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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

アート展示におけるモラル

2016年11月08日 | 【美術鑑賞・イベント】

最近、現代美術が日本でも受け入れられるようになり、主催者側のモラルや運営面での軽率さが見えてきました。

先般、僕の地元の人気のアートフェスティバル、あいちトリエンナーレでは、あるアーティストの展示で劣悪な環境による、鳥が逃げ出したり、死ぬという事態が起こり、イベントの趣旨に反した不祥事が発生しました。鳥の中には、生態系に影響を及ぼしたり、希少な鳥も含めれており、そのことにより報道も大きくなりました。

アートに携わるものとしては、事前に作家と協議したうえに最善の策は講じられたのではと疑問に思います。その後改善策は施されましたが、生き物を扱う場合には、専門家の意見を事前に聞くなどの方策が必要だと思いました。それは、人気の上にあぐらをかき、運営に対する油断が招いたものだと思います。今後の運営方法に大きな課題となった出来事でした。

そして、起こるべくして起こってしまった最悪の事故。皆さんも、ご存知の通神宮外苑で行われた男児死亡の火災事故。当初はLEDでの点灯が白熱灯を使用した事実に驚きました。

学生側の稚拙さとモラルの低下がもたらした最悪な結果となりました。この事件を知った時、疑問に思ったのは、展示物に子供が遊ぶ時間を制限できなかったのか疑問に思います。

ジャングルジムの中で、張り巡らされた木くずで遊ぶ。子供たちにとっては楽しい行為も昼間の時間帯であれば十分注意を払うことが出来ますが、夜になれば、それだけで危険があると思います。日没とともに展示の使用を終了すれば、最悪な事態は免れたと思います。

これは、主催者がイベントの全体像を把握していなかったと言われても仕方ないと思います。

現代アートは、表現の自由の点からも時に常識やモラルを逸脱するケースは、多々あります。それは、現代アートの持つ創造力からも必要なものですが、そこにも一定のルールは存在します。成熟した西欧諸国では、ルールを順守しながら表現の自由を十二分に伝える努力をしています。

生命の尊厳と過去の文化遺産への敬意など、人間として当たり前のモラルを持ち合わせていれば、このような悲惨な事故は起こらないと思います。

体験的な現代アートの展示では、安全面も含め管理面での専門家のサポートが必要です。彼らは、芸術家であっても、イベントのプロではないのですから。

 

 


DVD・蜜のあわれ

2016年11月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、室生犀星の金魚の姿を持つ少女と老作家の物語を映画した「蜜のあわれ」です。

 

金魚の少女に二階堂ふみ、老作家には大杉漣が扮し、大正から昭和にかけて活躍した文豪、室生犀星の作品を石井岳龍が監督。

物語は、金魚から人間の姿に変貌する少女、赤子と老作家との暮らしぶりが描かれているのですが、二階堂演じる金魚の赤子のコケティッシュな魅力と翻弄される老作家の姿がユーモラスに描かれていて、飽きの来ない作品です。

赤子の老作家への恋模様とエロチックな会話が実に楽しく、二階堂が持つ独特なエロスがピタリとはまってます。また、大杉漣の赤子に翻弄される老作家も適役で、二人が対峙する長セリフも見事です。

石井岳龍監督は、80年代に狂い咲きサンダーロードや爆裂都市BURST CITY、逆噴射家族などでロックとバイオレンス融合した作品で熱狂的な支持を得ていた石井聰亙。今回の作品は、円熟味を増し新たな境地を開いた感じがしました。


DVD・トリプル9 裏切りのコード

2016年11月06日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、凶悪犯罪都市で繰り広げられる驚愕のアクションサスペンス「トリプル9 裏切りのコード」です。

トリプル9とは、警官が撃たれたことを意味する暗号で、警察の機能を10分間停止させ現場に駆け付ける。これにより一時的に街が無法地帯となる。

その盲点をついて、初っ端なから銀行強盗事件が発生するが、追走劇の末に事件は失敗になるも犯人は逃亡に成功してしまいます。実は、その犯行は、ロシア系マフィアが陰で操る元警官と現役警官による犯行であることがわかり、ロシアマフィアとメキシコマフィアのカルテルを巻き込み事件が拡大化していくという内容です。

