異臭騒ぎ

２３時退社。この時間だと行ける銭湯は極楽湯しかないか。

自動ドアが開き、右手にある下駄箱に入れる為に靴を手に取ろうと屈んだ瞬間。なんとも言えないツーンとした匂いが。あれ、僕の足ってこんなに臭かったっけ？

ちょっとショックを憶えつつも廊下を歩き、遅い晩飯を食べる為に食券を買う。食券を厨房に置いて銭湯に入る入場券の券売機前で一呼吸。道中匂いは断続的に続き。この券売機の前でピークを迎え気が付いた。

これは僕の足の匂いじゃなく、その前にここを歩いた人の足の匂いだ。残り香漂う店内、僕の頼んだカツカレーが出て来る間、放置出来ないニオイと判断したのか、店員さんが券売機の前、廊下、入り口に消臭スプレーを隅々散布してるのが見えた。

約一時間後。ひとっ風呂浴びた後、さっきとはうってかわった消臭剤の香り漂う廊下で、目の前を歩いていたヤンキー女二人組の会話が聞こえた。

「納豆の臭いっていうか、すごかったんだよー、もう最悪。しかも女であのニオイってなんか気の毒だね～」

例の異臭騒ぎの件らしい。そうか。女性だったか。それは気の毒だ・・・。それにしても凄い匂いだった・・・。