Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

茶道具の文様と意匠

2016年05月09日 05時26分03秒 | 美術館・博物館etc.
★茶道資料館 サイト
 春季展『文様ことはじめ―茶道具の文様と意匠―』 ※6月26日(日)まで
    前期 4月22日(金)~ 5月22日(日)
    後期 5月25日(水)~ 6月26日(日)

 茶道資料館とは諸々のタイミングが悪く、また興味をそそる出し物がなく丸1年ぶりの訪問。

 久しぶりに訪れてみて、改めて「ここは『資料館』なんだ」と感じた。
 もちろん、他の『美術館』と同じように、大名物や中興名物を並べて“お宝系”の展覧会を企画することもある。

 だから、こちらもついついそれを期待する気持ちもある。

 しかし、本来の役割は「裏千家の茶道資料館として、門人が茶道を勉強するための手助けとなる史料を提供する」もの~ ←私の解釈。

と、言い聞かせてみる。

 前置きが長くなったが、なぜこういうことを書いたのかと言えば、
 正直、展示室で思わず「ベタだな~」と呟いてしまったほど、展示物が地味に見えたからである。

 時代としては古くない。(江戸時代から明治・大正のものが多く、最近のものも)
 掛物も歴代というか、14代無限斎のものが圧倒的に多く、珍しさがない。

 味方によっては、お稽古道具を並べたに過ぎない~

etc. 見学している最中は不満たらたらだった。

が、見終わって、他の美術館も回って、改めて思い返してみて「あ、役割が違うんだった」と反省した。

確かに、目新しさがなく“ありきたり”だからこそ、それを意識することなく目にできている自分を感じた。

これから茶道を学ぶ方々や、茶道を知らない方、日本文化を理解しようと訪れた外国人観光客には
よいアプローチなのかも、、、と思った。

さて、展示の中から印象に残ったものを幾つか。

季節柄、入ってすぐは端午の節句。

円能斎好の鯉桶香合は大正12年の作。
15代めとなる孫の誕生を祝って作らせたもの。(←裏千家の歴史を感じるわー)

第一展示室の中央は江里佐代子さんの五節香合。

截金(きりかね)の細かい細工が美しく「人日」「上巳」「端午」「七夕」「重陽」を表現。
ロンドンの大英博物館での展覧会を成功させた後に寄ったパリで急逝されてから、もう9年経つのねぇ。

 ※ちなみに、次回(5月13日)のNHK BSプレミアム『美の壺』は截金を取り上げます。

まぁ、茶道具と五節句の意匠も取り入られることを知ったのは茶道文化検定の勉強をしたからなんだけど

そして、梅文様。
当代の楽吉左衛門作の梅文の赤楽茶碗と黒楽茶碗。フツーの楽茶碗を拝見できるなんて、三千家ならでは。

確かに、利休梅があるから梅は茶道具とは切っても切れないなぁ

いずれも、平成2年(1990年)の作。

これはわかる。
利休400遠忌が盛大に行われた時に納められたお道具なのだろう。

私が茶道を習い始めたのが丁度、元号が平成に変わった時で
それからすぐに利休ブームが到来したから、当時の400遠忌の盛り上がりは記憶に残っている。

今から思うとバブル最盛期とも重なったから、より派手に華やかになったのかなー。

あ、裏千家10代認得斎の横物「梅酔」。 
(8代一燈と11代玄々斎の間の家元はどうしても印象が薄いので、単純に「珍しいなー」と思って見てた)

利休さんと梅って、亡くなったのが梅が咲いている時期だったから?

展示に戻る。

梅に続いて、春草、秋草、桐地に菊文といった草花の文様。

色絵秋草絵の釣瓶水指がよかった。四方で釣瓶の部分も陶器で表現。くるんと回ったところが面白い。(昭和、久世九宝作)

四君子(梅、竹、蘭、菊)文様。

おめでたい模様は宝珠、鶴亀、松竹梅。

柳、雲錦、瓢。

富士山、伊勢物語。 無限斎の富士画賛「白雲去来」がよかった。

動物~。

2階の第二展示室。

(今日庵を中心とした裏千家の間取り図をジオラマ化したものがどーんと中央に移動していたのに驚いた。)

無限斎の龍画賛「飛躍」。龍の顔を正面から描いた構図がいい。

やはり無限斎の横物「一笑」。一の長さが超おもしろい。 ほしい

宗旦銀杏の枝?で作った茶杓。かなり無理な感じがした。

鵬雲斎大宗匠の在判の月日貝香合。
蓋はホタテ貝? ホタテ貝の漆を塗ったように見える。その貝に合わせて身を作ったのか。
身の側面の波模様の蒔絵がいい。

又隠(写)の床の間は無限斎の粽画賛。これもよかった。

 それにしても、無限斎の画賛多し!

14代は淡々斎と認識しているんだけど、やはり無限斎で認識した方がよいのかな?


★茶道資料館バックナンバーリスト
2015年5月 春季展『錦絵にみる茶の湯 -今日庵文庫所蔵 明治期の作品を中心に』(前期) ※感想まとめず 
2015年3月 新春展『茶箱を楽しむ』 併設展『季節の取り合わせ』3期 
2015年2月 新春展『茶箱を楽しむ』2期 併設展『季節の取り合わせ』 
2014年11月 開館35周年秋季特別展『茶の湯の名碗』
2014年7月 夏季展『茶道入門 抹茶を知ろう、茶道具を知ろう』
2014年5月 春季特別展『光悦・等伯ゆかりの寺 本法寺の名宝』
2014年2月 新春展『新春を寿ぐ―酒の器―』 併設展『新春の茶道具』
2013年11月 秋季特別展『佐賀県立九州陶磁文化館名品展『華やぎの九州陶磁』
2013年9月 特別展『少庵四百年忌記念 千少庵』
2013年4月 春季特別展『永青文庫所蔵 香道具展』 併設展『入門 茶の湯と香道具』
2013年1月 新春展『大松コレクション名品選 -近代絵画と茶道具-』
2012年11月 秋季特別展「-茶会記に見る茶道具-姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」(後期)
2012年10月 秋季特別展「-茶会記に見る茶道具-姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」
2012年8月 「京三条せともの屋町」
2012年5月 「四季の画賛と待合のしつらえ」
2012年2月 新春展「新春の取り合わせ」
2011年10月 肥後松井家の名品「武家と茶」
2011年8月「鵬雲斎千玄室の茶」(後期)
2011年5月「鵬雲斎千玄室の茶」(前期)
2011年2月「近代茶道の先駆者 玄々斎と又日庵 」
2010年11月「東京国立博物館蔵 広田不孤斎コレクション 茶の湯の名品」
2010年9月「千家茶道の継承 裏千家十三代 圓能斎鉄中宗室」
2010年5月「茶書にみる茶の湯の歴史」
2009年11月「わび茶の誕生-珠光から利休まで-」
2009年3月「春に笑む
2008年10月「鎌倉時代の喫茶文化」
2008年8月「涼を求めて 染付磁器の魅力」
2007年11月「千宗旦」

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