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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

DVDダイアナ・ヴリーランド伝説のファッショニスタ

2013年08月31日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はドキュメンタリ映画でヴォーグの編集者として活躍したダイアナ・ヴリーランドの回顧録的作品「ダイアナ・ヴリーランド」です。

ファッション誌の枠を超えた存在であった「ヴォーグ」は、常に革新的な雑誌であったと記憶していた僕にとって、その編集者であったダイアナ・ヴリーランドの自伝的な告白は刺激的なものでした。

1920年から裕福な家庭のなかで育った彼女が、ロンドン、パリ、ニューヨークで育ち、その時代のファッションカルチャーを体感しながら、銀行家との結婚を機にファッションエディターとして活躍。1962年にファッション誌ヴォーグの編集者となり、時代のファッションデザイナーやモデルを発掘。引退後は、メトロポリタン美術館の衣装部門の顧問に招かれるまでを、彼女と関わった人のインタビューを通して描かれています。

特に興味をもったのは、ファッションをアートの領域にまで進化させた彼女の手法です。ヴォーグでは、、世界を舞台にロケを敢行し、ファッションをカルチャーとして表現。メトロポリタン時代には、それまで保管されていた時代の衣装を表舞台に出し、衣装デザインの展覧会を開き、その後のミュージアムに大きな影響を与えました。

登場する証言者も、その時代に一世風靡した一流のデザイナーやモデルで、その個性的な風貌と考え方には、どんなクリエーターよりも郡を抜く神のような存在だったことを、この作品から感じととることができました。

美を追求した不世出のファッションエディターの生き様にぜひ注目して見てください。


インスタントコーヒーが消える日

2013年08月30日 | 【エッセイ・コラム】

先日の経済ニュースで、ネスレ社が、インスタントコーヒーの名称をレギュラーソリュブルコーヒーに変えると発表しました。ソリュブルとは溶けるを意味する方で、独自の製法だそうです。

あの数々の違いのわかる男を起用した「ゴールドブレンド」の製法を変えたために起こったことですが、どうやら、真相は、行政側にあるようで、コーヒーの分類がレギューラーコーヒーとインスタントコーヒーの二つしかなく、今回の製法はどちらにも当てはまらいために生み出された呼称のようです。

僕が子供の頃、初めてコーヒーというものを知ったのは、インスタントコーヒーでした。家族で喫茶店に入ること事態がめずらしい時代に、その疑似体験的存在として一時代を築いたといえます。

インスタントコーヒーは、インスタントラーメンと並び、インスタント文化の象徴でした。そんな、存在を曖昧にくっつけてインスタントコーヒーの名前が消えるのは至極残念です。

ゴールドブレンドは、フリーズドライ製法によりインスタントコーヒーのキングに君臨ししてきただけに、文化としてインスタントコーヒーの名の下に行政と対峙してほしかったと、インスタントコーヒーが消える日が来るのが残念でならないです。

※ドラマ「半沢直樹」の大阪支店長役ですっかりお茶の間の話題になった劇団四季の石丸幹二さんも、違いのわかる男のひとりでした。


映画風たちぬ

2013年08月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

先週に観賞すみの映画「風たちぬ」でしたが、映画評は、昨日のプロフェッショナル仕事の流儀・宮崎駿スペシャルを観てからにと思い、今日に至りました。

個人的には、アニメ作品にはあまり興味がなく、宮崎作品もテレビ放映で観るくらいですが、その作品のクォリティーは誰もが認めるところで、ファンタジー作品の人気には納得できます。

しかし、今回の作品「風たちぬ」は、実在の人物がモデルとなり、原作がベースにあることで今までとは、異なる視点で宮崎作品を観てみたいと思いました。

2時間を優に超える大作は、大正から昭和、そして日本が戦争へと向かう激動の時代が淡々と描かれていて時間を忘れるほどでした。

おそらくそれは、主人公堀越二郎の存在が大きく、彼の時代のインテリ的風貌と物腰がこの作品の空気=風を作っているように感じました。

映画を観終えたとき、堀越二郎の爽やかさと彼と生涯を共にしていく菜穂子の純白の儚さが強く印象に残り、ゼロ戦設計者である堀越を描き、果てには喫煙シーンを揶揄する問題作など忘れるほどの清廉さを感じました。そのため、宮崎駿監督のこの映画への思いがどこにあるのか自問自答していました。