R15指定らしく、ハードな銃撃戦と残忍な殺害シーンなどがリアルに再現され、今や全米一の犯罪都市アトランタの実情が生々しく露呈されています。

監督は、欲望のバージニアのジョン・ヒルコート。主演は、ベン・アフレックの弟、ケーシー・アフレック、マフィアの女ボスにケイト・ウインシュレットが演じているのも。汚職警官を演じる俳優陣も個性的な顔ぶれで、ダークなイメージがあふれて出ています。

この手の作品が好き人には十二分に楽しめる作品となっています。


DVD・孤独のススメ

2016年11月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、一人暮らしの孤独な男に起こる日常の変化を描いたヒューマンコメディ「孤独のススメ」です。

オランダの田舎町でひとり暮らす男フレッド。妻を亡くしひとり息子は家を出て孤独な生活を送ってます。人付き合いを避け、単調な生活をしている彼に、言葉を失い、正体不明の男テオが現れます。帰す家のないテオを家に住ませ、面倒をみることになったフレッド。彼の習慣を教えながら、自立の道を考える彼が、テオとの生活で周囲も含めざわつき始めます。

テオとの生活の中で、徐々に人間らしさを取り戻していくフレッド。テオの正体が明らかになると、いつしか二人は愛情とも友情とも言い難い不思議な関係に発展していきます。

その過程がユーモラスで人間味にあふれ、じわりじわりと染み入るように作品の世界に入り込んでいきました。

世の中には、他人から観れば風変わりで孤独な男たちはいます。僕もその一人かも知れませんが、それぞれに、抱える孤独な理由があります。フレッドの孤独は自らの過去を背負ったことにあり、その十字架をテオによっておろされました。孤独のススメは、未来への希望の光を探す生活なのかもしれません。


J2降格と名古屋グランパスの未来

2016年11月03日 | 【スポーツ】

オリジナル10の一角、名古屋グランパスが最終戦ホームで惨敗。J2降格となった。

サッカー経験者で、Jリーグ発足から、地元グランパスを愛し応援してきた僕にとっても、悪夢のような出来事ですが、GM時代の久米社長の言葉をかき消すようなブーイングと監督、選手への拍手を観て違和感を持ちました。

そこには、小倉監督と久米社長の選手時代とGM時代の功績を無にするものに見えて仕方ない。西野監督時代にも勝てない時代が続くと闘莉王頼りになり、今回もまた、同じ結果になった。シーズン前に闘莉王と契約を結ばなかったのは、選手の自立心を求め、総合力で戦うことだったはずだ。どんな監督になっても戦術を理解し戦うのは選手だ。今の選手の体力では、J2の長丁場を戦う気力も体力も持ち合わせていないと僕は感じている。

そして、豊富な戦力を持ちながら降格となったチームの今回の結果はどこにあるのか。それは、トヨタと言う巨大な権力に依存しなければならないチームの経営体質にるのではと思うのは僕だけだろうか。累積赤字を埋めるために子会社化し、無条件降格を免れた昨季。ある意味で、その依存体質がJ2降格を決定づけられていたのかもしれない。久米社長の誤算はそこにあったと僕は思っている。

中部のスポーツ界は、ある意味でトヨタに依存せざるえないものがある。それは、アマチュアスポーツには通用しても、ことサッカーにおいては通用しないことを今回のことで露呈した。しかし、この巨大な企業なくして中部のスポーツ界にとっては必要であることは間違いない。

J2降格の結果、トヨタがグランパス再建のために、金銭面でどうか関わっていくか注目したい。豊田章男会長も、金銭面でのサポートを縮小せざる得ないといっている。もし、その言葉通りなら、1年での昇格も厳しいだろう。グランパスは、サテライトチームからトップへの昇格が極めて少ないチームだからだ。長い目で見れば若手の育成に対する支援が今後のチーム再建御カギだと思っている。下部組織からの選手の活躍に期待したい。

