アイヌ民族関連報道クリップ

アイヌ民族・先住民族関連の報道クリップです。各記事の版権は発信元にあります。

■ 「白老アイヌ研究」刊行、明治~昭和の生活記す(室蘭民報)

2013-04-19 00:00:00 | イベント情報・書評
■ 「白老アイヌ研究」刊行、明治~昭和の生活記す
【2013年4月19日(金)朝刊】

 「白老楽しく・やさしいアイヌ語教室」(大須賀るえ子代表、5人)は、「白老アイヌの研究Ⅰ―宮本イカシマトク・妻サキを中心に」(B5判、45ページ)を刊行した。製作に中心的に携わった大須賀代表(72)=白老町緑丘=の祖父母・宮本夫妻の明治から大正、昭和にかけての生活ぶりを中心に記している。


 「自然から与えられるものを無駄にしないで頂く。生活全てにわたってアイヌ文化を実践していた」。こう語る大須賀さんは、明治期以来の苦難の時代をアイヌとして生き抜いてきた祖父母のことをいつか明らかにしたいと念願してきたという。巻頭には「この二人は白老のアイヌを語る上で欠くことのできない存在である…と私は思っている」と記した。

 1876年(明治9年)白老に生まれた宮本イカシマトク(和名・伊之助)は、大正期になってクマ猟に専念、毎年のようにイヨマンテリムセ(クマの霊送り)を行っていた。著書では猟の様子、山での儀式、右足指の凍傷、大須賀さんが実際に聞いた「激痛で呻(うめ)いていた祖父の声」、毛皮商人の買い付けなどが詳述されている。

 81年(明治14年)生まれの妻・宮本サキは1957年(昭和32年)に亡くなるまで「二十五、六頭の子熊を育てた」(著書)。子グマを育てるのは女の仕事で自分の寝床に入れて寝たこともあったという。

 著書では大須賀さんが祖母・サキと一緒にまき取りに行ったときのことを「五歳の小さな子供が背負える量はほんの僅(わず)かと思うが、それでも背負わせるというアイヌ文化を、貴重で有難い体験をさせてもらったと感謝している」と記している。

 写真は19枚。そのうちの1枚(1931年撮影)、クマのおりの前に並ぶ大須賀さんの曾祖母、祖母、伯母の写真について著書は「私はこの時生まれていないが、彼等の下端に並んでいる者(子孫)として非常に嬉しく私の宝物のような写真である」と記している。

 200部作製、非売品。16日には、白老町内の小中高校、図書館などへと16冊を町教委に寄贈したほか、道内の関係者・機関に配布した。
(富士雄志)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2013/04/19/20130419m_08.html


最新の画像もっと見る

コメントを投稿