バスを待っていた
iPodから流れる椎名林檎の歌声
不意にこみ上げてくる涙
それを
ぐっとこらえて
空を見上げた
「しぶとそうな雨雲だな」
小雨の中
花火大会へと向かう浴衣姿のかわいらしい女の子たち
誰かれ構わず注意をして『馬鹿』という言葉を連発する
怯えた目をした独り言おじさん
おそろいのサロペットをまとった
カラフルな女の子4人組
そして思った
泣きたい日があってもいい
そんな日は泣けばいい
胸が苦しい日があってもいい
そんな日はベッドにもぐりこんで苦しみもがけばいい
日々を呪いたくなる日があってもいい
そんな日は醜いくらいに呪いの言葉を綴ればいい
どうしようもなくどうしようもない日があってもいい
そんな日はどうしようもないまま佇めばいい
きっと
これが生きてくってことなのかもしれない
25歳の誕生日に
自分に贈った大切な指輪が
いつの間にか小指から消えてなくなってしまっていたように
大切なものが何か
自分の中からすり抜けていく気がした