シーズン終了後に迎える契約更改で、金銭面からチームを去る選手も出てくるだろう。降格の現実は組織に直接降りかかってくる。サポーターが拍手を送った選手の中にも存在する。責められべきは、フロント、監督、スタッフ、選手すべてだ。オリジナル10でJ2降格となり、今や常勝軍団となった、レッズやサンフレッチェ、ガンバは、サポーターからの厳しい眼に常にさらされながら戦っている、選手にも厳しい眼を向けていくべきだと僕は思う。

サポータの力こそが、サッカーにおいては精神的な原動力となるのだから。

 


映画・手紙は憶えている

2016年11月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

逃亡したナチ戦犯を捜す復讐の旅を描いたミステリー作品「手紙は憶えている」を観賞

 

先日に観賞した「ザ・ギフト」に続き、見応えのあるミステリー作品を観賞できました。

ナチスドイツとアウシュビッツを描いた名作は、数多くありますが、そのほとんどが大戦下を舞台にしたヒューマン作品であるのに対し、今回の作品は、今なお世界で戦争犯罪を逃れ生き続けてるナチス兵士に焦点を当て、現在時間で作り上げた作品はなく、またその内容がミステリーとなる作品は皆無だと言えます。

内容は、妻を亡くし老人ホームで暮らす年老いた男が主人公ゼブ。収容所時代に家族を殺害された友人マックスから犯罪に加担した男ルディ・コランダーを突き止め、復讐を果たすための旅をするというもの。

しかし、ゼブは高齢から認知症を患い記憶をとどめることが出来ず、マックスが記した手紙を頼りに4人の容疑者から本物のコランダーにたどり着くが、そこに予想だにしない結末が訪れます。

90歳の認知症を患ったゼブ役には、人生はビギナーズで最高齢でオスカーの助演男優に輝いた名優クリストファー・プラマー。友人のマックスには、コッポラ、アレン、バートンなどの巨匠監督に作品に数多く出演するマーティン・ランド―。二人のいぶし銀の演技は、驚愕のラストを迎える時間までを深く悲しく漂わせていきます。そんな二人を含めた見事なキャスティング作り上げたアトム・エゴヤン監督の手腕とベンジャミン・オーガストの練に練られた脚本が三位一体となり見事なミステリーに仕上がっていました。

偉大なミステリーは、観る人のその結末の予感の差があっても、そこに至る様々な事象や関係性の巧みさにあると思います。今回の作品は、今世紀を代表するミステリーの一つに数えられると必見の名作だと思います。


メナード美術館コレクション名作展

2016年11月01日 | 【美術鑑賞・イベント】



僕が、毎回の企画展に足を運ぶメナード美術館。

今回は、明年1月29日まで開催中のコレクション名作展をご紹介します。今回のコレクション展は、初公開コレクション2点を含む西洋絵画、彫刻、工芸、日本画、日本洋画などから構成される91点の展示となっています。

今回のコレクションもそうですが、展示作品のキャプションがとても分かりやすく、またコレクションも構成も幅広いので、美術館を初めて訪れる方や美術のことを学びたい方には、コンパクとで初心者向けの展示が特色です。

西洋絵画においては、印象派以降の作品の充実度が高く、巨匠の作品をまんべんなく観賞できます。今回は、新印象派の巨匠ジョルジョ・スーラの「働く農夫」とスーラとも親交があったアンリ=エドモン・クロスの「木陰のある浜辺」が初公開され、エドモン・クロスの作品は典型的な点描技法により大作で、一方スーラの作品は、小品ながら点描画技法をさらに独自で展開した秀作で、点描技法の幅広さを感じます。

他にも美術館の象徴的な作品であるマリーニの馬と旗手の頭部の秘密や舟越桂の長い休止符への新たな作品展開が試みなど新たな発見を感じる展観でした。

ひとつ、ひとつの作品をじっくりと観賞し、美術に対する新しい発見ができる展覧会ですので、ご鑑賞をおすすめします。