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橋下徹"ソウルで実感した僕の安全保障論"

2017-05-24 12:18:43 | 政治


韓国大統領選挙とフランス大統領選挙を取材するために、4月下旬から5月のフランス大統領選挙投票日までソウル経由でパリに向かう日程を組んでいた。そうしているうちに、北朝鮮とアメリカの緊張状態が発生。

海外出張をするときはスタッフ2名が同行する。この2名の安全確保の件もあるので、うちの事務所でソウルに行ってもいいかどうか検討したんだ。僕の政治家時代に築いたネットワークをフル活用して情勢分析をした。そして「大丈夫だ」という結論を得た。

その情報の中身はここでは言えない。巷の自称インテリが言っているような話とは異なる。だいたいね、「アメリカは絶対に攻撃をしません」なんて言ってる自称インテリもたくさんいたけど、いい加減なもんだよ。

自分は朝鮮半島から離れた日本にいながら、「絶対に攻撃はしません」って。仮に自分の予測が外れてアメリカが攻撃に踏み切っても、日本にいる自分にはほとんど害が及ばないから結局は適当なコメントになるんだよね。

軍事衝突は発生しないという予測が当たれば「ほら、俺の(私の)言ったとおりだろ(でしょ)」と自慢して、逆に予測が外れて軍事衝突が発生しても「トランプ氏は予測不可能でした」というコメントで終わり。

本当に軍事衝突が発生したらそもそも、そんな自称インテリの予測の当たり外れの検証なんてしている場合ではなくなる。

僕は今は無責任なコメンテーターの一人だけど、実際に政治をやって権力を行使した経験があるから、常に権力者の視点で、権力者の思考を分析するコメントをするようにしている。

ポジション的に中途半端な関係者から聞いた話を披歴したり、適当な予測をすることに重きを置いていない。権力者ならどう判断するかを権力者の視点で説いていく。これが今の僕にできる役割かな、と思っている。

だから今回、自分を対象にある実験をしてみた。戦地になるかもしれないソウルに行くことのない立場での判断と、ソウルに行く立場・ソウルに身を置いた立場での判断の違いはどんなものだろうか?という実験。

ゆえに韓国大統領選挙の取材というよりも、この実験のために韓国行きを検討したんだ。そうしたら、やっぱり権力者自らが戦地に身を置くかどうかは、軍事的な判断に決定的な影響を与えるということが分かったね。

もし僕がソウルに行く予定がなければ、まあその辺の自称インテリと同じような情報をもってアメリカが攻撃するのかどうか判断しただろうね。当たれば「ほら、俺の言ったとおりだろ」と自慢する。

仮に外れれば「トランプ氏はやはり予想外でした」とペロッと舌を出すけど、そのときにはソウルは火の海になり、日本にもミサイルが撃ち込まれているかもしれず、僕の予測がどうだったのかなんていう話をしている場合じゃなくなる。

ところがね、自分が火の海になるかもしれないソウルに行くとなると、その情報収集・分析の必死さがまるで違った。これはほんといい経験だった。
だってアメリカの攻撃はないという予想が外れたら、自分やスタッフが死んじゃうんだから、そりゃ必死になるよ。

自分がソウルに行くかどうかを判断するのに、僕が「橋下×羽鳥の番組」(テレビ朝日系)やその他で聞いた自称インテリの意見を参考にすることはほとんどなかった。

だってその人たちは自分がソウルに行くわけじゃないから、どんな専門家の言葉でも単なる予想に過ぎない。自分の安全を判断するのに響く言葉はなかったね。

下 徹 前大阪市長からの引用記事
 


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