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読書の森

『女たちの戦争』赤木春恵の場合

先日紹介した梯久美子の『昭和20年夏、女たちの戦争』は図書館で借りた本です。
もう一度読み返したくて、Amazon で古本を入手し読み返してみました。



今の私が心を打たれたのは、女優赤木春恵さんの手記です。

惜しくも他界された彼女はTVドラマの『渡る世間は鬼ばかりの意地悪なお姑さん役のイメージが強いけど、若い頃の印象は全然違います。

戦争中に娘盛りを迎えたお嬢様の彼女、演劇が好きで、当時珍しい自立した女性の道を選ぶ手段として(実はキライな人と結婚させられたくないから)女優養成所で学ぶ決心をします。
産めよ増やせよ(戦える日本国民を)当時の若い女性は周囲が決めた相手と見合い結婚のコースが常識だったのです(°▽°)。


女優の評価は当時非常に低い為、逆に「女優になりさえすればお嫁に行かなくてすむ」と思ったそうですから、かなり個性的な女性だったのですね。

そこで松竹京都撮影所に入社します。一生懸命に勉強して俳優の登録に合格しました。


晴れて女優となった赤木さん、松竹でかの李香蘭の主演映画『迎春花』に端役として出演してます。

戦時下の新人女優として軍隊の慰問団に加わった後、満州で劇団を設立した兄と新天地を求めて移住します。

昭和20年の事です。その頃の本土は映画館の営業停止、思想統制の為自由な映画作りも出来ない状況。
非常に意外な事に、満州に渡れば安全だと信じてる国民がかなりいたらしいです。
言わば疎開を兼ねて移住した訳です。

いかに当時の一般人が社会情勢を知らなかったかという事です。



下関から連絡船で当時の朝鮮の釜山に渡る丸4日の旅、そこから旧満州のハルビンに渡ります。
ハルビンはそれ以前帝政ロシアが鉄道を敷設した異国情緒豊かな国です。
日本ではお米のご飯も食べられないのに、当時美味しいケーキが喫茶店で食べられたそうです。

しかし、、、束の間の天国はロシアの参戦で終わりを告げます。
そこから、赤木さんたち日本人は難民!となり、地獄の苦しみを味わう事態となります。
手記はその辺を実にリアルに描いて息が詰まるものがあります。

赤木春恵さんの靭くて暖かい人柄がジンジンと伝わる内容で面白かったです。

ただし、今現在、現実の日本は北朝鮮のオドロオドロシイ通告(宇宙ロケットなんて余裕あると思えない)で動揺してます。
まさかあなたスパイ?なんて疑心暗鬼になる前に冷静に判断しないといけません。
とりあえずお昼ご飯をいただきましょう。



読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

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