エリザベス女王の時代には歴史的に有名な3人のメアリー女王がいます。
そして3人よりは有名ではないですが、4人目のメアリー女王も。
実は彼女もエリザベス女王と浅からぬ因縁があります。
映画『エリザベス』の続編『エリザベス:ゴールデンエイジ』が公開されますので、それを記念してその辺の歴史事情を説明してみようと思います。
一人目のメアリー:メアリー・テューダー
映画『エリザベス』の主人公エリザベス1世(以下、エリザベス)の祖父、ヘンリー7世の娘です。エリザベスの父ヘンリー8世の妹でエリザベスにとっては叔母に当たります。
彼女はフランス国王ルイ12世と結婚しました。そのため「クイーン・メアリー」と呼ばれます(クイーンには「女王」という意味だけでなく「王妃」という意味もあります)。
さて、実はフランス国王ルイ12世と結婚する前、メアリーには恋人がいました。彼の名前はチャールズ・ブランドンと言います。ですが兄ヘンリー8世は、メアリーにフランス国王と結婚することを命令します。メアリーは次の結婚は自分の好きな人とするということを条件に祖父と孫ほどにも年の離れたルイの元に嫁ぎます。
幸運にもルイ12世はメアリーが結婚して3ヶ月で亡くなります。しかし兄ヘンリーはメアリーがチャールズと結婚することを許しません。結局彼女は勝手に式を挙げてチャールズと結婚してしまいます。この結婚にフランス国王フランソワ1世が関わっていたために、ヘンリー8世は大激怒。メアリーのイングランドへの帰国を禁じました。が、最終的には許します。
彼女の孫にジェーン・グレイという女性がいますが、彼女が「九日女王ジェーン」です。
エリザベスの姉でイングランド女王メアリー1世が即位する前のことです。
メアリーがこちこちのカトリックであることに不安を覚えたプロテスタントの家臣が、ジェーン・グレイがメアリー・テューダーの孫であるために王位継承権があると主張して、彼女をイングランドの女王に押し立てたのです。
メアリー1世の弟エドワード6世の勅命があるという主張でしたが、メアリーをノーフォーク公がかくまったために反乱は失敗。ジェーンはたった九日だけの即位で夫ギルフォード、そしてギルフォードの兄弟たちと共に逮捕されます。このギルフォードの兄弟の中にエリザベスの愛人となるロバート・ダドリーもいました。
映画『エリザベス』で「反逆者と恋仲になるなんて」というセリフがありましたが、それはこういう訳です。また、ロバート・ダドリーとエリザベスが幼なじみであったかどうかは知りませんが、彼らがメアリー1世の時代に同じプロテスタント同士、同じ親を反逆者として処刑されている者同士、肩を寄せ合っていたと考えてもおかしくはありません。
さて、ジェーン・グレイとギルフォードは結局、改めて女王に即位したメアリー1世に処刑されてしまいます。
この事件がメアリー1世にプロテスタントへの不信感を植え付けたとも言われ、この後のプロテスタントに対する苛烈な処罰はジェーンに自分の即位を邪魔された腹いせだとも言われています。
しかし、一方でメアリー1世はジェーンの処刑に反対でスペイン国王に強制され渋々したとも言われます。ただし、同じ話がエリザベスの時もあるので、「処刑に反対で渋々」はこの時の支配者のポーズだったんじゃないかな。
参考文献
メアリー・テューダー:渡辺みどり「英国王室物語」
森護「英国王室史話」
ジェーン・グレイ:小西章子『華麗なる二人の女王の戦い』朝日新聞社、1988年
アントーニア・フレイザー『ヘンリー八世と六人の王妃』
小説:カーリン・ブラッドフォード「九日間の女王さま」
そして3人よりは有名ではないですが、4人目のメアリー女王も。
実は彼女もエリザベス女王と浅からぬ因縁があります。
映画『エリザベス』の続編『エリザベス:ゴールデンエイジ』が公開されますので、それを記念してその辺の歴史事情を説明してみようと思います。
一人目のメアリー:メアリー・テューダー
映画『エリザベス』の主人公エリザベス1世(以下、エリザベス)の祖父、ヘンリー7世の娘です。エリザベスの父ヘンリー8世の妹でエリザベスにとっては叔母に当たります。
彼女はフランス国王ルイ12世と結婚しました。そのため「クイーン・メアリー」と呼ばれます(クイーンには「女王」という意味だけでなく「王妃」という意味もあります)。
さて、実はフランス国王ルイ12世と結婚する前、メアリーには恋人がいました。彼の名前はチャールズ・ブランドンと言います。ですが兄ヘンリー8世は、メアリーにフランス国王と結婚することを命令します。メアリーは次の結婚は自分の好きな人とするということを条件に祖父と孫ほどにも年の離れたルイの元に嫁ぎます。
幸運にもルイ12世はメアリーが結婚して3ヶ月で亡くなります。しかし兄ヘンリーはメアリーがチャールズと結婚することを許しません。結局彼女は勝手に式を挙げてチャールズと結婚してしまいます。この結婚にフランス国王フランソワ1世が関わっていたために、ヘンリー8世は大激怒。メアリーのイングランドへの帰国を禁じました。が、最終的には許します。
彼女の孫にジェーン・グレイという女性がいますが、彼女が「九日女王ジェーン」です。
エリザベスの姉でイングランド女王メアリー1世が即位する前のことです。
メアリーがこちこちのカトリックであることに不安を覚えたプロテスタントの家臣が、ジェーン・グレイがメアリー・テューダーの孫であるために王位継承権があると主張して、彼女をイングランドの女王に押し立てたのです。
メアリー1世の弟エドワード6世の勅命があるという主張でしたが、メアリーをノーフォーク公がかくまったために反乱は失敗。ジェーンはたった九日だけの即位で夫ギルフォード、そしてギルフォードの兄弟たちと共に逮捕されます。このギルフォードの兄弟の中にエリザベスの愛人となるロバート・ダドリーもいました。
映画『エリザベス』で「反逆者と恋仲になるなんて」というセリフがありましたが、それはこういう訳です。また、ロバート・ダドリーとエリザベスが幼なじみであったかどうかは知りませんが、彼らがメアリー1世の時代に同じプロテスタント同士、同じ親を反逆者として処刑されている者同士、肩を寄せ合っていたと考えてもおかしくはありません。
さて、ジェーン・グレイとギルフォードは結局、改めて女王に即位したメアリー1世に処刑されてしまいます。
この事件がメアリー1世にプロテスタントへの不信感を植え付けたとも言われ、この後のプロテスタントに対する苛烈な処罰はジェーンに自分の即位を邪魔された腹いせだとも言われています。
しかし、一方でメアリー1世はジェーンの処刑に反対でスペイン国王に強制され渋々したとも言われます。ただし、同じ話がエリザベスの時もあるので、「処刑に反対で渋々」はこの時の支配者のポーズだったんじゃないかな。
参考文献
メアリー・テューダー:渡辺みどり「英国王室物語」
森護「英国王室史話」
ジェーン・グレイ:小西章子『華麗なる二人の女王の戦い』朝日新聞社、1988年
アントーニア・フレイザー『ヘンリー八世と六人の王妃』
小説:カーリン・ブラッドフォード「九日間の女王さま」
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