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中国外交のオプション 進展はないが、妥協もない

2017-04-12 16:24:00 | 政治


トランプ大統領と習近平主席は、約2時間にわたって、初日の米中首脳会談行った。その具体的中身は審らかになっていないが、19時頃から始まった
会食の冒頭で、習近平主席が、カメラに向かって述べた。

「中国には、『万丈高楼平地起』(万丈の高楼は、平らな地面に建つ)という言葉がある。私と大統領が一緒になって両国をリードし、中米関係の良好で情熱溢れた建設者となろうではないか。中米関係というビルの一階一階をきちんと建設し、より硬く、より高く、より美しくしていくのだ」

これに対し、トランプ大統領のコメントは、以下の通りだった。

「習主席と、元有名な歌手だった素敵な夫人を迎え、非常に光栄に思う。われわれはこれまで長時間にわたって議論してきたが、いまのところ進展はない。絶対的にない。だが、われわれはすでにフレンドシップを構築しており、それは今後とも発展させていきたい」

このトランプ大統領の発言は、中国中央テレビのニュースではカットされていた。ともあれトランプ大統領が、「絶対的にない」と強調し、不満を露呈させたということは、初日の会談で、習近平主席が一切、妥協していないということだ。

中国外交の手法を見ていると、特に今回のようにぶっつけ本番に近い場合、だいたい3通りのオプションを用意している。それらを仮にA、B、Cとすると、Aは軽い妥協でお茶を濁すもの。Bは中程度の妥協案で、中国も痛みは伴うが、まあ仕方なかろうというレベルのもの。そしてCは、いわゆる「底線」(ボトムライン)と呼ばれる、これ以上は絶対に妥協できないという最終ラインだ。

ところが習近平主席は、初日の首脳会談では、おそらくA案さえ提示していなかったのではないか。すなわち、相手の出方を窺っていたのだ。つまり、トランプ大統領がどこまで攻めてくるのかを見定めようということだ。

ともあれ、トランプ大統領はその後、深夜12時頃まで、シリア空爆に関する緊急会見や、事後処理に追われたのだった。

4月7日午前中、2回目の米中首脳会談が開かれた。新華社通信によれば、習近平主席はトランプ大統領に、次のように述べた。

「(1978年に)改革開放政策を始めて以降、中国は一貫して、平和的な発展の道を歩んできた。相手を負かしてこちらが勝とうなどという理念は持ち合わせていない。国力を強めて覇権を握ろうという道も歩んでいない。世界の新たな情勢を前に、中国とアメリカがタッグを組んでこそ、初めてダブルウィンの関係を築けるのだ。

中米両国の発展を見てほしい。中国は、いままさに、『二つの百年』(2021年の中国共産党100周年と2049年の建国100周年)と、『中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現』という目標を実現するために進んでいるところだ。アメリカもまた、歴史の十字路に差し掛かっていて、トランプ大統領は『メイク・アメリカ・グレート・アゲイン』に向かって努力しているところだ。中米両国は共に発展を望み、共に発展に有利な国際環境を必要としている。

国際情勢は複雑に錯綜しており、変革の重要な入口に差し掛かっている。アンチ・グローバリズムの暗流に巻き込まれていけば、不確実性が増していく。中国とアメリカは、世界の2大経済大国として、また共に国連の安全保障理事会のメンバーとして、世界中の問題に対応する責任を負っているのだ。両国の友好と提携を深化させることは、世界の人々の幸福にも結びつくのだ。

中国とアメリカは、BIT(二国間投資協定)の交渉を推進していこうではないか。それによって、双方の貿易と投資が、健全に発展していく。また、インフラ整備やエネルギーなどの分野でも、提携の道を探っていこうではないか。中米両国が、大きな提携のケーキを作り、重要な提携のリストを決めていけば、早期に収穫の時を迎えることができる。

中米両国は、世界の平和と安定、繁栄について、歴史的な責任を負っている。地域のホットな問題は、共同でうまく処理して解決しなければならない。国際犯罪などの全世界的なチャレンジに対する提携も深めて、拡散の防止に努めるべきだ。さらに、国連、G20、APECなどの国際機構での協調も強化していきたい。中米の提携が世界にもたらす意義は、大変奥深いものだ」

新華社通信の報道は、美辞麗句を並べているが、要は習近平主席は、「中国はアメリカにとって敵ではなくて味方であるから、共に提携していこう」ということを、切々と説いたのである。

現代ビジネス からの引用記事



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