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読書の森

世界の終わり 前編

その春、山田ルミ子は都内にある法律事務所のアルバイトに雇われた。
麗らかな光を受けて今日も資料整理で忙しかった。

その時、突如閃光が走り、次に恐ろしい爆発音が聞こえた。
あまりに物凄い音でルミ子の耳は一瞬何も聞こえなくなってしまった。
辺りが一面真っ暗で何も見えなくなった。
ルミ子は誰かに抱えられて、小部屋のような所に入った事を覚えている。

気がついた時、彼女は砂浜のような場所に横たわっていた。
波の響きが聞こえる。

「あゝ助かったんだ。
だけど、ここどこだろ?」
ルミ子はキョロキョロ辺りを見回した。
銀座2丁目にある法律事務所からどうしてこの場所まで来たのだろうか?
さらに彼女は身につけていた洋服がボロボロになっているの気づいた。
「私、相当大変な事故に出くわしたんだ!」
ルミ子はガクガク震え出した。

「気がついた?」
これもボロボロの服装で黒く汚れた顔の実友所長がルミ子の顔を覗きこんだ。
「あゝ所長ご無事でしたか。助けていただきありがとうございました。
でも一体どうなってしまったのですか。私たち」

疲れてきった顔の実友は、面倒くさそうだったが気を取り直して説明し出した。
「君はA国とB国が対立してたのは知ってるだろう。
問題がこじれにこじれていた時だった。
悩み過ぎて頭のネジが相当狂った男が一人いた。
悪い事にそいつが爆弾のスイッチを押す部屋のカードを入手してしまった。
相当強大な威力を持つやつをね」
「押してしまったんですか!?」
「そう言う事」
それが、あの爆発かとルミ子は納得した。
「連鎖反応は恐ろしい。核兵器を持つ国全部が報復攻撃を始めた。その情報は最早隠蔽されてわからない」

「で、どうして私たちは助かったのでしょうか?」
「僕の事務所で秘蔵しているタイムカプセルのお陰だ。
そこに入ると三次元の世界に移動出来る。
某発明家が実験的に作ったのを高額で買った」
「、、、」
「ところが、爆発力が凄い為空間も時間も歪み、俺らはカプセルから放り出されてこの砂浜に来たんだ」

あまりにも信じられない話にルミ子は再び気を失いそうになった。
「遅かれ早かれ、その内に物凄い量の放射能が降りかかってるんだ。俺たち地球人の最後ももうすぐだ。
その前に生きてる事を楽しもうぜ」
実友のおぞまい太い指ががルミ子の身体を這った。
気味悪さと絶望感にルミ子は高い声を上げた。

「あなたああ!」


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