Akatsuki庵

日々と向き合って

茶の湯釜とその周辺-裏千家歴代の好み物を中心に

2018年02月02日 06時08分33秒 | 美術館・博物館etc.
★茶道資料館 サイト
 『茶の湯釜とその周辺-裏千家歴代の好み物
 ※3月4日(日)まで

今回の京阪行きのメイン展覧会?かな。強いて言えば。

年に2回、必ず大西清右衛門美術館へ通っているから気づきにくいけど、
茶の湯釜にスポットを当てた展覧会というのはあまり多くない。

ましてや、裏千家に伝わる茶の湯釜が鑑賞できる機会なんてめったにないから、
「これは行きたい!」と思った。

万代屋釜(与次郎作)はその大きさと羽落ちの大胆さに圧倒された。
利休好みの阿弥陀堂釜は口回りが欠けていて、時代が感じられ、
少庵好みの雲龍釜は古いんだけど、環付は兎耳。←ココが少庵好み。
シンプルに見える摘みは切子ということで、実は凝っていた。

西村久兵衛の茶釜が2つ。
小ぶりの尾垂四方口釜(宗旦好)。四方口釜の下に尾垂釜をくっつけた形が面白い。(環付は鉈前)
もう一つも四方釜(宗旦好)。側面と上面の切り替えのシャープさとカーブがカッコイイ。

初代の宮崎寒雉の茶釜も5点出ていた。
寒雉だけあって、どれも面白かった。仙叟好だから、仙叟の発想がユニークだったのかなぁ。
姥口で前面に柏の葉が鋳彫られた柏釜。
いびつな形がおもしろい矢筈釜。
住吉釜は花入みたいな形。どうやったら、あのデザインが思いつけるのか。
かと思えば、ごっつい塩屋釜。(炉釜だと思う。上面についた環付は舟屋)

初代寒地といえば焼飯釜が思い浮かぶけど、展示なし。

常叟好の一味禅文字入裏鏊釜。(名越浄味もしくは昌乗)

一燈好の鏡釜もすごかった。一燈が母・秋から伝えられた鏡を釜蓋に見立てて造らせた茶釜。
だから口が広い!
これでお点前したら、特に濃茶で蓋開ける時にやけどしそう~。
環付が左右違っていて、左が獅子頭、右は遠山だった。

一燈好の蒲団釜が羽落ちが少し上側にあるように思った。

大西家の7代・浄玄作の切合釜に中川家の7代・浄益壺々紋風炉。←風炉のぷっくり具合が雅。灰形が難しそう。

その隣には宝鏡寺の台子一式。
認得斎好の夕顔台子に夕顔釜←形は唐犬釜。風炉は当然のことながら大きい。作者の説明はないけど、たぶん浄益。

玄々斎好の常盤釜と常盤風炉は2010年秋と2011年の2月の玄々斎で観た。

昨年、藁灰を経験した頭で見ると、なんかすごいプレッシャーだなぁ。

円能斎は2010年9月の円能斎展でも鑑賞したので省略。

無限斎好は備前焼の陶風炉。糸巻形風炉に感動~

周辺道具については感想は省略。
釜と釜の間にゆかりの歴代の消息も特別展示してあったけど、これも感想省略。

今回は鑑賞した時に釜の形をスケッチしたので、わりと記憶に残ったが、
「あ、そうだ」と思い立って、数年前に購入しておいた裏千家今日庵歴代の全集を引っ張り出した。

全部じゃないけど、写真と解説が載っていて復習になった。

裏千家今日庵歴代〈第9巻〉不見斎石翁
淡交社


裏千家の歴代も5代目(不休斎常叟)、9代目(不見斎石斎)、10代目(認得斎柏叟)はまだよくわからないから
今回はその“穴”を理解する上で鑑賞しておいてよかったなと思う。

2階に上がって、堺市の埋蔵文化財。
炉壇がすごかった。一尺三寸(39cm)四方だって。深さは50cmはあるんじゃなかろうか。
丸ごと出土するなんてスゴイ。400年前も構造は同じというのもスゴイ。

併設展の十二支集合!も永楽さんの最近12年間(平成18年~29年)の初釜で使用した風炉と香合が展示されていて、
それがとても楽しかった。

春は虫明展。

★茶道資料館バックナンバーリスト
2017年10月 『仏教儀礼と茶 ―仙薬からはじまった―』
2017年1月 新春展『描かれた茶の湯』
2016年10月 秋季特別展『私の一碗 -六十五碗それぞれの想い-』 
2016年5月 春季展『文様ことはじめ―茶道具の文様と意匠―』
2015年5月 春季展『錦絵にみる茶の湯 -今日庵文庫所蔵 明治期の作品を中心に』(前期) ※感想まとめず 
2015年3月 新春展『茶箱を楽しむ』 併設展『季節の取り合わせ』3期 
2015年2月 新春展『茶箱を楽しむ』2期 併設展『季節の取り合わせ』 
2014年11月 開館35周年秋季特別展『茶の湯の名碗』
2014年7月 夏季展『茶道入門 抹茶を知ろう、茶道具を知ろう』
2014年5月 春季特別展『光悦・等伯ゆかりの寺 本法寺の名宝』
2014年2月 新春展『新春を寿ぐ―酒の器―』 併設展『新春の茶道具』
2013年11月 秋季特別展『佐賀県立九州陶磁文化館名品展『華やぎの九州陶磁』
2013年9月 特別展『少庵四百年忌記念 千少庵』
2013年4月 春季特別展『永青文庫所蔵 香道具展』 併設展『入門 茶の湯と香道具』
2013年1月 新春展『大松コレクション名品選 -近代絵画と茶道具-』
2012年11月 秋季特別展「-茶会記に見る茶道具-姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」(後期)
2012年10月 秋季特別展「-茶会記に見る茶道具-姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」
2012年8月 「京三条せともの屋町」
2012年5月 「四季の画賛と待合のしつらえ」
2012年2月 新春展「新春の取り合わせ」
2011年10月 肥後松井家の名品「武家と茶」
2011年8月「鵬雲斎千玄室の茶」(後期)
2011年5月「鵬雲斎千玄室の茶」(前期)
2011年2月「近代茶道の先駆者 玄々斎と又日庵 」
2010年11月「東京国立博物館蔵 広田不孤斎コレクション 茶の湯の名品」
2010年9月「千家茶道の継承 裏千家十三代 圓能斎鉄中宗室」
2010年5月「茶書にみる茶の湯の歴史」
2009年11月「わび茶の誕生-珠光から利休まで-」
2009年3月「春に笑む
2008年10月「鎌倉時代の喫茶文化」
2008年8月「涼を求めて 染付磁器の魅力」
2007年11月「千宗旦」

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