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読書の森

宮本輝『泥の河』

宮本輝が文壇に出るきっかけとなった『泥の河』、芥川賞を受賞した『蛍川』の陰に隠れた存在でした。

『蛍川』のラストシーン、夢の様に輝く蛍の大群に包まれた初恋が美しくて、私にとっては『泥の川』というネーミング自体ひどく陰湿な印象がありました。

今回、読み直してみるとハッとするものがあります。

大阪に長く居れば、中之島の辺りも回った事でしょう。大阪の中心部にあります。
大阪は八百八橋と言われる様に川が多く、その分以上に橋の多い所であります。
多分歴史が古い分、古くから橋を利用して往来する人が多かったのでしょう。

『泥の川』の舞台は上の地図にある「堂島川と土佐堀川が一つになり安治川と名を変えて大阪湾の一角に注ぎ込んでいく」(本文より)所です。
昭和30年代初め、川沿いの小さなうどん屋の子どもと水上生活者の母子との、淡いけれど心に残る交流を描いてます。

その頃は戦争の傷跡が各地で残っていて、母子の父は戦死し、淫売となって生活するしか術がなかった。
川の色も人々の暮らしも黄土色にくすんで貧しいのに、子どもの目には流れものの母と娘はこの上なく美しく見えた。
短くて切ない触れ合いが終わり、それぞれの家族は、知らない街へ流れていくのだった。

儚い出会いと別れの物語ですが、当時の大阪の下町(場末と言って良い)の風情がビビッドに出ていて寂しい印象ではないです。

今、何故かとても懐かしい印象があります。
東京と大阪では土地柄は全く違いますが、戦後間もない下町の人々の風情が伝わるからでしょう。
「そうだ、そこに暮らす皆が明日の暮らしも分からない不安の中を生きてた時代があったのだ」という印象ですね。

朝食に青汁と卵を食すと元気になる実感がします。あまり朝から食欲がわかず、あれこれ調理したくないけれど、これは簡単に出来ます。

お昼にロールキャベツ。何個か作り置きして冷凍しておいたものです。

「宮本輝の作品素敵だな。あんなの書いてみたいけど今どきの若い子に受けないかしら」などと夢想しても、スタミナ不足だと何もできません。
ただし、食欲を満たすと長いお昼寝を楽しん(?)でる日々です。
いつになったらまとまった原稿が出来るやら^_^


読んでいただき心から感謝します。 宜しければポツンと押して下さいませ❣️

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