強制収容すること自体は、その是非は別として適法だ。しかし、個々の北朝鮮難民自身には、責められるべき点がない。したがって、強制収容することは、人道的見地において国際社会から強く批判される可能性がある。
2つ目に「安全保障・治安」と「難民の人権保障」の双方について、バランス感を重視するケースを考えてみよう。
その場合、上陸の許可・不許可の判断前の手続段階で、暫定的に「事実上の上陸」だけを許可することになるだろう。これを仮上陸の許可という。仮上陸の許可は、有効な旅券がなくても可能である。
仮上陸の許可は、その条件として、住居や行動範囲を指定し、手続のために出頭すべき日時も指定するものの、原則としては身柄拘束しない。
ただし、仮上陸の条件に違反した場合のほか、日本政府が逃亡のおそれがあると判断した場合には、強制収容することができる。
何らかの具体的な条件違反がなくても、逃亡するおそれがあるかぎり、直ちにこの措置を取ることができるのがポイントである。
仮上陸の期間は、入管法で一定の期限が定められているわけでなく、上陸手続が最終的に完了するときまで、日本政府が必要に応じて、柔軟にこの期間を決められる。
つまり、仮上陸を許可している期間中に、韓国政府や中国政府との間で難民の受け入れ交渉を行い、受入れの目途がたった段階で、いったん上陸特別許可を出し、その後に受入れ国に送り出すといった手段を取ることもできる。
また、最終的な上陸の許可・不許可の判断の手続中に、危険人物であることなどが判明した場合には、退去命令を出すこともできるし、それに従わない場合には、身柄を拘束して強制送還することもできる。
東洋経済新聞社からの引用記事
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