そんな中、放映された「プロフェッショナル・仕事の流儀」を観て、シーンを思い浮かべるたびにその答えが明白になりました。

戦争の時代を生きた人々の理想と現実の矛盾。それが宮崎監督が述べた「堪(たふ)る限りの力を尽くして生きる」この言葉に集約されていました。

さらに「大事なものは、たいてい面倒臭い」と言う言葉で、理想と現実、善と悪が表裏一体となった時代でも、全力を尽くして生き抜いた姿が感動を呼ぶのだと思い知らせれました。


藤圭子と宇多田ヒカル

2013年08月26日 | 【音楽・ライブ】

22日の藤圭子さんの訃報から、連日彼女の過去や宇多田ヒカルや家族との状況が報道されてます。

今回の報道を見ると、藤圭子さんの音楽界での功績以上に、天才歌手、宇多田ヒカルを生み出した母としての存在も大きくこのような状況の報道になっているように思えます。

藤圭子さんは、僕等の世代にとっては忘れることができない歌手の一人でしたが、その後の宇多田ヒカルの登場により、あの藤圭子の娘としても彼女の存在がクローズアップされました。

しかしながら、彼女は娘の成功と共に、その存在感が薄れていく、宇多田ヒカル自身も、結婚、離婚、歌手活動停止と母と同じ道を歩んだことは、歌手としてのDNA以外にも親子としての見えない絆を感ぜざる得ません。

今日の報道でも、藤圭子さんの自殺が長岐に渡る心の病が要因になっていたことが新たに報道されました。それは、元夫の宇多田照美氏からの証言であり、かつての華やかな私生活の中で語ることができない苦悩が伺われました。それは、娘であるヒカルさんも同じであると感じます。

そう思うと彼女の現在の状況は、ごく自然なことで、これからもかなりの充電が必要だと思います。いつのしか、母から受けついた、天性の歌声が世の中を照らしてくれることを願っています。

宇多田ヒカルがコーラスを担当した「冷たい月-泣かないで」藤圭子と宇多田ヒカルの音楽性が伺われるブルージーな曲


神戸六甲山からの夜景

2013年08月22日 | 【町歩き・旅】

今回の旅は、この年になって初体験ばかりです。日本には、美しい情景が数多くあり人生でその情景を体験できることは、この上ない喜びです。

今回は、日本三大夜景のひとつ神戸です。三大夜景は、函館、神戸、長崎。函館の夜景は、絵画に例えるなら、縦に伸びる情景で、神戸の横に広がる情景です。

そして、今回感じたのは、六甲山系がもたす多極的な情景です。六甲山地の中央にある摩耶山の展望台から望む夜景が三大夜景のひとつに数えられるのですが、そこまでにいたる数箇所の夜景スポットも山頂にひけをとらない美しさがありました。

夜景は、自然と人工物が織り成す融合アートです。山などの自然の高台がなければ完成せず、また、日本の四季がもたらす空気により様々な色彩の変化をもっています。それは、自然の人間の共生を感じる情景でもあります。



※夜景との共演で光のアートを奏でる総檜葺きの六甲枝垂れ


祖谷のかずら橋

2013年08月21日 | 【町歩き・旅】

鳴門の渦潮を堪能し、民宿での漁師料理に舌鼓を打った翌日、鳴門大橋を渡り一路、徳島の大歩危、祖谷(いや)へと向かいました。

旅の目的は、日本三大奇橋のひとつ、祖谷のかずら橋を渡るため。途中、かつて高校野球で一大旋風を巻き起こした池田高校のある池田町を横切り、妖怪伝説の残る秘境を大歩危を進み、2時間半、祖谷のかずら橋に到着しました。

祖谷のかずら橋は長さ40メートル、橋の幅は2メートルで谷底は14メートルの国・県指定重要有形文化財です。その名の通りつたの葛で作られた橋で、弘法大師が村人のために建てたとか、この地に住み着いた平家の落人が追っ手から逃れるときに葛を切って橋を落としたとかの伝説があります。

現在はワイヤーで補強されているものの、足場は写真の通り隙間があり、下を見ながらでなけらば歩くのは困難です。しかし、渡ってみると日本一の人気を誇るつり橋だけあって、短い時間ながら楽しさを満喫できました。

