acco ZONE

コトバにしなきゃ伝わらないこともある
コトバにしなくても伝わることもある
accosのつらつら日記

ハッとする感覚は意図して得られるものではない

2012年04月22日 | こころ

『河合隼雄のカウンセリング教室』
という本を読んでいる


大学では
建築を専攻していたので
共通科目の講義の大半は
数学やら物理やら理系寄りの科目が多かったが
言語や文系科目も共通必修科目としてカリキュラムに組まれていた

その文系選択科目の一つである
『心理学』を選択して
息抜きと言っては失礼かもしれないが
結構熱心に講義に参加していた

理系学生にとって
こういった文系科目は
単位のために仕方なく受講するようなものなのだろうが
私はこういった科目が
結構好きだった

いや

むしろ
理系科目の講義よりも熱心に受講したものだ



さて

その講義で耳にした『河合隼雄』という名前


もちろん
この分野に精通しているわけでもないので名前しか知らないのだが
今回借りてきた本を読んでみて「あぁ…この人は結構好きだな」と思った


こんな人にカウンセリングをやってほしい



やってほしかった


そのように直感的に思った

カウンセラーとはクライアントにとって
こういった感覚的なところが決め手となる職業なのだろう




半分ぐらい読んだ時点で
ハッとした文章がある



「本当に苦しい人は苦しいことを表現できない」

「日常会話はカウンセリングと全く違う」


前者は
私が以前
どうにもこうにも調子が悪くなって
精神科に行ってみた時のエピソードに由来する「ハッ」である


どうにもこうにも苦しくて
意を決して専門家の所に行ったのに


「あなたは元気です」


と言われたことがある



別の医院では


「あなたはコミュニケーションのキャッチボールができない」

と言われたこともある


コミュニケーションのキャッチボールができないと悩んでいるから医院を訪ねたわけで
このように言われてしまうことに絶望を覚えた






もちろん
私が適切に自分の状態や症状を説明できなかったのかもしれないが
救いを求めていった専門医からこのような言葉を浴びせられたことに
かなりの衝撃を受けたことを覚えている


衝撃というよりも
自分が感じていることを全否定されたような気がして
虚無感を覚えた



私は
平気に見えるのだ

見えてしまうのだと思う


もしかしたら
平気ではないと思っているのは自分だけで
実は平気なのかもしれない



…いや
自分が平気じゃないと思ってる時点で
平気じゃないか





次に後者

何とも恥ずかしいことなのだが
私は日常会話が求められている場面でも
カウンセリングのような対応をしているなと気づかされた



たとえば

「私〇〇さんのこと大っ嫌いなんだよね」

とある人が言ったとする


この時
日常会話では
その発言の本意や真相に至ってしまうのを回避するための会話が求められる

私は日常会話が苦手なので
こういった時にどのような会話が成り立つのかよくわからないが


「でもあの人のこと好きだよね?」


とか


「そうなんだーところで駅前のおいしいケーキ屋さんなんだけど…」


とかいった具合なのだろうか


とにかく
本音に至らないようにコントロールされている会話が日常会話



カウンセリングは
その言動をする心の動きを捉えようとすることで

「そっかそっか嫌いなんだね」

という受け入れる発言をしながら

“何でこの人は〇〇さんの事が嫌いなんだろう”

とか

“きっと母親と似ている言動を取るから嫌いなんだろう”

とか
そういったところに目を向けることなのだという





この文章を読んで
私は日常生活での会話が求められているのに
カウンセリングのようなことを延々とやり続けているのかなと思った



そして
自分自身に対しても
自分で自分をカウンセリングしている状態を続けているのかなとも思った




カウンセリングは
時間がある程度制限されていないと
救う立場であるカウンセラーも破滅してしまうとも書いてあった




そして
自分で自分を治すことなど絶対にできないとも書いてあった





苦しい苦しいと気づかないまま幼少時を過ごし
気づかないうちに苦しいことにさえにも麻痺してしまった自分を救いたい


河合隼雄氏は
自分で自分を救うことはできないと言及していたが
こういった自分の不安定な面を託せる信頼できる専門家が周りに見当たらないため
当面は自分で自分を救う試みを続けていくことになりそうだ


もちろん助けは必要だし
周りの人々はかなり支えになってくれている



しかし最終的には
自分でしっかりと立っていくしかないのだ




これに気づけていることだけでも
救いなのだろう





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする