メディアを個別に見ていくと、最もネガティブなのはCNNとNBCだった(いずれもネガティブが93%)。続いて、CBS(ネガティブが91%)、ニューヨーク・タイムズ(同87%)、ワシントン・ポスト(83%)、ウォール・ストリート・ジャーナル(70%)、FOX(52%)と続いた。
つまり、最も反トランプ色が強いのは、テレビではCNNとNBC、新聞ではニューヨーク・タイムズであることが判明した。一方、日ごろから「保守系」とされるFOXテレビは、トランプ政権に対して最も同調的、あるいは中立とも言えることが明らかになった。
同調査は、トランプ政権の個別の政策についての報道がどの程度ネガティブか、もしくはポジティブだったかについても発表していた。その結果によると、7つのメディア全体で報道が最もネガティブだったのは移民政策(ネガティブが96%)についてだった。次いで、医療保険計画(同87%)、大統領選挙へのロシアの関与疑惑、国際貿易という順番だった。
逆にネガティブな報道が少なかったのは、トランプ政権の経済政策についてである。ネガティブな報道は54%、ポジティブは46%だった。トランプ政権になってから経済成長率や雇用、株価などがみな上昇していることの反映だとみられる
とくにメディアが肯定的に報道したのは、トランプ政権のシリアへのミサイル攻撃だった。シリア政府が化学兵器を使用したことへの制裁として、米国は単独でシリア空軍基地に巡航ミサイルを撃ち込んだ。この攻撃についてのニュースは、7つのメディア全体でネガティブが21%、ポジティブが79%ときわめて肯定的に伝えられたという。
同報告書は、こうした調査結果に基づき、以下のように総括していた。トランプ政権の評価はまだ決まっておらず、メディアのネガティブ報道がジャーナリズム本来の客観性や中立性からの逸脱と言えるかどうかは、現段階ではまだ確定できない。だが、メディアの本来の機能は、政権と野党との対立を中間に立って報じるべきだとする一般国民からの批判もある。メディアに対する不信は増えていると言ってよい。
トランプ大統領は主要メディアを「アメリカ国民の敵」と断じ、正面から敵対する構えをとっている。そのため、メディア側が従来の客観性や中立性を保つことは難しい。一方で、大統領選でトランプ氏に投票した層は、トランプ大統領を相変わらず支持し続けている。その層では、主要メディアへの敵視や不信がとくに強い。
主要メディアがトランプ大統領の発言の矛盾や無知を取り上げて報道することは不公正ではない。だが、100日間に実施した多数の新政策や政策変更がどんな効果や結果を生んだのかについて追跡報道をほとんどしていない点については、不公正とみなされるのは当然と言える。
同報告書は今後の展望として「トランプ対主要メディアの正面対決」が激しく続いていくことは確実だとしている。
JBpressからの引用記事
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