かずら橋の渡ると、左手に美しい滝が流れています。こちらの滝は、平家の落人が、都をしのんで琵琶を奏でた場所からその名前が付いているそうです。


今回は時間がなく、かずら橋だけの観光でしたが、豊かな自然を眺めながら、さらに足を伸ばして、いつかは奥祖谷にも足を運んでみたいなと感じました。


鳴門の渦潮を世界遺産に

2013年08月20日 | 【町歩き・旅】


夏季休業を利用して、淡路島、徳島、神戸と旅をしました。

淡路島では観潮船に乗り鳴門の渦潮を、徳島では祖谷(いや)の蔓(かずら)橋、神戸では六甲山からの夜景を体験しました。

今回は、鳴門の渦潮の感想を。兵庫県のあわじ市と徳島県の鳴門市の間にある鳴門海峡、そこで発生するうず潮は、世界でも有数の渦潮で、観潮船で望む渦は、迫力満点です。

僕自身渦潮と言うと、日本画家の奥村土牛氏の最高傑作「鳴門」が思い浮かびます。奥村氏は、「写生帳を出しても、そのころの汽船は渦のそばまで行くと揺れに揺れて、写生はおろか、身体をしっかり支えているのも困難なほどであった。このため後ろから家内に帯をつかんでもらい、まるで人が見たら符牒かと想うかもしれぬような写生を何十枚も描いた。そして同時に、その時の新鮮な印象を頭の中に刻みつけた。」と回想されています。

眼前の渦潮は、その力強さを肌に感じながら、青い海原をキャンバスに自然が描く白の美しさに魅了されました。

地元では、渦潮を世界遺産にとの運動が進んでます。この光景は世界遺産にふさわしいものだと僕も思います。また、富士山が自然遺産指定ではなく文化遺産指定である点でも、渦潮と南あわじ市と鳴門市にの文化的土壌を絡めても、自然遺産、文化遺産どちらにも対応できるのではと感じます。

将来このすばらしい自然の神秘が登録されることを願っています。

 


風たちぬと日本禁煙学会

2013年08月16日 | 【エッセイ・コラム】

映画風たちぬが、思わぬところで話題になっています。映画に喫煙シーンが頻繁にあり、日本禁煙学会が要望書で苦言を呈した問題です。

まだ映画は観に行ってませんが、現在非喫煙者の僕が、喫煙シーンが多い理由で映画を観ないことはないです。当時の時代背景を考えれば当然のことだと思いますし、宮崎駿監督自身がかなりのヘビースモーカーなのは、メディアに登場するたびに思います。

非喫煙者である立場で思うことは、事前対策としてスクリプトの形で注意喚起のメッセージを流しても良かったのではと思います。

映画はその時代背景を忠実に描くことで、その時代にタイムスリップしてその時代を共有する楽しみがあります。今回の作品も大正から昭和の戦前、戦後を描く中でタバコと言うキーワードは、原作者である宮崎氏にとって欠かせないファクターだったのでしょう。

青少年に悪影響を与えるのなら、大人が過去と現在をきちんと立て分けて教えれば言い訳で、日本禁煙学会のとった行動は、喫煙を推奨する団体や個人に対して火に油を注ぐ結果となりかねません。

今回の問題で、宮崎氏や映画ファン、ジブリファンにとっては、自分たちが意図しないところで話題になり問題論争になるのは心外だと思います。

 


エスカレター歩かないでキャンペーン

2013年08月13日 | 【エッセイ・コラム】

7月29日からJRグループや鉄道各社で始まった日本エレベーター協会と共同実施されているエスカレーター安全キャンペーン

ニュースでもその賛否が話題になっていますが、今朝の朝のニュースでのアンケートでも圧倒的に賛成の意見がありました。

確かにマナーの如く定着したエスカレーター歩き。僕も昔は歩いてしまうこともありました。今は歩いていませんが、僕自身も大いに反省です。おそらく、歩いてしまう要因は、エスカレーターは、階段より楽で最短距離に感じるから、いつの間にか定着したのでは思うのです。

いつの間にやら、定着したエスカレーターの片側歩行者優先。関西では左を。関東では右を空けて昇り降りする人の妨げにならないように空けるマナー?もともとは、大阪万博でエスカレーターの混雑を避けるために駅員が呼びかけたのがきっかけとなっているそうで、身から出たサビ的感もあるのですが、僕はこのキャンペーン賛成です。

エスカレターは、本来階段の昇り降りに支障をきたす人のためにある言わば優先階段だと思っています。急ぐ人は、階段を利用すべきではと思うのです。歩行に伴う事故が頻発している現在、むしろ遅すぎる対策だと思います。

