特に近年は2012年にアジア地域、2018年には南米地域での国際大会の成功を経て、名実 ともに世界的規模のネットワークをもったNGOとして、グローバリズムの進展に合わせるように産業遺産の研究、保存そして普及に関する活動を地球規模で活発化させています。
 TICCHIの会員は、大学の研究者と学生、公立や民間団体の文化財関係者、美術館、博物 館の学芸員、民間の建築家、観光事業者などです。このように様々な分野の人々が集い、相互の産業や歴史に関する知識を共有することで、地球規模で起きる様々な課題から産業遺産を守り活用する活動への理解を広げています。
 (TICCIHの会員募集ポスターより意訳)

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(了)

 

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