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北朝鮮の核ミサイル問題を巡る駆け引き、中国側の本音は

2017-04-12 15:21:30 | 政治


米中首脳会談期間中に起こった米国によるシリア攻撃に関して、中国政府訪米団報道官の陸慷中国外交部報道局長は記者たちからの質問に対して次のように答えた。

「中米両国首脳が会談をしている最中この問題にも話が及んだ。習近平主席は中国側の化学兵器使用に反対するという一貫した立場を述べ、現在差し迫った任務は情勢の一層の悪化を防止し、シリア問題の政治的解決プロセスを何とかして守ることである」

その後の中国外交部報道官の記者会見でのコメントなどからも比較的明確に見て取れるが、中国のこの問題に関する立場は三つに集約されるといえる。

一つは、いかなる国家・組織・個人がいかなる目的によってであれ化学兵器を使用することに反対すること、二つに、問題は政治的に解決されるべきであること、言い換えれば、可能な限り軍事力の行使やそれによる解決を回避し、政治的駆け引きや外交的交渉によって情勢を緩和すべきだという主張だ。

最後に、問題解決には国際連合の枠組みとルールが活用されるべき、特に化学兵器使用過程に対する調査や検証作業のプロセスで国連が独自の役割を担うべきであるという立場である。

このように考えてみると、2番目と3番目の理由・動機によって、中国当局がトランプ政権のシリア攻撃を暗に牽制している現状を比較的容易にうかがい知ることができる。

どのような状況であっても、米国は軍事力の行使に慎重になるべきであり、国連の枠組みとルールを重んじるべきだと米国に忠告したかったのであろう。

そして、この米国のシリア攻撃に対する牽制からこれまた比較的容易に連想できるのが、北朝鮮の核ミサイル問題を巡る米中間の駆け引きである。

中国はトランプ政権に対して、(1)中国は一貫して朝鮮半島の非核化にコミットする立場にある、(2)問題解決は政治的解決によるべきである、(3)国際連合の枠組みとルールを通じた解決プロセスが遵守されるべきである、という3点を主張したいのだろう。

現状からすると、要するに北朝鮮への先制攻撃には慎重になるべきであり、対北朝鮮制裁プロセスも国連安保理で審議・採択した枠組みから出るべきではない、ということであろう。

習主席はトランプ大統領に対して、従来の立場に基づいて、米国が韓国に高高度追撃ミサイルシステム(THAAD)を配置することにも反対の意を示している。

米中両首脳は会談を通じて北朝鮮の核問題解決を巡って協力強化を謳ったものの、今後、朝鮮半島は以前にも増して米中の地政学的力量・戦略的意図が交錯する地帯へと化していきそうである。

週刊ダイヤモンドからの引用記事

 



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