高齢社会が進む日本。優先席に当たり前のように座る若者や子供を座らせて平気な大人や席を譲ろうとしない非常識な大人たち。

エスカレーターは、階段の昇り降りが困難な状況にある人のためのものと思える社会の方が僕はいいと思います。


映画ワールド・ウォーZ

2013年08月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

ブラッド・ピッド主演のパニックムービー「ワールド・ウォーZ」を観てきました。

最近のブラッド・ピッドは静かな配役の作品が多かったですが、今回はかなりハードな役柄に挑んだブラピ史上ナンバー1ヒットだけあって、終始そのど迫力に圧倒されました。

Zとは最期の意味とゾンビの略号で、原因不明のウイルスにより人類が凶暴化。ゾンビの如く正常な人間に襲い掛かりゾンビが増殖していくもの。

ブラッド・ピッドは、紛争地域で活躍した元国連捜査官ジェリーを演じ、人類の危機を救うために抗体ウイルスを見つけ出す任務を負うことに。

ゾンビの増殖に成す術なく滅亡していく国やゾンビ増殖を予防するために事前の対処策を講じる国など、人類の危機や非常事態の様相が細かく描かれていて、世界滅亡のタイムリミットを否応なしに感じながら、ゾンビにいつ襲われるか予測不可能な緊張感が最後まで続き恐怖感を増殖していきました。

そして、ブラッド・ピッドのハードでパワフルな演技が最高にかっこ良く、生身のヒーロ像がハートフルです。彼の一挙手一投足に手に汗握りながら釘付けに。そして人類の滅亡の危機を救うキーワードが増殖を続けるゾンビの中に隠されています。

ブラピファンにも、ゾンビファンにも、サバイバルファンにもパニックファンにも必見の作品です。


長崎原爆の日と北村西望

2013年08月09日 | 【エッセイ・コラム】

今日は、長崎原爆の日。68回目を迎えたこの日、爆心地近くの平和記念公園で平和の祈りが捧げられました。

その式典の正面に堂々と鎮座する男性像。ご存知の通り、長崎平和記念像で日本の彫刻界の巨匠、北村西望氏が5年の歳月をかけ制作をされたものです。記念像は、神の愛と仏の慈悲を象徴し、垂直に高く掲げた右手は原爆の脅威を、水平に伸ばした左手は平和を、横にした足は原爆投下直後の長崎市の静けさを、立てた足は救った命 を表し、軽く閉じた目は原爆犠牲者の冥福を祈っているそうです。

長崎県島原市出身の氏が、日本の歴史に残る偉大な人々を彫刻で表現した功績や敗戦濃厚な日本で軍部の兵器供出のために多くの銅像作品が減失したことに憂慮して反対運動を起こしたことなど、日本を思い、平和を希求する思いが今も伝わります。

北村西望氏は1987年に104歳の長寿を全うされるまで、精力的に活動を続けられました。生命力にあふれ彫刻作品に加え、百歳を迎えられてから挑まれた力強い書は今でも美術ファンに不動の人気を持っています。

長崎平和記念像には、国内外からの募金によるものですが、台座を当時の長崎市が予算計上したことから、その使途に批判があったようです。

しかしながら、芸術とは無益のように思われても後世に大きく評価されるものが多く、この平和像を通して幾多の人々が、長崎や広島の悲惨な過去を象徴として思い起こすことができるのは、芸術の持つ目に見えない力だと思います。


DVD鍵泥棒のメソッド

2013年08月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は殺し屋と売れない役者が入れ替わり、おかしな編集者の女性が絡む喜劇「鍵泥棒のメソッド」です。

堺雅之演じる売れない役者桜井が、銭湯で香川照之演じる殺し屋コンドウが転倒をきかっけに記憶喪失に彼の持ち物を盗んだとことから桜井は、殺し屋に、コンドウは桜井の記憶をたどって役者に目覚めてしまいます。

突然の出会いで、広末涼子演じる婚活中の編集者水嶋は、コンドウの記憶の手伝いをするうちに相思相愛に、ある出来事で記憶を取り戻したコンドウは、桜井を見つけ出し、新しい人生を歩むことを決めるのですが、記憶喪失中に桜井が殺し屋を演じることで、事件の後始末をすることに、二人の一世一代のメソッドが始まるというもの。

メソッドとは、1940年代にニューヨークの演劇で確立された演技法で、役柄に近い状態を疑似体験することで現実的で自然に近い演技をする手法だそうで、今回のタイトルにもある「メソッド」が作品の行く末を担う鍵となっています。

