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読書の森

第101回オール讀物新人賞発表

戦後しばらくは、流行作家になる事はかなり華やかなセレブへの道の様に思えました。
当時はネット文化の芽も無くて、活字に飢えた読書家が5万といて、売れっ子小説家が高額納税者番付に載るのは珍しい事ではありませんでした。

ところが、ご存知の様に活字文化の時代は遠く去っていって、一流出版社と言えども困難な経営を迫られています。

そんな時代を反映して今回よりオール讀物新人賞は全く様変わりしました。昨年も触れた話ですが、対象は歴史小説のみ選考委員も全て歴史小説家、応募方法はweb
フォームのみです。
歴史的な素養があってかつデジタルに堪能な作家志望の人、となるとかなり絞られてきますね。

先ず最初に応募原稿を読むのはオール讀物の編集者に決まっているから、読みにくい原稿を読むストレスや手間暇が大幅に削減される事を狙ったのでしょう。
これも時代の流れです。



さあ、最初の時代小説受賞作ってどんなだろう?
あの藤沢周平も取ったオール讀物新人賞です。かなり興味深かったので、久しぶりにオール讀物購入致しました。

かっての様に魅力ある職業とは言えませんが、小説家になるというのは、未だ未だ夢と期待が湧くものの様です。
とは言え、読書好きはオタクっぽい人と捉える若者が増えてガックリしますけど。



今回の受賞作、作者は元教師の方で56歳、年齢にふさわしい落ち着いた筆致、実に堅実。というより地味。時代検証は確かだし、ストーリーも無理がない。
明治初頭のジャーナリストを描いた達者な作品ですが、私としては破綻があってもドラマチックな展開が欲しかったです。

正直言ってその時代を正確に描く以上のド迫力が欲しかったです。
まあ、でも試んでから最初の作品だし、徐々に軌道に乗っていくのでしょうね。

大昔になってしまうけど、松本清張のデビュー作『西郷札』、あんなの期待します。自分が書けるか?と言ったらもう無理。
宮部みゆきさんが70迄頑張る💪と言ったのは至言です。70というのは体力知力気力のターニングポイントみたいです。

応募要項もこんな小さなものになって、しかもアプリが必要になっちゃった。今どきですね。


さて
「心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おき惑わせる 白菊の花」
という百人一首の歌があります。
平安時代の貴族が詠んだもの。

秋も深まり霜が降りる季節、白い霜に白い菊が紛れている様子を詠んだもの。
この様な風情を感じる自然も情趣も失せてしまった現代です。こんな情緒を再現したい。

もう一度、Time slip して、60代って事にして時代小説書いちゃいたいな、という気持ちもありますがね。
心の中だけで呟いてます。


読んでいただき心から感謝します。 宜しければポツンと押して下さいませ❣️

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