堺と香川の異なるメソッドに注目して観ると楽しさも倍増です。ラストの鍵を握る編集者の水嶋の謎解きやヤクザの親分を演じる荒川良々のいつもと違うシリアスさも見ものです。


DVDみなさん、さようなら

2013年08月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は団地の中だけで生きていくと決めた少年の12歳から30歳までの人生を描いた異色作「みなさん、さようなら」です。

アヒルと鴨とコンロッカー、ゴールデンスランバー、ジェネラルルージュの凱旋などを手がけた中村義洋監督の団地を舞台にした作品で中村作品には欠かせない存在の濱田岳主演の青春ムービーです。

1981年、巨大団地に住む12才の少年が小学校卒業後に、中学入学くを拒否し団地の外から出る事無く団地の中で生きることを決意。18年間にわたる団地生活の変化と恋愛、就職、婚約などの人生を描きながら、彼がなぜ、団地から外に出ることを拒否した理由が明かされるなか、思いもしない出来事に見舞われる18年間が団地内だけで描かれています。

濱田岳は、12歳から30歳までの主人公を、普通の青年の青春を団地内の生活で演じきっています。そして、団地を去り変わっていく同級生の姿とかつての栄華を極めた団地が、次第に荒廃していく姿とダブらせながら、ある事件によりもたらされた使命感の様なものを純粋無垢な彼の姿を通して浮き彫りにしていきます。

甘酸っぱい思い出だけを描いた青春映画ではなく、団地と言う巨大な箱の中にある日本の時代変化や事件も描き、その時代が少年に及ぼした影響をも描いた社会派作品でもありヒューマン作品でもある秀作でした。


広島原爆の日と原爆ドーム

2013年08月06日 | 【エッセイ・コラム】

忘れまじ、8月の6日、9日、15日。

今日、広島に原爆が投下された原爆の日でした。その後9日に長崎で原爆が投下され、15日の終戦を迎えるのですが、8月のこの三日は、決して忘れる事無く、後世に伝えていかなければと深く思いました。

富士山が世界文化遺産に登録されてから、7月、8月と登山者が増えブームとなっています。保全維持のために入山料をテスト的に収める試みが出てきました。良い試みではありますが、1996年に登録されたているのが原爆ドームで、世界遺産の中で負の遺産といわれるもの中で、アウシュビッツ強制収容所と並び、第二次大戦下で多数の犠牲者を出した象徴的な世界遺産を忘れてはいけないと思います。

原爆ドームは、言うまでもなく原爆投下の中で現存した残骸建造物で、現存維持しながらの保全には大変な労力と資金が伴っていきます。その点でもきわめて異質な世界遺産であり、戦争の悲惨さと核の脅威を伝える唯一無二の象徴だと思います。

世の中が、領土問題や集団的自衛権などの憲法改正など、近隣諸国との争いに火が点きそうな状況下で、戦争の悲惨さの象徴としての原爆ドーム、長崎になる平和の象徴としての平和記念像など、不幸な歴史を忘れることのない日本人としての意志も持ち続けていかなければと感じます。


きらめく日本画・佐久市近代美術館名品展

2013年08月05日 | 【美術鑑賞・イベント】

岡崎市美術博物館での「きらめく日本画・佐久市近代美術館名品展」を最終日の8月4日に観賞しました。

今回の展覧会は岡崎市と佐久市がゆかりのまち提携30周年を記念して開催されたもので、佐久市近代美術館の日本画の名品による展覧会です。

当美術館のコレクションは美術ファンなら誰もがご存知の美術作家の経歴と評価を網羅した「美術年鑑」を発行している美術年鑑社の創業者である油井一二氏のコレクションが中心です。

油井氏が生涯の師と仰ぎ、コレクションのきっかけとなった武者小路実篤の書画作品から、近代、現代へと進む日本画の歴史を垣間見ることができる展覧会でした。

特に今の注目作品は、故平山郁夫氏の画業のライフワークとなるシルクロード作品のきっかけとなった傑作「仏教伝来」が展示されたことです。

仏教伝来は孫悟空の三蔵法師のモデルにもなったら羅汁三蔵がインドから中国へ仏教の教典を伝えた説話の基に描かれています。崇高な世界と象徴的に描かれた白鳩。広島出身で、被爆者でもある氏の平和への願いが伝わってきます。

また、油井氏の美術年鑑を通じた現代日本画家たちの深い親交も感じる展覧会でした。長野旅行の際には、ぜひ佐久市近代美術館を観賞ルートに加えてみたいと感じる展覧会だと感じました。